中国政府がと言うべきか、共産主義中国を愛でて已まない国内左翼系報道機関がと表現すべきか、いずれにせよ人民元がSDR(特別引出権)構成通貨に採用されたことで沸き立っていますが、水を差す様で少々気が引けるものの、次の質問には是非ご返答願いたいものです。
「正式採用される来年(2016年)10月1日まで、中国経済は瓦解せずにいられますか」
無理だと思います。
年内にもFRB(連邦準備制度理事会)は利上げに踏み切ります。
そうすれば、早ければ三か月、遅くともその半年後には、その影響が世界経済の原則と言う形で表面化しますし、それ以前にドル高圧力=人民元下落圧力が発生し、中国当局が買い支えない限り、人民元は対ドルで値下がりし、資金流出と輸入物価上昇を招くことになります。
ですから、買い支える原資が尽きた瞬間、人民元は暴落しますが、そんな通貨をSDRに採用したらどうなるか、言わずもがなです。
要は、今回の決定は罠で、採用が正式決定した以上は、中国としても極端な乱高下は沽券にかかわりますからドル売り人民元買い介入を継続実施することになり、そのドルは全て外貨準備から横流しされたものです。
例のAIIBの出資金も外貨準備で賄っていますし、中国の外貨準備高ほど、表向きと実態が乖離している数字はありません。
世界の大手金融資本が人民元を狙い撃ちすることになります。
それにいずれ、ブラジルが「飛んで」しまいます。
景気後退に汚職、高失業率で土俵際まで追い込まれた大統領ですが、与党が過半数を制する下院議長(当然、与党出身)が、大統領弾劾請求を承認、邦字紙は与党が過半数だから否決の見通し何て呑気なことを言っていますが、それなら弾劾請求なんて最初から蹴飛ばせば良い訳で、議長が審議を認めたこと自体、「造反有理」の承認が出たことを暗示しています。
ご存知の向きも多いと思われますが、BRICsの名称の生みの親のゴールドマン・サックス(GS)が、いつの間にかBRICs投資ファンドの口座を店仕舞いしています。
真っ先に見限られたのは勿論ブラジル、社会の無秩序化が益々進行して、投資対象に値しないと言うのが金融機関の本音です。
その時、中国は持ちこたえられるでしょうか。
もっと率直に言えば、「曲がりなりにも米国と互角に渡り合った旧ソ連と同程度の総合力を、今の中国は持ち合わせているのか」、そして「バブル崩壊を乗り切った、当時の日本の粘り腰を、今の中国経済に期待出来るのか」、これらの質問に誰も答えいません。
中国が「突出した大国」と誤解されているのは、米国(と言うよりオバマ大統領)と習近平国家主席との個人的癒着による「依怙贔屓」に過ぎません。
そのオバマ大統領との蜜月関係も終焉を迎えつつあります。
やはり2018年春までの一期五年でお陀仏ですね、習国家主席。
(続く)