てくてくともこ

今日出会った新しい人、景色、想いをつづります

再び 里帰り

2010-04-27 22:38:28 | 日々のこと
先週は、突然義母が亡くなり、急遽能登へ帰ったが、実は、4月24日に里帰りの予定で、一ヶ月前に航空券を予約してしまっていた。(一ヶ月前に予約しないとべらぼうに運賃が高くなるので、いつも1ヶ月前に予約している)

キャンセルすると、キャンセル料が片道だけで6千円以上になる。もったいないので、予定通り、里帰りした。今度は、珠洲市の実家の母(93歳)のところでゆっくりしてきた。

腰が曲がり、体力はめっきり落ちたが、母の記憶力は、すごい!週刊朝日を隅々愛読し、時事問題にも明るい。
今回は、郵貯の限度額が2000万円に上がったことについて、その是非を問われた。
また、珠洲市で行われる市長選に現職市議の女性が出馬することになったのだが、その本人の決意表明のチラシをしっかりファイルして、私に読ませ、現職と新人のどちらが市の将来にとって有意義かを問われた。
一通りの私の解説を聞いた後、母は「これから二人の言うことじーっくり聞いてから、判断するかいね」と、自らに言い聞かせるようにうなずいていた。恐るべし!93歳!

かつては3万人を越えていた市の人口も、今や1万数千人。故郷を何とかしたい、という若者もいないわけではないが、じりじりと限界集落が増え、どだい、車道に人影が見えない。

お隣の輪島は、それなりに漆工芸を志す若者等が住み始めたり、観光に力をいれたりなどして、「まちづくり」が進みつつある。

しかし、わが故郷・珠洲市は、原発誘致の是非を巡って疲弊し、せっかく原発の進出を止めることが出来たのに、その後のアイデアが出せないでいる。現市長も、道の駅やら足湯やらを造ったりして頑張ってはいるが、見通しは厳しい。

高速バスの沿道には、ここは千葉の君津か、と思うような砂利採取跡が赤茶けた傷口のように開いているところが、何箇所もあった。珠洲原発予定地には、産廃処分場の計画もある。これが「産業」?

5月に行われる選挙の争点は「まちの産業振興、活性化」に尽きるだろう。両市長候補は各々まちづくりの夢を語るだろうが、活性化は、ひと筋縄では行かないだろう。

久しぶりに会った妹の車で、母を乗せて、三崎(内浦)の浜へ行く。
満開の桜並木の向こうに、懐かしい群青色の海が見える。寒々と白い牙をむき浪立つ海は、まさしく能登の海。冬の名残が波頭に残る奇妙な春の海と岩と砂浜は、切なく、限りないく旅情をそそる。

また、延々と続く家並みの屋根は、どこも能登瓦。きらきらぴかぴか、漆黒の屋根が光る沿道は、古都奈良の家並みにも似ている。「きれいやねぇ」と感嘆の声をあげる私に、「瓦屋根がきれいやて言われても、当たり前すぎて、わからんわね」と、あっさり妹達に言われてしまった。
「よそ者になったさかい、初めて、その良さがわかるげわいね」と能登弁で言い返す私。

二人の市長候補者、どちらが市の顔としてふさわしいのかわからないが、潜在的なまちのよさを再発見することで、まちを活性化して欲しい、と切に想いつつ、今回、故郷を後にした。

命の洗濯、でした。