2月24日
今日は月一の土曜出勤だ。会社が早く終わるんで、嫁さんと待ち合わせして一杯。これが土曜出勤の定番だ。
さて今夜は四谷へ行こう。四谷には東京で伝説と言われる角打ち「鈴傳」があったり、僕の好きな店がいくつかある。「しんみち通り」という路地に飲み屋が並び、近くのサラリーマンや上智大学生が集う店が多数ひしめく。その中でも今夜選んだのは秋田料理の居酒屋だ。以前に会社を辞めた後輩とともに訪問し、どろどろになるまで飲んだことがある店なのだが、その思い出が忘れられず、きりたんぽが食べたいと言い続けていた嫁さんを連れて訪問することになった。
しんみち通りを新宿方向に進み、最初のどんつきに突き当たる寸前の右側のビル1階奥に、秋田居酒屋「太平山」がある。さて太平山の暖簾をくぐると、入ってすぐに調理場を囲むようにしてカウンターがL字で構え、店舗中央に大きな囲炉裏があり、それを1周する形でカウンターが囲む。またテーブル席も4席ほどあり、奥には長い座敷もある。今夜もすでに奥座敷は宴会のグループが占領し、テーブルも2席は埋まった状態。今夜の僕は、前に来たときに座りたかった囲炉裏を囲むカウンターに席を取った。
さてメニューを見ながらラガーの大瓶を1本。互いに注ぎあい、いざ乾杯。ラガーの冷たい苦味がうまい。さてここは秋田料理の名店。秋田と言えばやはり「きりたんぽ」だ。が、それはまだ後として、とりあえず名物「はたはた塩焼き」「皮内地鶏の刺身盛り合わせ」「いぶりがっこ」を注文した。
スパゲッティーのサラダの突き出しを食べながら、久々の外食に期待を膨らます我ら二人。
まずは「いぶりがっこ」が届いた。これは秋田の名産で、沢庵漬けを燻製にしたものだ。すかさず僕は日本酒を注文。秋田の酒「津月・純米吟醸無濾過」でいぶりがっこを迎え撃つ。燻製のほのかな香ばしさと、沢庵独特の臭みが素晴らしい二重奏を奏で、圧倒される歯ごたえはまさに驚愕。前に来たときも後輩を3度お替りしたが、今夜もいぶりがっこの迎撃にたじたじだ。
さて「皮内地鶏の刺身盛り合わせ」は、正肉、すなずり、レバーの盛り合わせだ。レバーはまるで臭みが無く、とろとろ。正肉はしゃきしゃき、ねっとり。すなずりはこりこりと歯ごたえが軽快で、添えられたゆず胡椒が花を添える。嫁さんも秋田銘酒「太平山」のにごり酒をもらい、これで秋田名物とにらみ合う心構えだ。
「はたはた塩焼き」はまさに美味。はたはたは東北でよく食べられる魚。うろこが無く、ぬめぬめとして気持ち悪いが、焼いたり煮たり干したりするとなんとも言えずうまい。ここのはたはたは20cmはあろうかというメス。タマゴがぶりぶり入り、あごが疲れるほどの歯ごたえだ。本物のタマゴか疑わしい位のボリュームだ。これを一人1匹平らげる我が夫婦。はたはたは秋田のイメージが強いが、一番漁獲量が多いのは北海道で、2位は兵庫。本場の秋田は3位らしい。
さてエンジンがかかってきた所で、僕は「太平山」の熱燗に切り替え。自動付け器で付けられた燗酒は熱いので、少し覚ましながら口に運ぶ。時々嫁さんのにごり酒で口を調整しながら、追加の注文に余念が無い。
「川えびのから揚げ」はぱりぱりと香ばしく、潮の香りがとても上品で、再度ビールが欲しくなる。日本酒に合わせて注文した「ばくらい」はホヤの塩辛。僕は前から興味があり、ようやく今夜初めて口にする。キングが「これがあればほかに何もいらない」と語るだけあって、フルーツのような甘みの裏に、海水のようなえぐみと苦味が混在し、まさにカオスの味わい。これは日本酒との合性が抜群だ。素晴らしい。仕事のトラブルやらであわただしい毎日が馬鹿馬鹿しくなるくらいだ。人間の幸せここにあり。
いつの間にか店の中は客で満員。僕らも大人数のお客さんの入店に合わせ、テーブル席へ移動し、居心地の良い囲炉裏端を手放すことになった。が、それは仕方なし。
さて本日のメイン「きりたんぽ鍋」が届く。ガスコンロに鍋を置いてだしをはり、皮内地鶏、豆腐、せり、ごぼう、しらたき、きりたんぽなどをぶち込む。しばらくすると、もう我慢できないにおいが充満。「それっ」とばかりに二人で箸を伸ばす。比内地鶏は秋田の宝。もうこの肉感と上品な脂が最高。嫁さんも「脂に食感がある」という名言を残すほど。しらたきもその辺で売っているものとは違い、なんとなく田舎臭い食感と味わい。なかでも特筆すべきは「せり」だ。最初何なのかわからず、店の女性に訪ねたところ、秋田から取り寄せたせりだそうで、根っこまでおいしいらしい。なるほどこんなの鍋に入れていいのか?と知らない人ならクレームをつけそうなくらいの根っこ付のせりが泳いでおり、この根っこが言葉の通りうまい!!甘く、そして大地の味が口に広がり、おもわず自然に感謝したくなる味わい。最後にとった「太平山」のたる酒の冷が、鍋の脂と口の中で化学反応を起こすうまさ。嫁さんもご満悦の様子。
締めにと言うことで、雑炊か名物「稲庭うどん」か迷った挙句、稲庭うどんを二人で1玉注文。さっとスープに潜らせ、ねぎをかけてツルツル・・・ああ、もう言葉が無い。
二人とも満腹で、笑顔をこぼしながら店を出るころには、今年の忘年会はここで決まりと確認しあうほどに。はっきり言います。ここのきりたんぽは最高です。
「じゅんさい」「とんぶり」など、秋田にはまだまだ名産品があり、酒も「両関」「刈穂」「飛良泉」と、銘酒が凌ぎを削る。まだまだ知らねばならぬことがあるが、今夜のところはここまでで退散だ。
さあ、忘年会まで後10ヶ月。これからここに勝る忘年会候補は見つかるのだろうか?
今日は月一の土曜出勤だ。会社が早く終わるんで、嫁さんと待ち合わせして一杯。これが土曜出勤の定番だ。
さて今夜は四谷へ行こう。四谷には東京で伝説と言われる角打ち「鈴傳」があったり、僕の好きな店がいくつかある。「しんみち通り」という路地に飲み屋が並び、近くのサラリーマンや上智大学生が集う店が多数ひしめく。その中でも今夜選んだのは秋田料理の居酒屋だ。以前に会社を辞めた後輩とともに訪問し、どろどろになるまで飲んだことがある店なのだが、その思い出が忘れられず、きりたんぽが食べたいと言い続けていた嫁さんを連れて訪問することになった。
しんみち通りを新宿方向に進み、最初のどんつきに突き当たる寸前の右側のビル1階奥に、秋田居酒屋「太平山」がある。さて太平山の暖簾をくぐると、入ってすぐに調理場を囲むようにしてカウンターがL字で構え、店舗中央に大きな囲炉裏があり、それを1周する形でカウンターが囲む。またテーブル席も4席ほどあり、奥には長い座敷もある。今夜もすでに奥座敷は宴会のグループが占領し、テーブルも2席は埋まった状態。今夜の僕は、前に来たときに座りたかった囲炉裏を囲むカウンターに席を取った。
さてメニューを見ながらラガーの大瓶を1本。互いに注ぎあい、いざ乾杯。ラガーの冷たい苦味がうまい。さてここは秋田料理の名店。秋田と言えばやはり「きりたんぽ」だ。が、それはまだ後として、とりあえず名物「はたはた塩焼き」「皮内地鶏の刺身盛り合わせ」「いぶりがっこ」を注文した。
スパゲッティーのサラダの突き出しを食べながら、久々の外食に期待を膨らます我ら二人。
まずは「いぶりがっこ」が届いた。これは秋田の名産で、沢庵漬けを燻製にしたものだ。すかさず僕は日本酒を注文。秋田の酒「津月・純米吟醸無濾過」でいぶりがっこを迎え撃つ。燻製のほのかな香ばしさと、沢庵独特の臭みが素晴らしい二重奏を奏で、圧倒される歯ごたえはまさに驚愕。前に来たときも後輩を3度お替りしたが、今夜もいぶりがっこの迎撃にたじたじだ。
さて「皮内地鶏の刺身盛り合わせ」は、正肉、すなずり、レバーの盛り合わせだ。レバーはまるで臭みが無く、とろとろ。正肉はしゃきしゃき、ねっとり。すなずりはこりこりと歯ごたえが軽快で、添えられたゆず胡椒が花を添える。嫁さんも秋田銘酒「太平山」のにごり酒をもらい、これで秋田名物とにらみ合う心構えだ。
「はたはた塩焼き」はまさに美味。はたはたは東北でよく食べられる魚。うろこが無く、ぬめぬめとして気持ち悪いが、焼いたり煮たり干したりするとなんとも言えずうまい。ここのはたはたは20cmはあろうかというメス。タマゴがぶりぶり入り、あごが疲れるほどの歯ごたえだ。本物のタマゴか疑わしい位のボリュームだ。これを一人1匹平らげる我が夫婦。はたはたは秋田のイメージが強いが、一番漁獲量が多いのは北海道で、2位は兵庫。本場の秋田は3位らしい。
さてエンジンがかかってきた所で、僕は「太平山」の熱燗に切り替え。自動付け器で付けられた燗酒は熱いので、少し覚ましながら口に運ぶ。時々嫁さんのにごり酒で口を調整しながら、追加の注文に余念が無い。
「川えびのから揚げ」はぱりぱりと香ばしく、潮の香りがとても上品で、再度ビールが欲しくなる。日本酒に合わせて注文した「ばくらい」はホヤの塩辛。僕は前から興味があり、ようやく今夜初めて口にする。キングが「これがあればほかに何もいらない」と語るだけあって、フルーツのような甘みの裏に、海水のようなえぐみと苦味が混在し、まさにカオスの味わい。これは日本酒との合性が抜群だ。素晴らしい。仕事のトラブルやらであわただしい毎日が馬鹿馬鹿しくなるくらいだ。人間の幸せここにあり。
いつの間にか店の中は客で満員。僕らも大人数のお客さんの入店に合わせ、テーブル席へ移動し、居心地の良い囲炉裏端を手放すことになった。が、それは仕方なし。
さて本日のメイン「きりたんぽ鍋」が届く。ガスコンロに鍋を置いてだしをはり、皮内地鶏、豆腐、せり、ごぼう、しらたき、きりたんぽなどをぶち込む。しばらくすると、もう我慢できないにおいが充満。「それっ」とばかりに二人で箸を伸ばす。比内地鶏は秋田の宝。もうこの肉感と上品な脂が最高。嫁さんも「脂に食感がある」という名言を残すほど。しらたきもその辺で売っているものとは違い、なんとなく田舎臭い食感と味わい。なかでも特筆すべきは「せり」だ。最初何なのかわからず、店の女性に訪ねたところ、秋田から取り寄せたせりだそうで、根っこまでおいしいらしい。なるほどこんなの鍋に入れていいのか?と知らない人ならクレームをつけそうなくらいの根っこ付のせりが泳いでおり、この根っこが言葉の通りうまい!!甘く、そして大地の味が口に広がり、おもわず自然に感謝したくなる味わい。最後にとった「太平山」のたる酒の冷が、鍋の脂と口の中で化学反応を起こすうまさ。嫁さんもご満悦の様子。
締めにと言うことで、雑炊か名物「稲庭うどん」か迷った挙句、稲庭うどんを二人で1玉注文。さっとスープに潜らせ、ねぎをかけてツルツル・・・ああ、もう言葉が無い。
二人とも満腹で、笑顔をこぼしながら店を出るころには、今年の忘年会はここで決まりと確認しあうほどに。はっきり言います。ここのきりたんぽは最高です。
「じゅんさい」「とんぶり」など、秋田にはまだまだ名産品があり、酒も「両関」「刈穂」「飛良泉」と、銘酒が凌ぎを削る。まだまだ知らねばならぬことがあるが、今夜のところはここまでで退散だ。
さあ、忘年会まで後10ヶ月。これからここに勝る忘年会候補は見つかるのだろうか?