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愛・読書博

インターネット上の読書感想文(もとはOCNブログ人で綴っていましたが、サービス終了によりgooブログに移設しました。)

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線

2005-09-11 22:23:00 | 本と雑誌
■10年前だったら理解できなかったかもしれない


fukuzatsu


今日は衆議院選挙の投票日。

僕は、9月3日から6日まで、岐阜県可児市にいた。

正確にいうとその間、実家のある愛知県岡崎市から、約50キロメートルの距離を車で通っていた。
目的は、ここの日記でも既に紹介した、岐阜4区から民主党で立候補した後輩・熊谷君の選挙活動を手伝うことだった。

 http://homepage.mac.com/yu1o/kuma/

彼の選挙事務所で他のスタッフたちとともに葉書の宛名を書き、名簿を前に電話をかけ、集会で彼の演説を聞いた。
そんな活動をしていると、どうしたって候補者への思いは強くなるだろう。

ましてや彼は、人生において最も多感な時期に、いかばかりかの体験を共有した間柄だ。
ひたむきな彼の声を聞き、彼の姿を目にするほど、僕らのほうもピュアに染まってしまう。生活の一部として切り離せなくなる。

だから、この土曜日はあえて行かなかったんだけどね。
彼の学生時代の友人のうち何人かは、この週末も駆けつけているところなんだけど。
僕にはできること、やれることは既に終わっているという気もして、とどまって横浜で普通の休日を過ごした。

しかし…。
いまのところの開票速報の状況では、彼に当選の見込みはない。
勝てない選挙って、つらいよなあ。

どうするどうなる、熊谷君。

ただ、改めて気づいた。
候補者の決意と努力に加え、それを支える家族やスタッフたちの働き。それにきっと少なくはない経済的な支出。それらがあって、有権者は選択肢を得ることができているのだ。

掲示板に貼られているポスターの向こうに、積み重なっているものを、今回の選挙で僕は垣間見た。

僕が1票を行使する機会を得たとしたら、その機会はできるかぎり、無駄にするべきではないんだろう。
素直にそう思った。

…と。ちょっと真面目すぎるかな?


さて今日の昼間、岐阜4区の行く末を気にしつつ読み終えた本がこれ。

 複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794213859/

タイトルの通り、単純な法則で複雑な世界が成立していることを解説した本。
「6人たどれば,世界中のだれとでもつながる」という「スモールワールド」。その発見の経緯や、一見不思議なネットワークの構造がどうして現われるのかを解き明かしている。

選挙モードと、その前の原稿の締切りでやや余裕を失っていた頭を、自分モードに切り替えるのに最適だったかな?

実際、知的好奇心が久々にかなりのレベルで刺激された書でありましたよ。

これまで自分が触れたことがなく、でも実は世の中に大きく左右しているような学問的事実。
そんなことがあったのかと、初めて知る時の新鮮な感覚。

歳を重ねるほど、そうしたタイプの感動を味わう機会は減っているのだけど、今週はこの本のおかげでその贅沢を味わうことができた。
ちょっとした幸い。

思えば学生時代には、いま以上に読書に励んでいて、そういう感覚をわりと頻繁に味わっていたもんだが…。
ただ考えるに、その当時、この内容を解説した本があったとしても、その時はたぶん難しくてうまく理解できなかっただろうな。

この本の内容がいますんなり腑に落ちるのは、インターネットが当たり前になり、僕自身がそれを使いこなすようになって久しく、ネットワークというものの構造を体感的に知り得ているからだろう。
10年前には、そうした前提がなかったから、きっと説明されてもチンプンカンプンになったのではないか。

逆に言うと、僕に限らずいまや数多くの人がネットワークというものについて、理解よりも先に経験から入っているわけだ。
直感において理解しうる土壌が整っているわけだから、それを扱う科学の分野は、これから加速度的に発展していきそうな気はするね。

うん。


それにしても、自民党がもし仮に300議席を越えるとしたら--。
この先郵政民営化法案が成立した先も4年間これで回っていくとしたら、正直ちょっと勝ち過ぎではないかい。

まあ、小選挙区制度の特性がうまく出た選挙であるとは言えるのか。


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