大学の友人の一人に、現在料理人修行中の友人がいる。彼は2年前まで普通のサラリーマンだったが、割烹を営んでいたご両親の影響や、美食愛好の趣味が乗じ、いつしか料理人を志し、会社を退社後、スペインを旅し、僕の知り合いの新潟のスペイン料理屋で数ヶ月修行をし、現在は原宿のフレンチで修行をしている。といっても厳しい世界。まだ厨房に入れず、ホールをやっている。なんだか某局のTVドラマみたいな展開だが。そんな彼と久々に飲もうかということになり、それぞれ店選びをしてみたが、仕事がら洋食に傾く彼の探す店はビストロなど。副職(?)がら僕の選ぶ店は居酒屋。中々折り合いがつかない。そこで思いついたのが「山利喜」だ。
以前に嫁さんと訪問し、古き良き居酒屋ながら、時代の流れに上手く乗り、洋食のカラーを上手く取り入れていると感じたこの店に、僕は自信を持って彼を案内した。
さて5時の開店と同時に店に着いたが、すでに店の前には行列が。しかし待つことなくすぐに入店完了。口開けにキリンの中ジョッキをもらい乾杯!久々の再開を祝う。
さて近況報告などしながらメニューを観察。洋食的メニューの豊富さに驚く彼は、僕がここを選んだ理由に合点がいった様子だ。まずは名物「煮込み」を1人づつ注文。さらに彼のリクエストで「クレソンサラダ」と、前回嫁さんと食べ損なった「スペアリブ」を注文した。彼はワインエキスパートという資格を取るために勉強中だとか。だからここのワインの豊富さにも関心あり、さっそくお勧めの白ワインをボトルで注文だ。ソムリエの資格を有する店員が颯爽と応対し、綺麗にコルクを抜く。これは居酒屋で見られる光景ではない。実は僕もワインアドバイザーの有資格者だった。が、更新を忘れたため資格失効。今はただの酒好きなだけで、ワインの知識もずいぶん薄れた。だからグルナッシュ種に白ワイン用のブドウがあったことさえ知らず、ラベルを見てうなるざまだ。
僕はとりあえず日本酒が欲しくなり、新潟の「鶴の友」をぬる燗で注文。鶴の友はキングも称える熱燗向きの銘酒だ。彼は白ワインをごくりとやりながら、クレソンサラダにご満悦。さらに「レバーのテリーヌ」を追加。これもまた居酒屋のレベルではない。白ワインにはもちろんだが、僕のぬる燗にもピタリと合うのが素晴らしい。見た目は洋食であっても、食べてみるとどこかに和のテイストを感じるのは、やや薄味の味付けだからか?
さて「スペアリブ」は程よいサイズのリブが3切れ乗り、ボリューム満点。軟骨までぽりぽり食べれて、これは酒が進む。僕も今夜は彼に付き合いワインだ。久々のワインに舌が冴えわたる。
ハイペースで料理を平らげる二人。名物焼きトンを試そうではないか、ということで「たん」「レバー」「はつ」をお勧めの焼き方で注文した。周りのテーブルもサラリーマンや近所のお客さんで埋まり、店はいつしか満席で外に行列も出ている。焼きトンのオーダーがてんこ盛りになり、店の中には芳しい香りが充満する。
「レバー」は珍しく塩焼き。これにもワインが合う。「タン」「はつ」はこりこりで、甘辛いタレがジューシーで香ばしい。そして後味で残る脂分も、ワインがさらりと流してくれるし、カラシを付けて食べることにより、スパイシーな風味も添加される。そろそろボトルが空いたのを確認し、彼はもう一本とばかりに、今度は赤ワインを取り寄せた。そうとなるとつまみが足りない。すかさず「ポテトフライ」「キャベツの一夜干し」を追加だ。
酒が進む中、懐かしい話にも花が咲き、はたまた将来の話やガンダムの話にめまぐるしく展開して行く。話も尽きないが、食欲も尽きない。そして酒は進む進む。気がつけば1時間で赤ワインは空っぽに・・・そろそろワインに飽きたとばかりに、「神亀」を熱燗をでもらい、これにあわせて「菜の花のおひたし」「くさや」「ほたるいかとうどのヌタ」を注文。熱めの燗酒を注ぎ合いながら、箸も口も止まることのない時間がさらに過ぎた。
フレンチレストランで働く彼は、やや高級な食材を目にすることの多い日々。将来自分で店を出すのが夢な彼に聞いてみた、どんな店を開きたいのかと。帰ってきた答えは「大衆的な店」という答えだった。居酒屋レベルまで大衆的かどうかはわからんが、その答えにほっとした僕。友達が開業するなら、頻繁に行ける店でないと困る。高い店じゃ幅を利かせて常連ぶることもできない。これで安心だ。安い単価でえらそうにする。そんな嫌な常連になってやらねば。しっしっしっ・・・
やはり日本人は基本的には大衆的民族だと思う。さらに日本人にとって洋食は記念日やイベント的なものだと思う。洋食に居酒屋的な大衆風を注ぎ込み、日常的に通える洋食居酒屋。これもいいものではないか?山利喜のさらに発展的な店。彼がそんな店を目指すかどうかはわからないが、今日ここに連れてきたことが、彼の仕事や夢に、少しでも良い影響を与えてくれたら僕は幸せだ。なんて感じながら足をふらつかせて店を出た。地下鉄に乗り込み、途中で先に降りる僕。電車を降りる寸前、彼と硬い握手を交わした。友達なら無言で伝わる激励。僕とは戦う世界が違う彼だが、彼は彼の道で成長している様子だ。また次に会う時、違う一面を覗かせて欲しい。僕も頑張らなくては・・・そう心に誓いながら、乗り換える地下鉄のホームへ歩き出した。
以前に嫁さんと訪問し、古き良き居酒屋ながら、時代の流れに上手く乗り、洋食のカラーを上手く取り入れていると感じたこの店に、僕は自信を持って彼を案内した。
さて5時の開店と同時に店に着いたが、すでに店の前には行列が。しかし待つことなくすぐに入店完了。口開けにキリンの中ジョッキをもらい乾杯!久々の再開を祝う。
さて近況報告などしながらメニューを観察。洋食的メニューの豊富さに驚く彼は、僕がここを選んだ理由に合点がいった様子だ。まずは名物「煮込み」を1人づつ注文。さらに彼のリクエストで「クレソンサラダ」と、前回嫁さんと食べ損なった「スペアリブ」を注文した。彼はワインエキスパートという資格を取るために勉強中だとか。だからここのワインの豊富さにも関心あり、さっそくお勧めの白ワインをボトルで注文だ。ソムリエの資格を有する店員が颯爽と応対し、綺麗にコルクを抜く。これは居酒屋で見られる光景ではない。実は僕もワインアドバイザーの有資格者だった。が、更新を忘れたため資格失効。今はただの酒好きなだけで、ワインの知識もずいぶん薄れた。だからグルナッシュ種に白ワイン用のブドウがあったことさえ知らず、ラベルを見てうなるざまだ。
僕はとりあえず日本酒が欲しくなり、新潟の「鶴の友」をぬる燗で注文。鶴の友はキングも称える熱燗向きの銘酒だ。彼は白ワインをごくりとやりながら、クレソンサラダにご満悦。さらに「レバーのテリーヌ」を追加。これもまた居酒屋のレベルではない。白ワインにはもちろんだが、僕のぬる燗にもピタリと合うのが素晴らしい。見た目は洋食であっても、食べてみるとどこかに和のテイストを感じるのは、やや薄味の味付けだからか?
さて「スペアリブ」は程よいサイズのリブが3切れ乗り、ボリューム満点。軟骨までぽりぽり食べれて、これは酒が進む。僕も今夜は彼に付き合いワインだ。久々のワインに舌が冴えわたる。
ハイペースで料理を平らげる二人。名物焼きトンを試そうではないか、ということで「たん」「レバー」「はつ」をお勧めの焼き方で注文した。周りのテーブルもサラリーマンや近所のお客さんで埋まり、店はいつしか満席で外に行列も出ている。焼きトンのオーダーがてんこ盛りになり、店の中には芳しい香りが充満する。
「レバー」は珍しく塩焼き。これにもワインが合う。「タン」「はつ」はこりこりで、甘辛いタレがジューシーで香ばしい。そして後味で残る脂分も、ワインがさらりと流してくれるし、カラシを付けて食べることにより、スパイシーな風味も添加される。そろそろボトルが空いたのを確認し、彼はもう一本とばかりに、今度は赤ワインを取り寄せた。そうとなるとつまみが足りない。すかさず「ポテトフライ」「キャベツの一夜干し」を追加だ。
酒が進む中、懐かしい話にも花が咲き、はたまた将来の話やガンダムの話にめまぐるしく展開して行く。話も尽きないが、食欲も尽きない。そして酒は進む進む。気がつけば1時間で赤ワインは空っぽに・・・そろそろワインに飽きたとばかりに、「神亀」を熱燗をでもらい、これにあわせて「菜の花のおひたし」「くさや」「ほたるいかとうどのヌタ」を注文。熱めの燗酒を注ぎ合いながら、箸も口も止まることのない時間がさらに過ぎた。
フレンチレストランで働く彼は、やや高級な食材を目にすることの多い日々。将来自分で店を出すのが夢な彼に聞いてみた、どんな店を開きたいのかと。帰ってきた答えは「大衆的な店」という答えだった。居酒屋レベルまで大衆的かどうかはわからんが、その答えにほっとした僕。友達が開業するなら、頻繁に行ける店でないと困る。高い店じゃ幅を利かせて常連ぶることもできない。これで安心だ。安い単価でえらそうにする。そんな嫌な常連になってやらねば。しっしっしっ・・・
やはり日本人は基本的には大衆的民族だと思う。さらに日本人にとって洋食は記念日やイベント的なものだと思う。洋食に居酒屋的な大衆風を注ぎ込み、日常的に通える洋食居酒屋。これもいいものではないか?山利喜のさらに発展的な店。彼がそんな店を目指すかどうかはわからないが、今日ここに連れてきたことが、彼の仕事や夢に、少しでも良い影響を与えてくれたら僕は幸せだ。なんて感じながら足をふらつかせて店を出た。地下鉄に乗り込み、途中で先に降りる僕。電車を降りる寸前、彼と硬い握手を交わした。友達なら無言で伝わる激励。僕とは戦う世界が違う彼だが、彼は彼の道で成長している様子だ。また次に会う時、違う一面を覗かせて欲しい。僕も頑張らなくては・・・そう心に誓いながら、乗り換える地下鉄のホームへ歩き出した。