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合言葉はヒュッゲ

サラバ【さよなら】こそ人生

西加奈子の代表作とも言える長編小説「サラバ」下巻の358ページ読み切った!しかも本日は病院デー。朝9時前に入って、整形外科、耳鼻科、お昼を挟んで呼吸器内科を回り、今注射待ちです。

本日のランチ


健康セットと食後のコーヒー。1056円。

今日は雨。朝はザーザー降りでしたので、車を出しました。待ち時間を読書で満喫できるなんて、これこそ怪我の巧妙かと。

「サラバ」タイトル通り壮大な物語でした。
歩【あゆむ】という37歳の男の半生。生まれはイラン、父の転勤でその後エジプトで少年時代を過ごし、両親の離婚もあり大阪へ帰る。

母は勝ち気で自己愛の強い人。結婚してから、そして離婚後も働く事なく元夫である父のお金で生活をしている。

姉はとてもシュールな性格で、引きこもったり、ネット上で神と崇められたり、破天荒だけど、とても繊細。

主人公の歩は、家族、特に母、姉の強烈さにドン引きしながら粛々と育つ。容姿も頭も性格の良さにも恵まれ、何一つ足らないものはない、そんなイメージだけど、出会う人全ての影響を身体に受け止め、家族を反面教師にして難を逃れてきたけれど、大学生になってからのクズ的な生き方が災いしたのか、30過ぎての人生は急降下。容姿端麗な王子から若ハゲ、下腹ぽっちゃの中年男へ変貌。フリーランス仕事のオーダーも薄れ、彼女にも裏切られたりと、まさにまさかの坂を転がった。

それに対して、引きこもりや宗教に転じ、アウトローだった姉が自分探しの世界旅行先で一生の伴侶を見つけ、人が変わったかのように飛躍した姿で帰国し、弟へ人生を学べと説教。最初はお前に言われたくねえしと受け付けなかった歩だけど、親友達と再会し、それぞれの人生の岐路を目の当たりにして、自分を見出す決意をする。

そして少年時代の心の友ヤコブのいるエジプトへ。中学生の頃、カタコトで親睦を深めていた彼との再会は、今まで生きてきた道のりと今、そしてこれからを結ぶ運河のようだったのかな。

サラバと掛け声を繰り返す二人。
サラバ、さよならこそが人生と言う言葉がある。今と別れて未来がある。
人生の川は流れ続けているんだよね。

沢山の登場人物が、ほんとに沢山の登場人物が出て来るのですが、皆、とても生き生きとした魅力があって、主人公の人生の幹となっている。こういう感じが西加奈子の醍醐味ですね。


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