50MHz T型CLCアンテナカップラー
ネットに14~50MHz T型CLCアンテナカップラー制作記事があったので作ってみました。
今まで私が作ったアンテナカップラーの中で、製作および調整が簡単でSWRが限りなく1になります。
部品は、バリコン(2個)とコイル(1個)の3個と製作が簡単なので、周波数50MHz用と18~28MHz用(免許が旧電信級のため)の2種類作りました。
50MHz用 T型CTCアンテナカップラー回路図
カップラーの入力側にBR-200を接続。(回路が対象なので、どちら側でも良い)
出力側は50Ωのダミーロードを接続。
バリコンVC 1 、VC 2 の容量が、50pFの半分(25pF)でSWRが1になるよう、コイルを作りました。
ダミー抵抗を1Wの高周波抵抗で、25Ω、50Ω、75Ω、100Ω、150Ωを作りSWRが1になるか確認しました。
コイルの作成
L1..単三電池にVVFケーブル1.6mmを4回、幅約1cm
現在使用のスケアロアンテナで確認しました。
50W出力でSWR-3を限りなくSWR-1にできました。
18~28MHz用 T型CTCアンテナカップラー
18~28MHz用 T型CTCアンテナカップラー回路図
カップラーの入力側にBR-200を接続。
出力側は150Ωのダミーロードを接続。(SWRを3に設定)
BR-200の周波数を18MHzに設定し、VC 1 、VC2 を調整し100pF(約90pF)でSWRが1になるよう、コイルを作りました。
50MHzのカップラー同様、18~28MHzでダミー抵抗25Ω、50Ω、75Ω、100Ω、150ΩでSWRが1になるか確認しました。
コイルの作成
L1..T-80#10に0.9~1mmポリウレタン線(または、エナメル線)を14回。
T80#10を使ったのは、Qを高くしたかったためです。
トランシーバーとカップラー及びアンテナの接続図
私の調整方法ですが、トランシーバーの出力を最小にし、2個のバリコン を最小容量にし交互に容量を増やし、SWRを最小にします。
調整が終われば出力最大(50W)にする。
完成したカップラー 左、50MHz用 右、18~28MHz用 (ケースはカタチ電機の MB-2)
※ バリコンのローテタ側はシャーシーと接触しないよう、大きめの穴をあける。
1.9~7 MHz用 T型CTCアンテナカップラーの実験
出力50Wの場合受信用バリコンが使えそうなので、ローバンド用も実験してみました。
計算式は、CQ出版「トランジスタ回路の簡易設計」久保大次郎編著(昭和56年11月1日 第6版発行)を参考にしてます。
計算を簡単にするため、入力側インピダンスと出力側インピダンスを 50Ωに設定し、Qは2.5で計算。
計算結果...
R 1 = R 2 = 50Ω、Qを2.5で計算。
XC 1 = XC 2 = 125Ω XL = 72.5Ω
C (pF) = 159000 / ( f (MHz)×XC ) L (μH) = (0.159×XL) / f (MHz)
7MHz用
VC 1 = VC 2 = 159000 / (7×125 )= 181.7 pF
L = (0.159×72.5) / 7 = 1.65 μH
VC 1 、VC 2 は...430 pF×2
コイルの作成
トロイダルコアT-68 # 6 に0.8mmポリウレタン線(または、エナメル線)を18回。
N=100×√1.65 / 47 = 18.7 (18回)
7MHz出力インピダンス 50Ω.. バリコン容量が、430pF×2のバリコンの位置。
7MHz出力インピダンス 50Ω.. バリコン容量が、430pF×3のバリコンの位置。
3.5 MHz用
VC 1 = VC 2 = 159000 / (3.5×125 )= 363.4 pF
L = (0.159×72.5) / 3.5 = 3.29 μH
VC 1 、VC 2 は...430 pF×3
コイルの作成
トロイダルコアT-68 # 2 に0.8mmポリウレタン線(または、エナメル線)を24回。
N=100×√3.29 / 57 = 24.02 (24回)
3.5MHz出力インピダンス 50Ω.. バリコン容量が、430pF×3のバリコンの位置。
1.8 MHz用
VC 1 = VC 2 = 159000 / (1.8 × 125 )= 706.7 pF
L = (0.159×72.5) / 1.8 = 6.4 μH
VC 1 、VC 2 は...430 pF×3
コイルの作成
トロイダルコアT-80 # 2 に0.8mmポリウレタン線(または、エナメル線)を34回。
N=100×√6.4 / 55 = 34.1 (34回)
1.8MHz出力インピダンス 50Ω.. バリコン容量が、430pF×3のバリコンの位置。
BR-200にて、1.8MHz 3.5MHz 7MHz の 各バンドで 25Ω 、50Ω 、 75Ω 、 100Ω 、150 Ωのダミー抵抗でSWRが限りなく1になることを確認しました。
送信テストでは、出力50W、ダミー抵抗、50Ωで確認しました。
使用したコイル
左、から、1.8MHz用(T-80#2) 、3.5MHz用 (T-68#2) 、7MHz用 (T-68#2) 、7MHz用 (T-68#6)
7MHzはQの高い T68#6 を使いました。
1.8 ~ 7 MHz のアンテナカップラーは、VC 1 、VC2 に 430pF×3(1290pF) を使いコイルのタップ切り替えで作れそうです。
いづれ、ケースに入れ完成したらブログに載せたいと思っています。
その他、自作アンテナカップラー
以前 1.9MHz、3.5MHz、7MHzのアンテナにアイソトロン・アンテナを使っていたので周波数帯域幅が狭く2種類のアンテナカップラーを使っていました。
πCカップラー(3.5 MHz ~ 28MHz 用)
マルチバンドに適していると思いますが、調整に手間取り私にとっては、良いイメージがありません。
正式名称はわかりませんが開局当時、このタイプのカップラーを使っていました。(1.9 MHz ~ 7 MHz)
VC2に高耐圧のバリコンが必要で、最近は高価で入手しづらいと思います。
マルチバンド化しづらい。
入力側のバリコンを省略した回路
各、アンテナカップラーの大きさ比較
右側の2個が今回製作した T型アンテナカップラー(ケースはカタチ電機の MB-2)
右上が、18 ~ 29 MHz用 右下が、50 MHz用
アンテナカップラーのインピダンス可変範囲をスミスチャートで確認しようとしましたが、理解できずダミー抵抗での確認になりました。
スミスチャートを使いアンテナカップラー及びフィルタの計算ができることを知りました。
最近のトランシーバーにオートチュ-ナが付いている機種には不要ですが、オートチュ-ナ無しのトランシーバーで短縮アンテナを使っている場合、有効と思います。
(自己責任でお願いします。)