電装経営かわら版

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両備バス社長 小嶋光信さん

2005-05-30 15:21:35 | 業界情報
両備バス社長 小嶋光信さん
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自分に負けず夢実現を

 私が将来の進路を決めたきっかけは二つあった。一つは、福沢諭吉が京都の街中で、すれ違いざまに刀のさやがぶつかった武士といさかいになりそうになったとき、「逃げるが勝ち」と無駄な戦いを避けたというエピソードを本で読んだ時。こういう人間性の人の学校で学びたいと思って慶応に入ったんだ。

 もう一つは、「エコノミー」と「経済」という言葉にふれたとき。「エコノミー」は資産を生むという意味で、そのまま訳したら「資生」だね。「経世済民」という言葉から、国を治めるという意味の「経世」、民の苦しみを救うという「済民」のそれぞれ1文字目をとって「経済」という言葉に翻訳したことを知り、感動した。経済学を学んで、事業を興して、みんなを幸せにしたいという思いにつながった。

 大学生の時には、学生の時にしかできないことをやろうと、グライダー乗りや、世界一周旅行の企画をやった。勉強では4年生のとき、ゼミの先生が忙しくて3年生を教えられなくなり、我々が面倒を見た。教えるというのは勉強になることがわかった。だから今は我が社でも先輩が後輩に教えて、お互い学べるようにしているんだ。

 就職のときは、あらゆる産業の勉強のできるところで働こうと思っていた。いろんな産業を見て、これだと思った事業をやろうと。それで銀行に入ったんだけど、経済の勉強と銀行の仕事にはすごいギャップを感じたね。最初は出納などの現場だけど1年くらいで飽き飽きした。こんなことで、自分が民の苦しみを救えるようになるのかと。

 でも、これではおれの夢は駄目になるなと思った。それで私が提案して、友人で集まって互いの業界のことを教え合ってね。その後、支店長に頼み込んで、入行10年目ぐらいの行員が担当する融資をやらせてもらった。担当したのは、当時は斜陽産業と言われていた繊維、鉄鋼などの業界ばかり。融資のイロハを学んで、経営者になるにあたってすごく勉強になった。

お客様第一と社員の幸せ、目標に掲げ

 会社というのは、人が幸せになるための一つの手段だと考えている。会社が利益のために、首切りをしてもいいとは思わない。それでは「経済人」ではないから。実際に我が社では社会正義、お客様第一と、社員の幸せを目標に掲げている。能力があればいつまでも働いて、自分を含めた家族を幸せにするという気概を持って欲しい。

 今の若者は、夢を実現するという心意気が足りないのかな。できないとすぐ他人のせいにする。自分勝手では成長できない。自分が思わざる仕事に就かされた時に、腐りそうになるけど、自分に負けずに夢を実現する心意気を持って欲しい。どんな仕事でも必ず勉強になるし、役に立つ。

 「働く」というのは、「傍(はた)を楽にする」ということで、自分が楽になるためじゃなくて、周りの人たちを楽にするために働く。夢を実現するには、何をしなくてはならないかを考えるのが大事だ。


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 小嶋光信さん(60) こじま・みつのぶ 慶応大学経済学部卒。68年三井銀行入社。神田支店で融資などに携わった後、73年に両備運輸常務取締役に就任。現在は両備バス代表取締役社長など、両備グループ34社の社長を務める。同グループ代表。