【生命保険の業者への売却は「不可」】…最高裁決定
生命保険の死亡保険金を受け取る権利を保険買い取り業者に売却できるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は12日、売却目的で生保会社に名義変更を求めた原告側の上告を退ける決定をした。
これにより、「生命保険が売買の対象になれば不正の危険が増大する」として名義変更を認めなかった2審・東京高裁判決が確定した。
この訴訟は、生保売買の是非を問う初の訴訟として注目を集めた。
米国では生保買い取りビジネスが普及し、買い取り業者に対する法的規制があるが、日本では法的規制はない。
訴えていたのは、埼玉県内の男性がん患者(52)。
男性は1989年、死亡時に3000万円が支払われる生命保険を千代田生命保険(現・AIGスター生命保険)と契約。
その後、男性は肝がんと診断され、医療費などで生活が困窮したため、04年12月に死亡保険金を受け取る権利を「リスク・マネジメント研究所」(東京都江東区)に849万円で売却することで合意した。
しかし、生保側が「倫理的問題がある場合は同意しない」とする内規を理由に、契約者と受取人の名義変更を拒否したため、提訴した。
現在も自宅で療養生活を送っている男性は、「長期療養で生活に困っている患者は多い。訴訟を契機に、生保買い取りについて議論してもらいたかったが残念だ」と話した。
(2006年10月12日読売新聞)
******* 以下、その前段としての高裁判決の記事です。 *******
生命保険売買2審も棄却 がん患者の訴え認めず
長期療養で生活に困窮した埼玉県内のがん患者の男性(51)が、生命保険を東京都内の買い取り業者に売却するため、AIGスター生命保険(東京都中央区)に対し、保険の名義変更に同意するよう求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。
南敏文裁判長は「男性の窮状は理解出来るが、生命保険が売買の対象になれば、不正の危険が増大する」と述べ、名義変更を認めなかった1審・東京地裁判決を支持し、男性側の控訴を棄却した。
男性の代理人弁護士によると、生保買い取りビジネスに関する初の訴訟。同ビジネスは米国などで普及しているが、日本ではこの業者が先駆けとされ、法的規制はない。
判決では、保険の契約者が気力、体力が衰弱した病人という弱い立場にあることから、生命保険の買い取りを巡って米国で過去に、不当な買いたたきや、犯罪組織が業者になりすますなどの問題が起きたことなどを指摘。「個別事案による解決は困難で、今後、いかなる救済を図るべきか、生命保険買い取り業者の規制をどうすべきかなど、慎重な検討が必要だ」と述べた。
男性は1989年、死亡時に3000万円が支払われる生命保険を契約した。2002年に肝がんと診断され、医療費などで生活が困窮。04年12月、死亡保険金を受け取る権利を「リスク・マネジメント研究所」(江東区)に849万円で売却することで合意したが、AIG側が「モラルリスク(倫理的問題)がある場合は同意しない」などとする内規を理由に、名義変更を拒否していた。
「生きるすべない」原告男性泣き崩れ
「これでは、私と家族が生きていくすべがない」。原告の男性は判決後、法廷の外で泣き崩れた。
がんで入退院を繰り返す中、仕事は退職に追い込まれた。妻の内職収入(月額約12万円)が頼りだが、自宅売却や親族からの借金でも足りず、通院すら控えている。月約1万7000円の保険料を支払い続けることが困難になったが、保険を解約しても返戻金は約28万円にすぎない。「治療費は出ていく一方。まとまった金はのどから手が出るほど欲しい」と、保険買い取りを求めていた。
1審判決後、リスク・マネジメント研究所には約10件の問い合わせがあったといい、保険買い取りに対するニーズは少なくないと見られる。男性はこの日、上告する意向を示し、「私の訴訟をきっかけに、生保売買について議論してもらいたい。必要なら法整備もしてほしい」と話した。
(2006年3月22日 読売新聞)
―コメント
この原告の男性のように、生保にはしっかり加入していても、長患いにより困窮している患者さんは多いと思います。
かつての生命保険の多くは「死亡したときだけ」(高度障害を含む)を想定しており、この「長患い」は想定外だったのです。
それは医療技術や意識が変化し、「がん=死ぬ」から「がんは治る病気」に変わってきたからでしょう。
今でこそ、医療保険が普及してきましたが、例えば入院日額5千円で1入院60日型の場合、受け取り総額でも30万円にしかなりません。
特に「がん」の場合は退院後に莫大な費用がかかるケースが多いのです。
アメリカではこの生命保険の買い取り制度があると聞いていました。
最近 わが国でも「リバースモーゲージ」(逆住宅ローン)のような良い制度が普及しつつありますので、買い取り業者に対する法規制を整備していただき、この生命保険の買い取り制度を普及できればと思います。
では、長患いに対応できる最新の保険商品はあるのか? ―あります。いいのが。
損保ジャパンが提携している第一生命はこの分野に力をいれており、定評があります。詳しくはこちらをご参照ください。
万が一に「長患い」になってしまった場合に、払い込み保険料が免除になるだけでなく、生活費として年金まで受け取れる優れモノです。
弊社にて取り扱っておりますので、ご興味ある方は小職までお問い合わせください。
生命保険の死亡保険金を受け取る権利を保険買い取り業者に売却できるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は12日、売却目的で生保会社に名義変更を求めた原告側の上告を退ける決定をした。
これにより、「生命保険が売買の対象になれば不正の危険が増大する」として名義変更を認めなかった2審・東京高裁判決が確定した。
この訴訟は、生保売買の是非を問う初の訴訟として注目を集めた。
米国では生保買い取りビジネスが普及し、買い取り業者に対する法的規制があるが、日本では法的規制はない。
訴えていたのは、埼玉県内の男性がん患者(52)。
男性は1989年、死亡時に3000万円が支払われる生命保険を千代田生命保険(現・AIGスター生命保険)と契約。
その後、男性は肝がんと診断され、医療費などで生活が困窮したため、04年12月に死亡保険金を受け取る権利を「リスク・マネジメント研究所」(東京都江東区)に849万円で売却することで合意した。
しかし、生保側が「倫理的問題がある場合は同意しない」とする内規を理由に、契約者と受取人の名義変更を拒否したため、提訴した。
現在も自宅で療養生活を送っている男性は、「長期療養で生活に困っている患者は多い。訴訟を契機に、生保買い取りについて議論してもらいたかったが残念だ」と話した。
(2006年10月12日読売新聞)
******* 以下、その前段としての高裁判決の記事です。 *******
生命保険売買2審も棄却 がん患者の訴え認めず
長期療養で生活に困窮した埼玉県内のがん患者の男性(51)が、生命保険を東京都内の買い取り業者に売却するため、AIGスター生命保険(東京都中央区)に対し、保険の名義変更に同意するよう求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。
南敏文裁判長は「男性の窮状は理解出来るが、生命保険が売買の対象になれば、不正の危険が増大する」と述べ、名義変更を認めなかった1審・東京地裁判決を支持し、男性側の控訴を棄却した。
男性の代理人弁護士によると、生保買い取りビジネスに関する初の訴訟。同ビジネスは米国などで普及しているが、日本ではこの業者が先駆けとされ、法的規制はない。
判決では、保険の契約者が気力、体力が衰弱した病人という弱い立場にあることから、生命保険の買い取りを巡って米国で過去に、不当な買いたたきや、犯罪組織が業者になりすますなどの問題が起きたことなどを指摘。「個別事案による解決は困難で、今後、いかなる救済を図るべきか、生命保険買い取り業者の規制をどうすべきかなど、慎重な検討が必要だ」と述べた。
男性は1989年、死亡時に3000万円が支払われる生命保険を契約した。2002年に肝がんと診断され、医療費などで生活が困窮。04年12月、死亡保険金を受け取る権利を「リスク・マネジメント研究所」(江東区)に849万円で売却することで合意したが、AIG側が「モラルリスク(倫理的問題)がある場合は同意しない」などとする内規を理由に、名義変更を拒否していた。
「生きるすべない」原告男性泣き崩れ
「これでは、私と家族が生きていくすべがない」。原告の男性は判決後、法廷の外で泣き崩れた。
がんで入退院を繰り返す中、仕事は退職に追い込まれた。妻の内職収入(月額約12万円)が頼りだが、自宅売却や親族からの借金でも足りず、通院すら控えている。月約1万7000円の保険料を支払い続けることが困難になったが、保険を解約しても返戻金は約28万円にすぎない。「治療費は出ていく一方。まとまった金はのどから手が出るほど欲しい」と、保険買い取りを求めていた。
1審判決後、リスク・マネジメント研究所には約10件の問い合わせがあったといい、保険買い取りに対するニーズは少なくないと見られる。男性はこの日、上告する意向を示し、「私の訴訟をきっかけに、生保売買について議論してもらいたい。必要なら法整備もしてほしい」と話した。
(2006年3月22日 読売新聞)
―コメント

この原告の男性のように、生保にはしっかり加入していても、長患いにより困窮している患者さんは多いと思います。
かつての生命保険の多くは「死亡したときだけ」(高度障害を含む)を想定しており、この「長患い」は想定外だったのです。
それは医療技術や意識が変化し、「がん=死ぬ」から「がんは治る病気」に変わってきたからでしょう。
今でこそ、医療保険が普及してきましたが、例えば入院日額5千円で1入院60日型の場合、受け取り総額でも30万円にしかなりません。
特に「がん」の場合は退院後に莫大な費用がかかるケースが多いのです。
アメリカではこの生命保険の買い取り制度があると聞いていました。
最近 わが国でも「リバースモーゲージ」(逆住宅ローン)のような良い制度が普及しつつありますので、買い取り業者に対する法規制を整備していただき、この生命保険の買い取り制度を普及できればと思います。
では、長患いに対応できる最新の保険商品はあるのか? ―あります。いいのが。
損保ジャパンが提携している第一生命はこの分野に力をいれており、定評があります。詳しくはこちらをご参照ください。
万が一に「長患い」になってしまった場合に、払い込み保険料が免除になるだけでなく、生活費として年金まで受け取れる優れモノです。
弊社にて取り扱っておりますので、ご興味ある方は小職までお問い合わせください。