会社を出た瞬間、”ぐへっ”。 あまりの蒸し暑さに、顔をしかめる。 数歩進んだだけで、汗が”たらり”。 峠の、テッペン。 涼しいとは言えないが、さりとて清々しさはある。 そんな風を受けながら、デジタル一眼レフを持って歩く。 車から、さほど離れていないのに、バテる。 小手をかざし、目を細める。 あんなにあった灰色の雲が、みんな去っていた。 蹴りのひとつでも、入れてやりたかったのであるが。