ギムレットには早すぎる

真の「ジャーナリスト」と呼ばれるにも、早すぎる。

世界一の誇り

2006-03-21 18:37:10 | 誇り

文の長さ 「激長」 内容の面白さ 「優」

「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」 -19killer

「王」JAPAN、世界の「キング」へ  

 野球の世界一を決めるWBC(ワールドベースボールクラシック)の決勝戦、日本対キューバが21日、アメリカのサンディエゴで行われた。試合は、序盤の大量点を足がかりに終始日本がリードを奪う展開で、結局、10-6で日本がキューバを下した。日本は、野球の初代「世界一」の称号を手に入れた。

出鼻くじく奇襲  

 それは、鮮やかな奇襲だった。初回、1死1、2塁の場面でバッターは4番の松中。カウント2-3から、西岡、イチロー両ランナーがダブルスチールを試みた。打者の松中の打球は、塁のカバーに入るためがら空きになった三遊間へ。これで1死満塁。初回にいきなり日本がしかけ、試合の流れをつかみかけた。キューバはあわてて投手を代えるも、肩ができているわけはなく、死球、四球と今江のタイムリーで計4点。キューバの出鼻をくじく形となった。 

 日本はさらに5回、多村のタイムリー内野安打と小笠原の犠飛で2点を追加。この時点で6-1とし、勝利を一気に引き寄せたかに見えた。

キューバの底力  

 一方のキューバも負けていなかった。1回裏、先頭のパレが日本の先発・松坂からいきなりホームラン。日本に傾きかけていた流れをキューバに引き寄せるには、十分な一発だった。6回には、ショート川崎のエラーを足がかりに2点を追加。8回には一時、1点差に迫る2ランを放つ。ここぞという時の集中力には目を見張るものがあった。

千両役者の活躍 

 しかし、1点差に追いつかれた日本は9回、その底力を見せた。1死1、2塁から今日も3番に座ったイチローにタイムリーヒットが生まれ、リードを2点に広げる。さらに1死満塁から、韓国戦のヒーロー・福留のバットが再び火を噴いた。目の覚めるようなレフト前のタイムリーヒットでさらに2点追加。その後、小笠原の犠牲フライが再び飛びだし、この回さらに4点を追加した。打の千両役者達がきっちりと仕事をし、キューバの反撃意欲を断った。

栄光の瞬間  

 9回裏、1点は取られたものの、大塚が最後を見事に締めくくった。この瞬間、日本の野球ファンの誰もが待ち望んだ時がやってきたのだ。30人のサムライ達は、自分達の持ちうる最大限の力で「世界一」の称号を勝ち取ったのだ。 

 試合後の選手達は、互いに抱き合い、その名誉を称えあった。今大会のベストナインには、日本からは最優秀選手の松坂・里崎・イチローの3選手が選ばれた。だが、選ばれなかった選手、出番が少なかった選手達も含め、全員がベストの仕事をした。その結果が、今回の優勝につながったのだろう。  

 試合後のインタビューにイチローはこう答えた。

 「最高です。信じられない。たくさんの人に、野球ってすばらしいんだと思ってもらえたら嬉しい」  

 今大会は、あえてヒールに徹することでチームを鼓舞し続けてきたイチロー。しかし、そう言い放った彼の笑顔は、すぐそこの公園で野球に興じている子供達のそれと、まったく一緒であった(K)。

合掌。