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中国行きのスローハンド

彼女に出会った、あの日から

義姉

2023-06-06 05:44:24 | 日記
妻には、2つ上の姉がいた

過去形になってしまっているのは…
2年前にこの世を去ってしまったからだ

癌だった


僕は、義姉が大好きだった

人としても
女性としても
もちろん、姉としても

尊敬できて、美しくて…

弟になれたことが、誇らしくて、嬉しかった


家を建てる段になって
妻の両親と義姉と僕たち夫婦で同居するという案が出た

みんな大賛成だったけど

僕の中には、一抹の不安が生じる


憧れが欲望へと形を変えてしまう気がした

それは、決して表に出てはいけないことだし
自分の感情にも蓋をしなければならない

同居して
それが、並大抵のことではないということをあらためて感じる


そういう意味において
僕は、少しずつ壊れ始めていく

交代

2023-06-01 17:25:31 | 日記
時代が時代だったからだろうか
監督の暴力に対して、それ以上メディアが動きを見せたり
警察沙汰になったりはしなかった

ただ、父をはじめ野球部のOBたちが黙ってはいなかった

結局、その圧力で監督は退いた

後任には、以前県内の違う高校で野球部の監督をしていた国語の教師に白羽の矢が当たった

彼が監督に就任して間もなく、僕は彼に声をかけられた

「野球部に戻らないか?」
僕はためらうことなく答える
「先生、もし僕が野球部に戻ったら、人としての自分を許すことができません」
新監督は、とても残念がったが、僕の気持ちを即座に理解してくれた
この人のもとで最初から野球がしたかったと、心から思った

暴力行為に及んだ前監督は
監督は退任したものの、体育教師を辞めることはなかった

いかがなものかと思う

図太い


数年後、教育実習で高校を訪れたとき
彼はまだそこにいた

弓道部の顧問になっていて、僕をひたすら避けていた


そのあと
彼がどんな人生を歩んだかはわからない


兄が還暦になったとき田舎に帰った

その時、兄から聞いた

あの暴力監督の甥が、市内で整体院を開業する際
監督の甥であることは黙っていてくれと周囲に漏らしていたということだ

生きていくということは
自分だけの問題ではないのだ

いいことも悪いことも、周りに波及する


整体院が今でも繁盛していることを望むばかりである




OB

2023-05-31 03:03:56 | 日記
廊下で、野球部の顧問に声をかけられた

「君の父親が新聞社にリークしたのか?」

まず、その質問自体どうかしていると思った。
僕を人として見ていない。

「僕にはわかりません」
「君の父親と新聞社の社長は同級生じゃないか」

監督を何とかして守りたいという気持ちはわかる。
でも、リークした人間がわかったからといって
解決の光は見えるのだろうか…

「先生、僕は監督が日常的に生徒の頭をバットで殴ることを
父には話していません」

顧問は黙っている

「僕が父に話したら、もっと以前に問題になっていると思います」

顧問は舌打ちをするように背中を向けて去ってしまった

そもそもである。。。
監督が生徒を殴る行為はどうなのか聞きたい

僕は、家に帰り、父に聞いた

「父は、俺じゃない」とだけ答えた

なんとなくだけど、それは本当だなと感じた


落としどころのないまま、野球部は休部になり
監督は生徒の囲い込みに奔走しているようだった

僕と入院している後輩だけが、蚊帳の外だった


「あそこにいても、何もいいことない。。。」
僕は退部することを父に伝えた


結局、僕と入院していた後輩だけが野球部を去った

何事もなかったように、野球部は活動を再開しようとしていた


父は水面下で、リークした人物を探し当てていた
その名前を表に出すことはなかったけど
監督に対する感情がただらないものになっていた


もう僕にとっては、どうでもいいことだったけれど

どっちもどっちだけど


暴力は正当化されるべきではないと思った


今なら警察沙汰だ




波及

2023-05-29 18:33:52 | 日記
「監督のばかやろう!!」

その声は、応援席に響き渡った

監督のどの采配が、その言葉に繋がるのかはわからない


和解が破壊した

敗退が決まった試合


父の言葉は、大会が終わった後も
様々なところに響き渡っていた


3年生が退いて
2年と1年で、秋の大会を目指すわけだけど…

当然のように、僕は球拾いに戻っていた


自分以外の何ものかに左右されてしまう現状

僕は辞め時を胸に秘めていた


そんな時
新聞に載ってしまう、事件が生じた


監督が日常的にノックバットのグリップで生徒をはたく行為
何年も前から続いていた

1年生が、その衝撃で入院した


いろいろ手を回して、監督はもみ消そうとしたけれど
一度明るみに出たものは、消し去ることはできない

そして
残念なことに
新聞に記事を提供した、犯人探しが始まった

往生側が悪い監督。。。


また、これが僕に波及することになる

スタンド

2023-05-27 05:40:03 | 日記
高校2年の夏の大会

僕は9番レフトでフル出場した

16打数12安打

チーム一の打率で
タイムリーは新聞の一面を飾った
チームは県大会準々決勝を勝ち上がったが
準決勝で敗退した

3年生には申し訳ないが
僕は自分の成績に高揚していた

しかし…
帰りのバスの中
異様な空気が流れているのを感じた


疎外感

監督が僕以外の部員に何かを伝えられたようだ

試合前の状況に戻っている


あとで知ったことだが


原因はスタンドから発せられた父の言葉だった


台無しである
全てが…