ー 農機具一式いくら? ー
毎年田んぼの中の道を歩きながら、農家の人が田を植えたり、稲を刈るのを見て来た。
昔、田植えのときは近くの住人が大勢、ピンと張った縄に沿って横一列に並び、ひとつひとつ手で植えていた。少し大きな田だったらほとんど半日がかりだった。
今では機械で田一枚、一時間もかけずに済んでしまう。刈り入れや乾燥もみな機械だ。こんなに機械だらけにして収支の勘定が合うのかいつも疑問だった。
先日、小さい農家をやっている知人が来たので機械にかかる費用を聞いてみた。野菜はやらず、田んぼだけ5町歩という前提。
トラクターの800万円を筆頭に、占めて少なくとも3000万円という数字が出た。
所詮雑談の間に出て来た数字である。
くまなく計上したわけではない。実際、軽トラの購入費、機械の修理費、肥料代、農薬代、田に水をくみ上げたり乾燥機をまわす電気代、田の固定資産税などは数字に入っていない。
収入の方はどうか。
1反あたり9俵とれるとして、5町歩(50反)で450俵。1俵(60キロ)1万円だったら450万円。
3000万円プラスを投資、リターンは年450万円と考えて一応納得。
もうひとつ大きな疑問があった。
機械を使う期間は5月の田植えと10月の刈り入れの各1週間ほど。ほかの期間は機械は遊んでいる。
これなど、素人には年に2週間ちょっとしか走らないトラックを持っている運送会社に見える。
現役時代、効率、効率でやってきた自分などから見れば、およそ理解できないところである。この部分は課題先送り。