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鉄道網

2017-10-21 23:57:16 | 日記
 【エルサレム=飛田雅則】イスラエルは、敵対関係にあったアラブ諸国と自国を結ぶ広域鉄道網の整備計画を提案する。カッツ運輸・道路安全相兼情報活動相が日本経済新聞のインタビューで「サウジアラビアなどを含めたアラビア半島を走る鉄道網をつくりたい」と述べ、アラブ諸国に提案する意向を示した。計画が動き出せば、イスラエルとアラブ諸国の関係が改善する可能性もある。日本にも協力も求める。

 62歳のカッツ氏は最近、ネタニヤフ首相が与党リクードの党首を辞任すれば、次期党首に立候補すると発言。党内の実力者の一人と目される。

 イスラエルが検討する計画は、ヨルダンの鉄道建設に協力し、イスラエルとアラブ諸国の既存の鉄道を接続する内容で地中海とペルシャ湾を結ぶ交通網ができる。カッツ氏は「経済交流が活発になり、地域の平和に貢献できる」と指摘した。

 イスラエルは国交のないサウジやアラブ首長国連邦(UAE)など湾岸諸国にも参加を促す。鉄道計画の主要ルートはイスラエルの第3の都市で貿易港がある北西部のハイファからヨルダンを通り、サウジの鉄道と接続する。「ヨルダンを経由し、サウジやイラクの国境とイスラエルを結ぶ200キロメートルの鉄道路線を設ければ広域鉄道網が完成する」と語った。

 サウジなど湾岸のアラブ諸国への物資の輸送は地中海からスエズ運河や紅海、ホルムズ海峡を経由し、ペルシャ湾に至る海運ルートが一般的。「アラビア半島で鉄道網ができれば、輸送にかかる距離や時間を大幅に短縮できる」と訴えた。


 さらにイランが封鎖する可能性があるホルムズ海峡や、イランの息のかかった武装勢力が活動する紅海沿いの通過を避けられる。地政学的なリスクが軽減できることから、カッツ氏はサウジなどアラブ諸国から賛同を得られるとみる。

 カッツ氏は24日から来日する。「高い鉄道技術を持つ日本にも協力を要請する」と話した。この鉄道構想では、鉄道システムの輸出で高い実績がある日本の参加が不可欠とみている。地中海からの物流の要となるイスラエルのハイファ港について「日本企業に25年間のリースを提案する」と明らかにした。

 カッツ氏は今回の来日を鉄道など交通やインフラ分野での相互協力の覚書(MOU)の布石とする。「日本の国土交通相にイスラエル訪問を要請し、数カ月以内でMOUを結びたい」とした。技術者の往来を助けるために「日本との直行便の開設にも動きたい」と語った。

 9月に河野太郎外相が中東情勢への日本の積極関与を示した「河野イニシアチブ」を歓迎。「日本は大きな役割を果たすことができる」と語った。「日本はイスラエルやアラブ諸国の双方と非常に良好な関係がある。鉄道計画では日本は役割を存分に発揮することができる」と期待感を示した。

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