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るるの日記

なんでも書きます

古事記 天若日子の葬儀・鳥が役割分担する

2020-12-08 10:46:04 | 日記
天若日子の妻・下照比売の哭く声、風の【与(むた)】響きて天に到りき。これに天在(あめな)る天若日子の父・天津国玉神、その妻子聞きて、降り来て哭き悲しみて、そこに【喪屋】を作りて、【河雁(かはかり)】を【きさり持】とし、鷺(さぎ)を【掃持(ははきもち)】となし、【そに鳥】を【御食人(みけひと)】となし、雀を【碓女】となし、雉を【哭女】となし、かく行ひ定めて、日八日夜八夜(ひやかよやよ)を【遊びき】

★与(むた)
、、、のままに
、、、と共に

★喪屋
葬儀を行うまで死体を納めておく小屋

★河雁
河のほとりの雁

★きさり持
持傾頭者
葬儀の時、うなだれて死者に供える食物を持つ役目

★掃持(ははきもち)
葬儀の時、ほうきを持つ役目

★そに鳥
かわせみ

★御食人(みけびと)
死者に供える食べ物を作る人

★碓女(うすめ)
米つき女

★鳴女(なきめ)
葬儀の時、号泣慟哭する役目

★遊びき
死者の魂を呼び戻すための歌舞


■天若日子に死なれた妻の下照比売の泣く声は、風の吹くままに響いて高天原まで届いた。すると天上にいる天若日子の父・天津国玉神とその妻子がその声を聞いて、高天原から降りて来て、泣き悲しんで、すぐに喪屋を作り葬儀の儀礼に奉仕する役目として

雁を持傾頭者(きさりもち)とし
鷺を掃持(ははきもち)とし
川蝉を御食人(みけびと)とし
雀を碓女(うすめ)とし
雉を哭女(なきめ)とし
それぞれ、役目を決めて八日八晩の間、死者を弔う歌舞をした


古事記 天若日子、自らが射た矢に当たり死ぬ

2020-12-08 09:35:44 | 日記
其の矢、雉の胸より通りて、逆(さかしま)に射上げらえて、天の安河の河原に坐す天照大御神・高木神(たかぎのかみ)の御所(みもと)にいたりき

この【高木神は高御産巣日神の別(また)の名なり】。故、高木神その矢を取りて見たまへば、血その矢の羽につけり
高木神「この矢は天若日子に賜へりし矢ぞ」と告(の)りたまひて、諸の神等にみせて詔りたまはく

「或いは天若日子、【命(みこと)を誤たず】、悪しき神を射つる矢の至りしならば、天若日子に中(あた)らざれ
或いは【邪(きたな)き心】有らば、天若日子この矢に【まがれ】」
と云(の)りたまひて、

其の矢を取りて其の矢の【穴】より衝き返し下したまへば、天若日子が、朝床に寝(い)ねし【高胸坂】に中(あた)りてもちて死にき

(これ【還矢(かへしゃ)】の本なり)。亦其の雉還らざりき。故、今に諺に【「雉の頓使(ひたつかひ)」】といふ本これなり

★高木神(たかぎのかみ)
※新嘗祭や大嘗祭の時、ひもろぎ(神木)に、高御産巣日神を招き降ろしたことによる神名
※神話学でいう、宇宙樹に似た点がある

★命を誤たず
天照大御神と高御産巣日神の命令に背かず

★邪(きたな)き心
高天原に対する反逆心

★まがれ
禍をうけろ

★穴
地上から射た矢が、高天原に達した時あいた穴

★高胸坂
寝ている時の胸が坂のようになっているから

★還矢(かへしや)
先方から射た矢を、そのまま射返すこと。それは必ず当たると信じられてうた

★雉の頓(ひた)使ひ
行ったきり帰ってこない使い
なしのつぶて

■その矢は雉の胸を貫いて、逆に射上げられて、天の安河の河原にいる天照大御神と高木神の所まで届いた
この高木神は高御産巣日神の別名である

高木神が、その矢を取って見ると血が矢の羽根についていた。高木神は
「この矢は天若日子に与えた矢だ」と言われ、大勢の神々に見せて
「もし天若日子が、命令に背かず、悪い神を射た矢がここに届いたものなら、天若日子に当たるな
もし反逆心があるとしたら、天若日子は、この矢によって禍を受けよ」
と言われ

その矢を、矢の射上げられた時にあいた穴から下界に投げ返すと、天若日子は、朝寝床に寝ていたが、その胸に当たって死んでしまった
(これが返し矢の起こりである)

また雉は行ったきり、ついに帰らなかった。だから今でも諺に「雉の頓使(ひたつかい)」という





古事記 天若日子・天探女の進言にのり、雉の鳴女を射殺🦅

2020-12-08 08:41:15 | 日記
鳴女、天より降り到りて、天若日子の門(かど)なる、【ゆつ楓(かつら)】の上に居て、【委曲(つばら)】に天つ神の詔命(みこと)の如言ひき。ここに【天のさぐめ】、この鳥の言ふことを聞きて、天若日子に語りて言はく
「この鳥は其の鳴く音甚悪(こえいとあ)し。故、身(みづか)ら射よ」と云ひ進めき

天若日子、天つ神の賜へる【天のはじ弓】、【天のかく矢】を持ちて、其の雉を射殺しき

★ゆつ楓(かつら)
ゆつ→神聖な
かつら→桂、落葉高木、楓とは別種

★委曲(つばら)
つぶさに、詳しく

★天のさぐめ
天探女
探る女
隠密なものを探る霊能を持った女

★天のはじ弓
櫨(はぜ)の木で作った弓
前出の弓とは名が違う

★天のかく矢
天の鹿児矢か?
これも前出とは名が違う


■二柱の神の命令を受けた鳴女は、高天原から葦原中国に降りてきて、天若日子の住む家の門にある神聖な桂の木の上にとまって、詳しく天つ神の言われた事を伝えた

この時、天探女(あめのさぐめ)が、この鳥の言うことを聞いて、天若日子に語ったことは
「この鳥は、その鳴く声がたいへん不吉です。ですから自身で殺しなさい」と進言した

ただちに天若日子は、天つ神のくれた弓と矢を手に持って、その雉を射殺してしまった



古事記 雉の鳴女・8年葦原中国から高天原に帰らない天若日子の様子を見に行かせる

2020-12-08 08:05:06 | 日記
故、ここに天照大御神・高御産巣日神、亦諸の神等に問ひたまはく
「天若日子久しく復奏さず。又いづれの神を遣はしてか、天若日子がひさし留まるゆえを問はむ」ととひたまひき

これに諸の神及思金神
「【雉(きざし)】、名は鳴女を遣はすべし」と答え白す時、詔りたまはく、「汝(なれ)行きて、天若日子に問はむ状(さま)は、『汝(いまし)を葦原中国に使はせる所以(ゆえ)は、其の国の荒振る神等を言趣(ことむ)け和(やは)せとなり。何とかも八年に至るまで復奏さざる』ととへ」とのりたまひき


■高天原では、天照大御神と高御産巣日神が、また大勢の神たちに
「派遣した天若日子が長い間復命してこない。今度はどの神を遣わして、天若日子が長く葦原中国にとどまっている理由を尋ねさせようか」
と問うた

大勢の神たちと思金神が
「雉で、名は鳴女(なるめ)というのを遣わしましょう」と答え申しあげると二柱の神は雉に

「おまえが行って、天若日子に尋ねることは、『おまえを葦原中国に遣わした理由は、その国の荒れすさぶ神々を説得して【帰順】させよということである。それなのに、どうして八年になるまで復命しないのか』と尋ねよ」と言われた

★帰順
反逆心を改めて服従させる

古事記 高天原からの三人目の遣い「天若日子」

2020-12-08 07:27:06 | 日記
ここをもちて高御産巣日神・天照大御神、また諸の神等に問ひたまはく
「葦原中国に遣はせる天菩比神(あめのほひかみ)、久しく復奏(かへりごとまを)さず。また何(いづ)れの神を使はさば吉(よ)けむ」ととひたまひき

ここに思金神答へて白(まお)さく
「天津国玉神の子、天若日子(あめのわかひこ)を遣はすべし」とまをしき

故、ここに天のまかこ弓、天のはは矢を天若日子に賜ひて遣はしき
天若日子、其の国に降り到りて、大国主神の女(むすめ)下照比売に娶ひ、亦其の国を獲むと慮りて、八年(やとせ)に至るまで復奏さざりき



★天津国玉神
高天原の国魂神

★天若日子
天上界から降った若い男の意味
本来は普通名詞であった

★天のまかこ弓
天真鹿児弓
鹿を射る弓

★天のはは矢
天羽羽矢
広く大きな羽根をつけた矢


■それで高御産巣日神と天照大御神は、また大ぜいの神たちに、「芦原町中国に遣わした天菩比神(あめのぼひかみ)が長い間復命してこない。今度はどの神を遣わしたらよかろうか」と問うた

すると思金神(おもいかねがみ)が、「天津国神の子の天若日子を遣わすのがよろしいでしょう」と答えた

それで天の真鹿児弓(まかこゆみ)と、天の羽羽矢を天若日子に与えて遣わした

こうして天若日子は葦原中国に降り着くと、すぐに大国主神の娘の下照比売を娶り、またその国を手に入れようと考えて、八年になるまで復命を申し上げなかった