電装経営かわら版

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日報の書き方・書かせ方

2005-05-30 16:03:07 | 人の育て方

 菅理監督者各位殿

死んでいる日報を生き返らせよう。「日報」をOJTの道具として利用しない手はない 


報告を丸呑みするな

 組織の中で仕事をしているか否かにかかわらず、現在の社会では報告書を書いたり、受け取ったりするチャンスが少なくありません。

 しかしながら、特に文章となった報告書には問題が多いのです。書いた人がどんな目的を持って報告書を書いたかにより表現が変わってしまうのです。

 同じデータから逆の結論が導かれていることもあるのです。だから、報告の文章を丸呑みしてはいけないのです。

 会社、組織の中で作られる報告書では、それほどまでに極端な報告書はないでしょうが、報告には二面性があるのです。

会社、工場でつくられている報告書

 会社、工場では定期的に多くの報告書がつくられています。日報、日誌、週報、月報、期報、年報とまとめる期間には幅広い差があります。

 私は週報を含めてもいいと思うのですが月報以上に長い期間をまとめた報告書は結果の報告であり、結果の承認を求め、評価を受けるためのもの。もっと端的に言えば、褒めてもらうために書く報告書です。これからの行動を相談するためのものではないと思います。

 月報などは書いた方から上司や関係先に一方的に流す片方向の情報なのです。

 そして、月報は月度検討会で上司に評価され、悪ければ怒られるための資料でしかないとすれば、逆に怒られないために工夫して書くことになるのです。

 その結果は「努力、注意、反省、検討」という言葉をちりばめて、「結果については、もう、これで無罪放免にして下さい」といって、これ以上のコミュニケーションを拒否する書き方になるのです。

 読んだ上司としてもこれに対してはコメントがつけにくいのです。

報告書の二面性

 正確でなければ意味がない報告書ですが、一方では表面をつくろった分かりやすい報告書が作られやすいという宿命をになっているのです。

 このことを報告書を読む立場にある人は心に深く考えて置く必要があります。

 変化や問題があってもそれが許容範囲にとどまっている状態を安定している状態、無事な状態、特記事項なしの状態というのです。したがって、報告書だけ見ていては問題がないとは言い切れないということになります。

 「現場にある変化や問題がどの程度の状態で押さえられているか」が報告書を受け取る立場にある人にとってポイントになるのですから、表面をつくろった分かりやすい報告書を丸呑みするのではなく、本当の現場の姿を知ることが必要なのです。

 現場の問題の本当のことは現場で見て、聞かなければ分からないのです。どんな会社、工場でも、変化がない現場、問題がない現場は絶対にありません。

日報、日誌の現状を見直そう

 上司と部下との間に良好な人間関係、心の通い合いがあれば組織は活性化されます。上司と部下とのコミュニケーションは部下の活力、エネルギーの源なのです。

 日報を書かせている組織は多いと思いますが、日報を部下と上司の重要なコミュニケーションの武器として、充分に活用しているところは少ないというのが現実ではないでしょうか。

日報の書き方・書かせ方

 日報が数字の羅列だけだったら、書いた人が考えたことは伝わりません。したがって、日報には考察欄がついていてコメントを書くことになっているのが通例です。

 一般に、人は自分のミスや減点になるような情報を他人には知らせたくないものですから、最小限の数字の記入と「特記事項なし」、「異常なし」ですませられるならばこれに越したことはないと思うのが人情です。

 こんな日報を毎日読んでいたら大変ですから、上司としては、部下を指導して何とか日報の考察欄の充実をはかることが必要となります。

 その時、この考察、言うなれば感想文の結びにどんな言葉を使わせるかで、その日報が生きたり、死んだりするのです。

 日報をコミュニケーションツールとして有効に働かせるためには、『注意、努力、反省、検討』という言葉は使ってはいけないのです。

 逆に、コミュニケーションを良くしていく言葉があります。「--ので、嬉しかった」「--ので、楽しかった」「--ので、悔しかった」「--ので、苦しかった」などです。

 この表現は書いた人の気持ちを素直に訴えているので、読んだ上司は共感を覚えて、自分の気持ち、感情をのせた形で、コメントが書きやすくなるのです。

 私は、日報の書式を「考察欄」とか「備考欄」とせず、「嬉しかったこと」「悔しかったこと」を書く欄として、これを大きくすれば効果的だと思っています。

 嬉しかったこと、悔しかったことの記述の中から、数字に対するコメントは十分に読み取れる筈です。

OJTの道具の一つとして

 部下の日報の内容がイキイキとしているかどうかは、その日報を受け取る上司が適確なコメントをつけて、タイミング良く本人にフィードバックしているかどうかにかかっています。

 日報をコミュニケーションツールとして、OJTの武器として使うとすれば、減点主義の取扱いは絶対に避けて下さい。

 日報にミスや減点の記述があれば、それを受け取る上司にとっても好ましいこと、嬉しいことではない筈です。しかし、書いた人はもっと嫌な落ち込んだ気持ちで日報を作ったに違いありません。

 したがって、自分のミスや減点となる可能性のある情報を、勇気を持って、早く正確に書いてくれたことに対し、あなたは「書いてもらって助かった、嬉しかった」とコメントの中に感謝の気持ちを書いて伝えることが必要なのです。

 その後で、必要なアドバイスを加えて、素早くフィードバックしてやり、本人を勇気づけ、動けるようにしてあげることが上司であるあなたの仕事なのです。

 報・連・相はタイミングです。情報は鮮度が売り物です。同じ事実を知らせる情報でも鮮度が違えば、対応・行動が違ってくるのです。あなたと部下との間で、情報交換のスピ-ドををいかにして早くするか、この工夫をすることがあなたの組織の活性化に即つながるのです。