透明人間たちのひとりごと

それは小学校の頃 鴉のつけているマスクに憧れた。

「カラスの死体ってみたことある?」
「ないない」
「カラスって頭いいから仲間の死体をみつけたら隠すんだって」
「どこに?」
「さあ、自分の群れのエリアかなぁ」
「食べるのかな?」
「どうかな」

 とかいう会話を小学校の頃した記憶がある。
 そのときはすんなりと納得していたけれども、今になって思ったら車に轢かれたのを除いて動物の死骸を見ることはそんなない。

 カラスをいじめたら仲間で仕返しにくるとかいうのも話題になった。

 今日、カラスを見た。

 僕はそのとき車に乗っていて、赤信号でとまるところだった。
 ほんの少し先で、カラスが羽を広げてこちらのほうへ向かってきた。
 ロープを咥えているようだった。
 僕の運転する車の頭上を通り過ぎる直前、よく見てみたらそれは蛇だった。

 ヘビ。

 蛇を咥えたカラスを見たのは生まれて初めてだと思う。
 控えめに言わなくても、「そうだ」
 初めて、見た!

 蛇も、生まれて初めて空を飛んだ感覚を味わったことだろう。

 素に持って帰って、どのようにして蛇を食べるのか気になったけれど、
 情けないことに僕の車は空を飛べなかった。

 昼間に、車のホイールに張り付いたカエルを見た。
 カエル君は、カラスに咥えられたヘビをみて、何を思うのだろうか。

 カラスの放つオーラも、妥協のない羽の色も、毒のある鳴き声も、
 好きだ。

 
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