単なる手洗いソープ。されど手のひらに花びらが広がるのって、なんだか癒される。
こういう何でもないグッズが幼い頃の息子は大好きで。
息子の喜ぶ顔を見たくてあれこれ用意していました。
これも息子が家に遊びに来たら面白がるかなという思惑もあり。
でも、買った後「おいおい、あんたの息子はもう27歳なんだぜ」と現実を思い知る。
試しに息子の使用後の反応見たけど、やはりノーリアクション。そうだね、こんなものに嬉々するほどお子ちゃまではない。
でも、ほんのささやかでも気分を上げたい、癒されたい。
それがヒュッゲな生き方だから。
雨の日、職場の駐車場から車に乗ると、足元のシートの汚れを確認してしまう。
砂利を敷いた駐車場だから、大雨が降ると泥が混じる。
こどもの頃、父は高級車を汚されることを嫌い、家族を乗せたがらなかった。
ある日曜、街へ買い物に行きたくて、母は近所に住む父の甥に「乗せて行って」と頼んだ。
父の甥、つまり私にとって、従兄弟であるその人は中古車販売店に勤めていて、その会社の近くの駅で降ろせとの母の頼みを断れず何度か渋々ながら乗せてくれた。
しかし、毎回とても機嫌が悪く、母のつまらないお世辞にイライラすると運転が荒くなり、後部座席に乗っていた私と姉は車酔いした。
彼にとって、私達親子の靴が汚い事も不愉
快で、「足を下ろすな!汚すなよ」と怒鳴りつけられ、私と姉は道中踵を下ろす事なく力を入れた。およそ30分も。
そんな不機嫌な従兄弟に対しても母は無神経そのもので、駅前に急停車したピカピカの車から降りる私達に向かい「あんたんちは車があるんだから、【父に】頼めばいいだ!」と捨て台詞を残し、タイヤを鳴らして走り去って行った。
母は言った。「何を怒っとるのかねえ」