資本主義社会では、貧しい者でも、努力と才覚さえあれば、のし上がっていくことができる。
いわゆる、アメリカンドリームの世界。
資本主義社会は、経済が右肩上がりに成長して行く限り、自由で豊か。
そこでは、人々に、平等に、成功への機会が与えられる。
良い事づくめの資本主義。
今や、社会主義国や共産主義国でも、市場経済が導入され、資本主義が、世界を制したと言ってもいい。
ここで、資本主義のおさらいをしておこう。
そもそも、地球の資源には、限りがある。この資源を、漫然と、平等に配分するより、競争をさせる方が、効率的に、資源が配分されるというのが、資本主義。
資本主義は、競争の勝者、つまり成功者が、資源を総取りすべきであり、成功者こそが、高い地位や富を得るべきであるという「弱肉強食の経済システム」。
ただ、このまま世界中の国々が、「弱肉強食の経済システム」を続ければ、資源は枯渇し、地球環境は破壊する。
おそらく、人類の生存すら、覚束なくなるだろう。
現在、世界の人口は76億人を超え、さらに増え続けている。
人口爆発。
それなのに、日本では、『少子化で、人口が減少し、経済が成長しない』と言って、『経済成長のために、人口を増やせ』と騒いでいる。
確かに、日本一国の資本主義理論としては、正論かもしれない。
しかし、地球的視点から見ると、矛盾している。
『人口増加が、経済成長を生み出す』という牧歌的資本主義を放置していては、人口爆発は、抑えられない。
少なくとも、この地球という惑星に、生存可能な、人類の個体数には、限界がある。
ところが、人類にとって、この地球以外に、生存できる場所は、今のところ、無い。
人類の発展をもたらした資本主義が、人類の絶滅をもたらす。
何とも皮肉な話だ。
行き過ぎた資本主義を見直し、地球環境の保全と、資源の維持に向けて、人類の英知を結集して対処しないと、取り返しのつかないことになる。