二面楚歌 グラビアレビュー備忘録

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のグラビアレビュー備忘録。
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UTB 2011 12月号

2011-10-30 | UTB
AKB48(大島優子、柏木由紀、小嶋陽菜、篠田麻里子、高橋みなみ、渡辺麻友)
表紙と巻頭グラビア、12ページ12カット、撮影は門嶋淳矢。
集合は表紙のみ、グラビア本編は一人2ページ2カットずつ。
このグラビアで特筆すべきは柏木由紀の1カット目の横顔。 これまで見た中でも一番良い表情。 ただこれは門嶋淳矢の切り取り方の巧さによるところ大。 柏木はどうしてこうなったのか考えて欲しい。

白ホリで光強め、少々眩しげなのだけれど、それがプラスに振れて切なげな表情になっている。

添えられたインタビューでは、篠田麻里子のものが面白い。
冗談めかして語っているが、篠田の職業意識の高さが窺い知れる。

剛力彩芽
7ページ11カット、見開き1箇所。 撮影は桑島智輝。
一度見たら忘れられないが、好みは分かれる顔立ち。 どう撮っても絵になってしまう強さはある(私は苦手なのであるがそれはさておき)。
全編動かして笑顔中心に構成。 割ととっつきやすく撮ってある。

真野恵里菜
7ページ7カット、撮影は栗山秀作。
出来の良かった写真集と同じ組み合わせでのグラビア。
今回は肌色強めで一寸やり過ぎな感じがしないでもないが、水を張った床に白いキャミソールワンピースで横たわる図などは実に良い。
大人になりかけの大人びた部分とまだそうでもない部分を撮り分けた構成も良い。
今年の真野恵里菜は、歌も芝居もグラビアも、こと仕事に関しては恵まれているように思う。

増井みお
6ページ8カット、撮影は桑島智輝。 ・・・と言うか、ヘアメイクから衣装から双木昭夫。 これが効いている。
増井みおのブログによると、メイク全般と水着の選択は双木昭夫、体形の粗よりそれによる可愛らしさが出ている
コスプレっぽい衣装は細君の作成したものであるとのこと。 こちらも良い出来。
増井みおを判っているスタイリストが付くことで、増井みおの「らしさ」が十二分に出ている。
既に知っている層には想定内の出来かもしれないが、これはこれで良いと私は思う。
写真に出ているのは増井みおの可憐な部分だけだが、見た目の可憐さの裏に潜む毒はインタビューの中で仄めかされている。
10人纏めたグラビアでは引き出しきれない部分を上手く引き出して貰えた佳品。
矢張り持つべきは腕っこきの裏方。 この辺りぱすぽ☆は(福田はさておき)恵まれている。

高田里穂
6ページ9カット、撮影は栗山秀作。
役者を撮らせると上がりの良い栗山。 カメラへ意識を持って来させるのが上手い。
正面からのカットも最低限押さえつつ、横や斜めから撮って変化をつけている。
その中で見つけたのであろう顔の左側から撮ったものが良い。
水着は蛇足なのだが、これもまた商売。

指原莉乃
7ページ7カット、撮影は桑島智輝。
最近力まず衒わず抜けすぎず、適度な力加減でカメラの前に立てている指原莉乃。
底意のある撮影でうらぶれた感じがしなくなった事より、こうしてちゃんと撮って貰える現場でより良い表情が出せるようになった事を強調しておきたい。
体形が極端に変化した訳ではないが、堂々と撮られているので、初期の水着グラビアで見られた借金のカタに大分から叩き売られてきたような貧相で陰惨な感じもしなくなった。
この変化が何時頃から兆し始めたのか考えてみたが、SWITCH で梅佳代に撮られたのが切っ掛けになったのではないかと思う。
踏み付けにされ、足蹴にされることも多い指原だか、このグラビアも含めて肝心なところでの仕事には恵まれている。
SWITCH も指原の連載以外に読むところが無く、指原が何者かになりつつあるのも見届けられたので連載途中で買うのを止めてしまったのだけれど、こうして更にこの道で生きていけそうな嫋やかな逞しさを見ると感慨も一と入。
おっかなびっくり目玉焼きを焼いたり、旨そうに食ったりする他愛も無いと言えば他愛も無い写真なのだけれど、兎に角見ていて楽しい。
楽しいのだけれど、何故か甘苦いグラビア。 後味は悪くない。

トレーディングカード、プレゼントチェキ一覧
今回のトレーディングカードは総じて出来が良く、この手の「一枚で語り切る写真」では一頭地を抜く嗣永プロを向こうに廻して引けをとらぬものがゴロゴロ。

プレゼントチェキでは時の流れを感じた。
かつてはこう言った物への書き込みの激しさでは図抜けていたAKB連中も、ガチャガチャの廃止以来縁遠くなった所為か、実に淡白で塗り絵の如きものは皆無。
こうなると嗣永プロの独壇場。

秦佐和子
6ページ6カット、撮影は桑島智輝。
昼の設定で3カット、夜の設定で3カット。 キャラクターを設定して貰って自分ならざる自分でカメラの前に立てている所為か、何時に無く堂々としてグラビア映えもしているのだけれど、逆に言うと何処にも秦佐和子の真実は無い感じ。
これで良い人も居るであろうし、これはこれとして質の高い仕事ではあるのだけれど、私には一寸物足りない。
極度な含羞屋の秦に「演じるテーマ」を与えるというのは方法論としては面白いし写真としての上がりも良いだろう。 しかしモデルは素の自分でカメラの前に立ててナンボだと私は思うのである。

山田菜々
5ページ7カット、撮影は佐藤裕之。
屋外と屋内、水着と着衣で撮っているのだけれど、屋内で水着のカットが多めに使われている。
畳の上で水着と言う四畳半グラビアで且つ肉々しく撮ったカットは少々あざとさが鼻につくが、それ以外のカットは良いし、四畳半グラビアの部分も四畳半グラビアとしての質は高い。
3カット目(の首から上)、4ページ目上段、7カット目などは実に良く撮れている。
所属が利に敏い吉本なので、売れる肉は売るべく薄着のグラビアの仕事は減らないと思うが、服を着ているからこそ醸せる色気、漂わせることの出来る色香もあることは踏まえて仕事をさせて欲しい。
・・・にしても佐藤裕之、巧い。

川栄李奈×高橋朱里(AKB48研究生)
5ページ13カット、撮影は國方大。
仲の良い同士で組ませることにより硬さを取ろうとする試みは、或る程度成功しており、撮られる仕事がまだ少ない割りに柔らかな表情。
國方大は島崎遥香を撮った時も良かったのだけれど、細居幸次郎や桑島智輝が売れてきているので、この先のこの雑誌を担うカメラマンの一人になっていくのではないかと思う。
顔面のパーツ構成が分散に振れた川栄と集中に振れた高橋の対比も面白いが、それ以上にバスの中でくっついたりくっついたり、さらにくっついたりするカットのこそばゆさと甘酸っぱさに酔う。

竹富聖花
4ページ4カット、撮影は熊谷貫。
大きく強く叩けば、その分響きも大きいモデルを撮った時の熊谷貫は矢張り良い仕事。
メイク濃い目、露出アンダー目の2カット目3カット目が秀逸。

初音
3ページ3カット、撮影は根本好伸。
歌をうたう事を生業にした人のグラビアなのだけれど、部屋着的な衣装での屋内撮影と言うこともあってか、柔らかな表情。
良く撮れている。

朝日奈央
5ページ7カット、撮影は藤本和典。
ローティーン向けファッション誌で専属モデルをやっているだけあって、カメラの前で臆することも無く、また服を見せる撮影と自分を見せる撮影での振舞い方の違いも理解しており、ツボに嵌まったカットは訴求力がある。
笑顔になると表情に諧調が乏しいのが難だが、カメラとの向き合い方一つで印象も変わってくる。
2カット目の俯き加減の笑顔が良い。

北原沙弥香
4ページ6カット、撮影は佐藤裕之。
制服っぽい衣装で高架下らしき公園、空色のキャミソールワンピースで野原。 衣装もロケーションも良い。
少々アンダー目だが、不足しすぎていない光が表情と肌の質感を柔らかく引き出している。
フワリと髪の揺れた3ページ目上段の横顔が良い。

嗣永桃子×鈴木愛理×和田彩花
7ページ10カット、撮影は長野博文。
公園らしき屋外と、敷かれた白い布以外調度品の無いスタジオ。
スタジオ撮影分では三人とも髪を下ろしているが、屋外撮影分では鈴木と和田がポニーテール、嗣永は側頭部のツーテールの先に捻りを入れて固めた、所謂「ももち結び」。
嗣永桃子はいつも通り「嗣永桃子」であり、鈴木愛理も高いレベルで安定しているが、今回のグラビアは和田彩花が良い。
いつもと違って先輩二人との撮影、自分が引っ張らなくて良い安心感からかそれとも遠慮があるのか、終始肩の力が適度に抜けた柔らかな表情。
6ページ目の、目だけ微かに笑ったようなカットが秀逸。

道重さゆみ
7ページ10カット、撮影は飯田かずな。
インタビュー部分を読むと、本人もやりたかった「作り込み」らしいが、正直申し上げてクドい。
素材で遊びすぎて弄り壊してしまったような感じ。
道重さゆみを着せ替え人形的に愛玩したい向きにはお奨め。 道重さゆみ本人を好きな人にはまったくお奨めしない。

フォトテクニックデジタル 2011 11月号

2011-10-30 | フォトテクニックデジタル
河西智美
表紙と巻頭グラビア、9ページ8カット、見開き1箇所。 撮影は河野英喜。
何時撮ったのかかは判らないが、儚な気なのを通り越して病的に生気の無い表情。 まぁ、病気だった訳であるが。
ポーズにも表情にも隙らしい隙は無く、求められる河西智美を出せてはいるのだけれど、それだけでは如何ともし難い体調だったのだと思われる。
一旦そう見えてしまうと、眩しげな表情も苦しげに、物憂げな表情も辛そうに見えてきてしまう。 肌面積の少ない、ゆったりした衣装で撮られていて寒そうで無いのがせめてもの救い。
河西智美がモデルとして水準以下な訳ではなく、河野英喜が下手糞な訳でも勿論ない。 唯々撮られた時期が悪く、糊塗出来ない非情な現実が写り込んでしまったと言うこと。
2011年秋の河西智美の記録としては貴重なグラビアとなった。

伊藤梨沙子
6ページ5カット、見開き1箇所。 撮影は萩原和幸。
制服と私服、目線の来ているカットと来ていないカットで半分ずつ。 子役出身で撮られ慣れている強さはあり、カメラを直視して立つことも出来る。
絞りは開けて撮っていて、ピントもほぼ合っているのだけれど、この"ほぼ"が曲者で、合っていることは合っているのだけれど合い方にAF頼みっぽさがあり厭な感じ。
3カット目を見ると顕著で、若干前寄り。 被写界深度は足りているのだけれど、睫毛に合っていたほうが良いようなところで前髪に引っ張られていたりする。 こうなるとどうなるかと言うと、許容範囲内ではありつつも前寄りにある焦点に視点が引っ張られてしまう。 これはキャノンと言う会社のカメラの作り方にも問題がある部分であり、カメラマンが補整して然るべきなのだけれど、そのまま撮ってしまう人も多い。
閑話休題、写真そのものの話。
伊藤梨沙子は器用なようで居てそうでもなく、歯見せ笑顔などは単調なのだけれど、切り取る角度を変えることで変化をつけている。 また、たじろぐことなくカメラの前に立てるので、1カット目などはきりりとした顔立ちの映える写真になっている。
ピントの件を差っ引いても、全体としての出来は良い。

前田亜美
6ページ5カット、見開き1箇所。 撮影は長野博文。
癖のある顔立ちで、撮りようによって可愛かったり、そうでもなかったり、全く以ってどうにもならなかったりするのだけれど、臆することなく踏み込んで撮るのが長野博文の長野博文たる部分。 その辺りの試行錯誤も面白い。
前田亜美は撮り難いがその分撮って面白い被写体なのだと思う。 射幸心を煽るモデル。
1カット目でほぼ語りつくせているようではあるが、一枚々々で見ても、組写真として見ても面白い5カット。 見開きから寄って撮った写真で押しておいて、最後のカットで動きを出す構成も良い。

週刊ヤングジャンプ 2011 47号

2011-10-30 | 週刊ヤングジャンプ
表紙とオマケポスターで佐々木希。 カラーグラビアページは「ギャルコン 2011」。 撮影は石川耕三、橋爪英典、松田嵩範、Takeo Dec.、TANAKA。 全111カット(111人)
一人1カット、しかも小さめなので写真については語りようも無いが、決まった面子しか巻頭グラビアにならない昨今、こうした発掘企画を大々的にやる姿勢は買える。
人数が絞られて纏まったカットを見られるようになったら、改めて触れたい。

月刊ヤングチャンピオン烈 2011 No.11

2011-10-23 | 月刊ヤングチャンピオン烈
ぱすぽ☆
表紙と巻頭グラビア7ページ33カット、撮影は細居幸次郎。 クリアファイルがオマケで付く。
集合で始まり、個別3カットずつを並べて集合で〆る流れ。
秋田書店の雑誌に載るグラビアは、総じて色がおかしい。 友人曰く「エアブラシで描いたリアル風なイラストっぽい」こってりした肌の色。
秋田書店は無理にグラビアを載せないほうが良いのではないか。 大川定男が撮っていた頃からこんな感じは有って、それは大川定男の撮り方の問題だと思っていたのだけれど、問題の根はもっと深いところにありそうだ。 出版社としての美意識が歪んでいる。

載せた事で雑誌が売れ、載った事で名が売れる互恵の関係が理想なのだけれど、これだけ不細工に撮られてしまうと載った側の利益は限りなく少なく、寧ろダメージキャンペーンに近い。( パリまで行くのを厭わなかった友人も、これを買うのは躊躇したらしい。)
担当色の水着とパーカーを揃いでと言うのも短絡的で芸が無い。 パーカーはともかく、体形もバラバラな10人に同じ水着と言うのも無理が有るし、ぱすぽ☆の売りである十人十色の個性も生きてこない。
予算の制約はあると思うが、通底しつつも個性に合わせた差異のある衣装を用意して然るべき。 予算もノウハウも少ないのかもしれないが、そもそも工夫が足りない。
こうして見るといつも貶してばかりいるような気がする米村弘光であるが、こと「個性に合わせた差異」に関した工夫に関しては格が違う。 爪の垢を煎じて飲んで頂きたい。

辛うじて「らしさ」の出た写真は増井みおの個別3カットと玉井杏奈の個別中央くらい。
逆光で撮ったり木陰に入れたり、細居幸次郎も出来る工夫はしているが、ド真昼間の浜辺と言うロケーションは如何ともし難く、表情は眩しげな凶相であり、水に入ったんだか潮風の所為なのか汗だくなんだか、髪はベッタベタのボッサボサ、のっけから落ち武者の集合写真のようなのが載っていて驚き、呆れ、泣いた。
カメラマンの仕事以外の部分が酷過ぎてどうにもならない。

こんな事なら竹中とクルーで相談して衣装とロケ地を探させてやった方が良かった。

頑張って「よかったさがし」をしてみたが、無駄骨であった。 敢えて褒めるとなると、パーカーでの集合のカットが人気順の並びではなく、色相にあわせたものであった事くらい。 今年見た中でも最低のグラビア。

週刊ヤングジャンプ 2011 46号

2011-10-16 | 週刊ヤングジャンプ
大島優子
7ページ6カット、見開き1箇所。 撮影は桑島智輝。
意外なことに、ヤングジャンプでは初めての巻頭グラビア。 "初"と言うこともあってか、色々盛り込んだ内容。 些か盛り込み過ぎの気味はあるが、衣装だけでなく、撮られ方に於いても様々な大島優子が見られるのは良い。

AKB48には関心の薄かった友人、最近大島優子が気になるとのこと。 曰く「(大量露出で)洗脳されてるんでしょうか。」
洗脳されているから良く見える訳ではなく、ここ半年くらいの大島は見違えて良くなっている。
特に秋の交通安全運動の啓蒙ポスター(町内会の掲示板などに貼ってあるのでご覧いただきたい)などは、この手のお役所仕事にしては例外的に出来が良く、秋らしい柔らかな表情が味わい深い。
このグラビアでも1ページ目6ページ目あたりはフワリと力の抜けた、それでいて気が抜けている訳でも手を抜いている訳でもない絶妙な表情。

持っているものを生かそうとするのは当然のことであって、矢張り胸を強調した肉々しいカットが多いのだけれど、6ページ目のような邪念を払って見たい写真の場合はその「肉々しさ」が邪魔になる。
大島は割りとサバサバと言うかアッサリと言うか、肌を露出する仕事でも表情に不の感情が出ることは先ず無いし、露出度を上げることにも下げることにも拘りは無いのかもしれないが、ここまで売れたら露出度は下げてしまって良いのではないかと私は思う。
良いのではないかと私は思う・・・と言うか、頼むから、もう良いから服を着てくれ。
青年マンガ誌の巻頭グラビアとなると、それ相応の薄着をしなければならないと思うが、秋は秋らしく冬は冬らしく、厚着のカットも有って然るべき。

大島優子の芝居が時としてドキュメンタリーのような現実感を醸すのは、役に成り切ることも出来るし、役ではない自分自身でカメラの前に立つことも出来るからではないか。 このグラビアを見ながら、そんな事を考えた。

NMB48(小笠原茉由、上西恵、福本愛菜、山田菜々、山本彩)
6ページ11カット、撮影はTakeo Dec.
集合で1ページ、あとは一人1ページずつ(大きく)水着と(小さく)表紙の衣装。
山本彩が見る度に洗練の度を増しており、それに引っ張られるように他の連中ものびのび撮られている。
小笠原と福本はスイートスポットが狭いので当たり外れがあるが、山田と上西はどう撮ってもそれなり以上にはなっている。
渡辺美優紀が奇禍に遭い、一人で引っ張る形になってからの山本彩からは凄味すら感じる。
主役は主役として扱われることで、初めて主役として育つ。
脇に廻された渡辺の巻き返しも注視して行きたい。
しかしこの水着で押す売り方、中長期的に見て矢張りよろしくないように思う。
奇禍や不祥事も、原因の幾許かはこれに有る。