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天浜鉄道「安全感覚マンネリ」 天竜川転覆事故から1週間

2011年11月11日 22時38分22秒 | 文書
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天浜鉄道「安全感覚マンネリ」 天竜川転覆事故から1週間

委託事業で緩み? 衝突した右船首付近を中心に事故船を調べる捜査員ら=23日、浜松市天竜区で  スリルを味わってもらうはずの渦にのみ込まれてしまった船。天竜川下り船転覆事故は24日で発生から1週間を迎える。第3セクター「天竜浜名湖鉄道」のなおざりなリスク管理が明らかになる中、安全が置き去りにされた背景は-。  「操船ミスだと思う。流れの中で船頭がかじを切れなかった可能性がある」  発生から6時間後の17日午後8時すぎ、会見した名倉健三社長は、事故原因について行方不明だった船頭北橋国幸さん(66)=死亡=らの人的要因を挙げた。救出されたもう1人の船頭大畑茂雄さん(61)から、まだ話も聞けていない段階だった。捜査関係者は「想像の域を出ない。調べもしないで、一概には言えない」と一蹴した。  その後、次々と明るみに出たのは同社の安全管理上の不備だった。  転覆を想定した訓練や乗船名簿はなく、12歳未満への救命胴衣の着用義務すら守られていなかった。船頭は乗船回数で報酬が決まる請負契約で、60代以上が大半。明文化された操船教本はなく、船頭同士の口伝に頼っていた部分が大きい。会社側は子どもに救命胴衣を着せるよう促したが、見て見ぬふりもしてきた。  1987年、旧国鉄二俣線を引き継いで出発した同社では、元県幹部が社長を務めてきた。だが、近年は累積赤字が膨らみ、遠州鉄道(浜松市)の役員や系列ホテル社長を歴任した名倉社長が2009年に就任。以来、積極的な営業活動や経費節減を進め、経営成績を改善させてきた。  川下りは天竜観光協会の委託事業。もともと受託していた民間会社の解散で存続が危ぶまれたが、天竜浜名湖鉄道が03年に「地元企業」として受け継いだ。しかし、名倉社長は事故後、救命胴衣の着用義務を「知らなかった」とうなだれた。  「本業でないから力が入らず、川を甘く見ていなかったか」。全国河川旅客船協会の押切大一専務理事は疑問を投げ掛ける。  23日には県警が事故船の本格的な検証を始め、中部運輸局も特別監査に入った。  名古屋大大学院の戸田祐嗣准教授(河川工学)は「河川は渦以外にも流木との衝突などいくつもの危険が付きまとう」と潜在的な怖さを強調。「原因の究明は大事だが、スリルや涼を楽しむための安全対策をどう取っていたかが本質的な問題」とみる。  「安全に対する感覚がマンネリになっていた」。同社の担当幹部はこう監査に答えたという。運輸局の藤井孝昌・次席運航労務監理官は「事故がなかったので法令順守の意識も緩んでいた可能性がある」。だが、2年に一度の定期検査で救命胴衣などの問題を見抜けなかった。「気付けば注意するのだが、直接見ていないと…」と、監督体制の限界を認めた。 30年のベテラン元船頭「とも乗らせたのはミス」  天竜川下り船転覆事故で、長く川下りの責任者を務め後輩の指導に当たった元船頭(82)が中日新聞の取材に応じた。「とも(船尾)を乗らせたのは一つのミスだと私は思う」。転覆した船の船頭は船頭歴3年、かじ取りを任されるようになったのはことし6月末からだった。技能に個人差はあるというものの「(重要なかじ取りを担う)ともを乗らせるにはまだ早かったのでは」と口にした。  元船頭はいかだ師の仕事を経て川下りの船頭を30年以上務めたベテラン。数年前に引退し、繁忙期に会社から要請されて手伝う。現在の川下りコースは流れは穏やかだが、事故現場付近は緊張して操船する場所だと指摘する。  「事故があった何日か前から水が出て急流になっていたという。川の流れの速い方にもってかれると、あーっという間にいっちまう。もう少し流れが緩やかだったら転覆まではいかなかったと思う」と悔しがる。  高い操船技術が求められる「とも乗り」を任せるかどうかは、ベテラン船頭が判断してきた。「自分が現役のときは、とも乗りを任せようと思った船頭には自分がついて操船させ、難所のところは仕事が終わってから何回も通らせた」と話す。  「会社は船頭それぞれの技術はあまり知らない。現場の船頭に任せていた。今のリーダー役の船頭は技術も上達して人柄もいい。こちらは口を出さなかった。それだけに事故は本当に残念だ」  「船頭は人の命を預かっている。安全第一、サービスはその次」と、その責務の重さを強調した。