島根知事、五輪組織委を強く批判 竹下氏に経緯説明へ
2021/2/19 23:32 中国新聞デジタル
東京五輪の聖火リレーの県内での開催中止を検討している島根県の丸山達也知事は19日、県庁で記者会見し、問題視した政府や東京都の新型コロナウイルス感染症への対応について「今のところ改善の兆しはない」として、解決に向け関係省庁や地元選出の国会議員に要望書を提出する考えを示した。
要望書は、政府や東京都の新型コロナへの「対応力強化」や、感染症が少ない地域の飲食業者への「公平な支援」を求める内容で、関係部局で文面や日程を調整中。東京都の小池百合子都知事に対しては「しっかり対応しているというが、これだけ死者がいて改善点は本当にないのか」と強調しつつ、「都が自らやるべきことだ」として直接要望するつもりはないとした。
自民党竹下派の竹下亘会長=衆院島根2区=が「知事を呼び、注意をしないといけない」などと発言したのに対しては、「(竹下氏が)病気療養などで地元に帰る機会が限られ、県内の状況を理解されていない」と指摘。「中止検討の表明に当たって説明していなかったのは私の不手際」として「上京してきちんと説明する」とした。
また、県と大会組織委員会が締結する協定の解除規定に基づき聖火リレーを中止できるとした丸山知事の発言に「協定は秘密保持が原則のはず」と違和感を示した組織委に対し、「公費をかける事業で一切公開できない協定はあり得ない」と反論。「契約違反と言いたいのだろうが脅しだと思っている。こういう協定を結ばせるなら、ろくでもない組織だ。公益財団の認定を取り消してもらいたいくらい」と激しく批判した。
丸山知事は17日、政府や東京都の新型コロナへの対策に不満を訴え、5月に県内14市町村を通る聖火リレーの中止検討を表明。対応を約1カ月程度見て最終判断する。(松本大典)
五輪アプリ開発費73億円「知らなかった」 まるで人ごとの菅首相、開催へ思考停止していないか
2021年2月21日 14:00 京都新聞
衆議院の集中審議で気になる質疑があった。
「政府は東京五輪・パラリンピックの観客向けにアプリを開発しているというが、費用はいくらなのか」
立憲民主党議員の質問に対する政府の答えは「約73億円」だった。
内閣官房審議官の説明では、外国からの観客の健康管理が目的で訪日前から出国後まで持たせるという。
国内向けの接触確認アプリCOCOAの開発費は約3億9千万円だった。
なぜこんなにかかるのか。菅義偉首相の答弁は「正確な数字は知らなかった」。まるで人ごとだ。
東京五輪で当初掲げられた「コンパクト」はもう吹き飛んだ。「復興五輪」もいつの間にか「人類がコロナに打ち勝った証に」へ置き換わっている。
気になるのは、入国客にワクチン接種を義務づけず、アプリで済ます動きがあることだ。
厚労省からは「アプリの機能が不十分なら、五輪後に感染爆発を招く。誰が責任を取るのか」という懸念の声が伝わってくる。
同省はCOCOAの機能不全を厳しく批判された。それだけに懸念には実感が伴うが、政府内では共有されないらしい。
政府・与党内には、五輪開催は絶対で、財政論議などはタブーという雰囲気さえある。
先月亡くなった歴史家の半藤一利さんは思考停止の危険性を度々説いた。首相や与党議員には今こそ、半藤さんの著書を読んでほしい。