■明けて正月5日
天皇は元服
平清盛の娘は15歳で女御として参内させられた
(女御・高級女官・天皇の寝所に入れる側室)
■藤原師長(もろなが)が、左大臣を辞任した時
はじめ、徳大寺(藤原)実定がその後任についた
花山院(藤原)兼雅と、中御門(藤原)成親も左大臣についた
左大臣大将はまだ決まっていなかった
■成親は後白河院から好かれていたので、様々な祈りを始められた
石清水八幡宮に百人の僧を籠らせ、大般若経600巻を7日間読ませている最中に、甲良大明神の前にある橘の木に、男山の方から山鳩3つ飛び来て、互いに食いあって死んでしまった
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「鳩は八幡大菩薩の第一の使者
宮寺でこんな変事はないものだ」
と、寺社の事務役・匡清法院はこの事を内裏へ伝えた
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神祇官はこの事を亀の甲を焼いて占うと「天下の騒ぎ」と出た
「但し天皇の事ではなく、臣下の事である」
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成親は上賀茂神社へ七夜続けてお参りし、七日目の夜のお参り後眠りにつくと夢を見た。上賀茂神社の御戸開かれ、気高い声で「さくら花、賀茂の河風恨むなよ、散るをばえこそ、とどめざりけれ」
(桜花、賀茂川の川風を恨むなよ。風のせいではなく、時がきたなら、花の散るのを止めることはできない)
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成親は上賀茂神社に、ある聖を籠らせ、御神殿の後ろの大杉の洞(穴)に壇を建て、荼吉尼天の法を百日行わせた
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大杉に雷が落ちかかり、雷火がひどく燃えあがり、神社中がほとんど危うくなったのを、神官たちが消しとめた
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邪法を行った聖を追い出そうとしたが、聖は「私はこの社に百日荼吉尼天の法をするという大願がある。今日で75日。けっして出ないぞ」と言って動かない
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天皇は「神社の規則に従って追い出せ」宣下を下されたので、神官たちは白杖でその聖の首を打ち叩き追い出した
神は非礼を聞き入れない。この成親は身分不相応な大将になることを祈ったからこんな変事が起こったのか?
■この頃、官位・官職を与えるのは、ただひたすら平家の思うがままだった
結局、左大臣大将は徳大寺でも、花山院でもなく
清盛嫡男・小松殿が右大臣から左大臣大将に移り、次男宗盛が数人の上位の貴族を飛び越して、右大臣大将に加わったのは、言葉では言い尽くせない呆れた事だった
徳大寺は家に引きこもり
成親は平家を滅ぼすことを思った