ー 自給生活 その2 ―
(自分たちで育てた野菜です)
「畑仕事をしていると、こんな声が聞こえた。“ ボク、勉強しないとあんなになりますよ ”」
私が聞いた訳ではない。
いつだったか、確か私がまだ20代の頃新聞に載った投書の一部である。畑仕事をしていたのは農家の親父さん、投書をしたのもその親父さんで、“ ボク、 • • • ” は傍の道を通りかかった母親がこちらを見て、連れていた子供に言ったことばだという。
投書を見たのは何十年も前のことである。しかしなぜか頭から離れない。「やれやれ」という思いである。終戦直後の食料難を経験した母親であれば、もう少しましなことを言っただろうと思う。経験がなくても賢い母親であれば、やはり違ったことを言っただろうと思う。もちろん、父親であっても同じである。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶという。
自分がどちらの人間か見当もつかないが、実際年金を手にしてみて、これでまあなんとかやっていけそうだと、それっきりカウチポテトを決めこんだとしたら、多分愚者の方に片づく。
それならと、パート2つかけもちで例の “2000万円” を貯めたとする。それでも愚者の家から半歩だって出ていないように思える。
その時、10キロ5800円の米の値段が10倍になつていたらどうする?
先人の戒めがある。
「制御されたインフレーションならどうかといわれる方もあろう。しかし経験に徴して見るかぎり、表面制御されているように見えるインフレーションでも、内面では破綻をきたしている。」(「健全通貨」W•フォッケ(元ドイツ・レンダー・バンク総裁)著 吉野俊彦訳 1955.3.23チューリッヒ国民経済協会における講演)。
年金生活者にとってデフレは歓迎だ。この先もデフレが続いてくれればよし、万が一インフレになったら3度のおまんまが2度になりかねない。
デフレが続くにしても、やがてインフレに見舞われるにしても、食べるものがないのは困る。そこでほかに生きる術も知らないわが家としては自給生活に舵を切るしかない。
イモ、サトイモ、ダイコン、にんじん、キャベツ、白菜 • • • 。 20~30坪もあれば、栄養豊富でシャキシャキの野菜がいっぱい採れる。
( 次回は ー 自給生活 その3 ― )
(次回は ― ー )