abyman の折り紙と日記

折り紙、本、旅の日記

折り紙と幸福の日記

2018-07-03 21:33:01 | 日記
幸福と成功は別物なんだという。
哲学者の三木清は、幸福は質的でオリジナルなものであり、
成功は量的で一般的なものだと言っている。
10年前まで、成功することが幸福の形なんじゃないかと思っていた。
成功を選ぶか、幸福を選ぶか?
と言われれば、今は幸福を選ぶと思う。
人それぞれの幸福の形に関われれば、それはボクにしても幸福感を享受できるのではないか?
と思っている。

日曜日だけ来ている片麻痺で認知症のおじいちゃんは、ボクのことをマスターと呼ぶ。
おじいちゃんはノブさんという。
「ノブさん、3時半からカラオケするから、3曲歌う歌を決めといて?」
「マスター、2曲でいいかな?」
ボクはノブさんの肩を摩る。
「ノブさん、先週は6曲一緒に歌ったじゃない。今日は3曲は最低歌おうよ」
「そうだけど、マスター3曲歌うのは大変なんだよ」
「じゃ、2曲でいいからさ、歌う歌を決めといてよ」
「マスター、1曲目は何を歌うか決めたんだけど、2曲めがね?」
「1曲目は、何を歌うんだい」
「それがね、ほら何とかブルースみたいなのあるじゃない」
「中ノ島ブルースかい?」
「マスター、そういう選択肢もあるんだけど、違う歌もあると思うんだ」
「新潟ブルースかな」
「マスター、それもいいかもしれないな」
「ノブさん、新潟ブルースにしようか?」
ボクは、車椅子のノブさんのヨダレをテッシュで拭く。
「マスター、一応考えてみるよ」
「ノブさん、やっぱり、5曲は歌おうよ」
「マスター、3曲でいいと思うよ」
「そうかな?」

ノブさんは現役時代、社交ダンスの先生をやっていたという。
2人で夕方、カラオケを歌う。
カラオケの歌詞が読めないノブさんのために、耳元で歌詞をつぶやく。
歌い終わって、
「ノブさん、イエーイ」
とボクは叫ぶ。ノブさんは、
「馬鹿マスター、イエーイ」
と叫ぶ。
この幸福感は何とも言えない。



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