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鋼の錬金術師 スカー考 by 1819

原作鋼の私的スカー考察?がメイン。
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ニーナ殺害の意味は?

2008-06-28 00:41:21 | Weblog
なんかタイトル書いただけで気が滅入ってきた。
だけど、ブログ開いてからずっと書こうと思いながら避けてきた話題だから、そろそろ直面しなきゃ。

ニーナがその父によりキメラにされたことは、錬金術師の業の表れだというのが定説なのだろうか?
私もそのとおりだと思う。
だが、なぜニーナは殺害され、その犯人がスカーなんだろう?

スカーは復讐のためでもなく、目的の邪魔になるからでもなく、同情からニーナを殺した。
元に戻れず一生実験動物扱いになる、非情な状況から解き放つ安楽死。
雨に打たれ神に祈るスカーの絵に私は、ゆさぶられた。
一つは行為へのやりきれない怒り、そしてもう一つは・・彼の悲しみへの共感だった。

あの場面。スカーの悲しみに感情移入してしまったのは私だけだろうか?
もしかしたら、作者もニーナを実験動物にすることが忍び難かったのでは?
私はものすごく失礼なことを書いているのかもしれないが、あの時のスカーは荒川先生だったような気がする。

ニーナは錬金術師の業の象徴としてキメラにされ、物語上の役目を終えて、最後は安楽死について読むものに問いかけながら去っていった・・と、私は自分なりに捉えている。

ニーナ殺害というエピソードは、スカーという人間をその場面だけで強烈に表現することにも成功した。
容赦なく惨い行いをする、しかし神を信じる男。
間違いなく罪人だが、心に深い思いを秘めた男。
ニーナ殺害でデビューしたスカーは、見るものに背負った業の深さを印象づけた。

以上が、あくまでも私見だが、なぜニーナは殺害され、その犯人がスカーなんだろう?の答えだ。

だが、答えとは別に、私には納得できないことがある。
おそらくロックベル夫妻殺しをいまや心から反省しているスカーが、ニーナのことでは反省している描写がないという点だ。

アルに激しく責められたスカーは、自分の選択になんの迷いも示さなかった。
確かにあのままニーナが研究機関につれていかれていたら、実験動物にされ最終的には始末されていただろう。
だが、物語の現時点までもしも生き延びていたなら、ニーナが元に戻れる道もあったのかもしれないのだ。
その意味で、スカーは確かにニーナの可能性をつぶした。
私はスカーにそのことをしっかり自覚して生きてほしい。

死によって救われたようなアニメのスカーの扱いが、私は嫌いだった。
そして、死によって救ったように思っていたスカーも私は赦せない(たとえ悲しみに共感したにしろ)。

何が救いになるのかなんて誰にもわからない。
私の思いはきれいごとなのかもしれない。
けれど、生命さえあれば可能性だけは死の瞬間まであるのだと思う。

しかし、始まりがニーナだ・・。
スカーは本当に罪にまみれている。
彼がここまで罪まみれにされたことにも意味があるはずだ。
また、スカーのことをコツコツと考えていこう。