こに亦(また)、高木大神の命もちて、覚(さと)して白(まを)したまはく
「天つ神の御子、これより奥つ方に【莫(な)入りいでまさしめそ】。荒ぶる神、甚多(いとさは)なり。今、天より【八咫烏(やたがらす)】を遣はさむ。故、其の八咫烏、引道(みちび)きてむ。其の立たむ後(しり)より幸行でますべし」とまをしたまひき
★莫(な)入りいでまさしめそ
な~そ→禁止
高木大神が従者に向かって、奥への入幸をさせないように教えた
★八咫烏
※大きな鳥の意味
※一咫→12センチなので八咫は96センチ
※神武前紀→頭八咫烏とある
※新撰姓氏録→鴨建津之身命(かもたけつのみのみこと)が大きな鳥となって神武天皇を導いたとある
※職員令→鴨県主は主殿として、燭をとりて路を照らすを職務としたとある
※延喜式→天皇が廻立殿から大嘗宮に入る際に、主殿の官人二人が燭をとって迎えるとある
※続日本紀→八咫烏を大倭国宇太郡に祀ったとあり、奈良県宇陀郡榛原町高塚の八咫神社がこれである
■ここにまた高木大神のお言葉で、おさとしになって
「天つ神の御子を、これから奥に入って行かせてはならない。荒ぶる神がたくさんいる。今、天から八咫烏を遣わそう。その八咫烏が道案内をするだろう。その飛び行く後ろについて行きなさい」と申された