社労士みょうみょうのちょこっとセミナー

社会保険労務士の仕事を通して思ったことや考えたことを書いています。また制度や法律について、自分なりの解釈でお伝えします。

103万の壁ってなに?その2

2014-07-22 16:17:26 | 扶養について
  収入が103万を超えると

自分自身の所得税を支払わなくてはいけない

ということに加えて

夫(配偶者)の所得税も高くなるのです(住民税もですが)

つまり配偶者控除が受けられなくなるということです

実際には、配偶者特別控除というのがあり

103万を超えて141万までは段階的に

控除額が減っていきます

自分(妻)が多く働いた結果、夫の所得税が高くなる…

これって損?

山田さんご夫妻の例を見てみましょう

妻の年収103万 → 131万(28万円の収入増)
夫の年収500万

妻の所得税 14880円
夫の所得税 38000円増加(配偶者特別控除を考えない)

28万 - 5万3000 =22万7000

所得税を引いても現金が22万残ります

1日1時間ちょっと労働時間が増えます
(20日間勤務)

これをどう考えるかにもよりますが

働くことに制限がなく、扶養から外れたら損だから

という理由で労働時間を調整している人がいたら

ちょっと考え直してみたほうがいいかもしれないです

103万の壁ってなに?その1

2014-07-22 15:38:25 | 扶養について
 
 


「収入」が103万円を超えると所得税を支払わないといけません

しかし、103万って中途半端な数字…

なんできっちり100万じゃないんやろ…

そうなんです

ここが103万で、もひとつの壁(社会保険ですね)が130万なので

混同する人が多いようです

所得税はこの名称が示すように

「所得」にかかる税金ですが

じゃあ「所得」って、いったいなんでしょうか?

私は、利益と考えていいと思っています

例えば、個人事業主にとって利益とは

売り上げ - 経費  です

この利益 ≒ 所得 です

では、雇用されて働いている人にとって

所得(利益)ってなんでしょうか?

雇用されている人は交通費が支給されるし(だいたい)

会社で使うデスクやその他の機器のレンタル料は払わなくていいし

電気・ガス・通信費なども徴収されていないので

経費ってかかってないかんじがしますが

「かかること」になってます

そうなんです

雇用されている人も、給与収入から

最低でも65万円は経費として控除できるのです

103万 - 65万 =38万

それプラス所得税は誰でも、基礎控除といって

38万円が控除されます

つまり

「収入」が103万円以下だと「所得」がゼロとなり

所得税は払わなくてもよいのです

ところで、所得税って高いのでしょうか?

私の感覚としては、ずいぶん安くなったな~です

昔は最低税率が10%でしたが、今は5%です

いつも低賃金なので税率は5%です…

そのかわり住民税が重くのしかかってきます

私はしょっちゅう、失業していたので、収入のないときに

前年度の所得にかかってくる住民税はほんっとに厳しかったです

住民税についてはいずれまた…

所得税に戻ります

所得税を払いたくないし、絶対103万超えたくない!

と思ってる人

仮に収入が104万だったら、所得税はいくらなんでしょうか?

104-65-38=1万

1万×5%=500円です。1年間で

働きましょうよ、もうちょっと >/font>font>
 

雇用助成金はいつ始まった?

2014-04-10 16:45:56 | 助成金
雇用保険には

失業給付や雇用継続給付

教育訓練給付など、まとめて失業等給付といいますが

これらの他に

雇用保険二事業といって

「雇用安定事業」と「能力開発事業」

というものがあります

雇用助成金はこの二つの事業で行っています

雇用保険は事業主と労働者の両方が保険料を
支払っていますが、厚生年金保険や健康保険とは違い

労使折半(きっちり半分づつ)ではありません

事業主がちょっと多めに払っています

その分が助成金の原資となっているのです

雇用保険はその昔

1947年(昭和22年)にできた当時は

失業保険という名前でした

その名前のとおり、失業したときに

当座の生活費を支給してくれる公的な保険でした

もちろん今も失業給付は制度の中心です

雇用保険という名前に変わったのは

1974年(昭和49年)です

高度経済成長期を経て、安定期に入り
1973年(昭和48年)にはオイルショックが起き
倒産する会社が相次いだのです

トイレットペーパーの買い占めが起きたことは
社会科の時間にでも聞いたことがあるかもしれません

失業保険が雇用保険という名前に変わり
給付内容も、失業だけではなく、求職活動(職探し)や
スキルや能力アップにつながる活動、雇用を維持するためなど
いろんなものに支給されるようになりました

このときにできたのが、三事業といわれるものでした

1雇用安定事業
2能力開発事業
3雇用福祉事業(内容は知らないのですが、2007年に廃止されました)

1の雇用安定というのは、経営が苦しくても解雇(首切り)しないで、
 国からお金をもらって、雇用を維持するもので
 雇用調整助成金と言います
 当時はもっぱらこれが中心だったそうです

2の能力開発というのは、教育訓練のことです
 今はこっちの助成金も多いです

雇用調整助成金に関しては、当時も今も批判は強いです

もちろん経営者サイドからの批判です

労働者にしてみれば、仕事がないからって解雇されたんじゃ
生活できない、なんとかしてくれ、ですが
経営者にしてみれば、仕事がなければ労働者はいらない
お金を補助してもらってまで、労働者を雇用し続ける意味は?
となるのです

雇用助成金とはどんなもの?

2014-04-10 16:14:42 | 助成金
助成金についてちょこっと。

私たち社会保険労務士が取り扱う助成金は

そのほとんどが雇用に関するものです。

助成金・奨励金の名前がついています。

助成金は主に、厚生労働省(国)が取り扱っています。

都道府県や市町村のものもありますが

国のものと連動しています。

支給要件を満たした事業主に支給される

返済不要のお金です。

よく知られているのは「トライアル雇用奨励金」です。

未経験者などを雇用して、試用期間を経て、正規採用となった
場合、一人あたり最大4万円が支給されます。

障害のある人や、高齢の方、母子家庭の母などを
雇用した場合にもらえるものや

非正規の方を正規に転換した場合にもらえるもの

従業員に研修などを行ったときにもらえるもの

事業を縮小したときに、休業や出向、教育訓練などで対応し
雇用を維持した場合にもらえるものなど

雇用関係の助成金というのは、
ほんとにいっぱいあって、私も把握しきれません…

事業主の方にとっては、おなじみの
雇用助成金ですが、
その原資となっているのはどんなお金でしょうか。

いつごろ、このような制度ができたのでしょうか?

労働基準法ができる前その3

2014-03-15 10:19:13 | 労働基準法
  1916年(大正5年)ようやく労働保護法である
工場法が施行されるわけですが
その中身をもう少しくわしくみてみましょう

保護の対象となるのは
15歳以下の少年・少女たちでした
(年長の労働者もいたのですが
多くは年少者だったからでしょうか)
適用事業所は工員15人以上のところでした
小規模なところは適用外でした

・最低年齢12歳(特例で10歳以上も可)
・拘束は12時間まで
・夜10時から朝4時までの就業禁止
(ただし15年間は2組ニ交代の昼夜勤務が認められる)
・毎月2回の休日
・業務上の傷病や死亡についての補償

などが規定されていました

改正で保護年齢が16歳に、
最低年齢が14歳に引き上げられたり
適用範囲が工員15人から10人以上に拡張されたり
拘束11時間になったり
産前産後の女子の保護ができたり
よくはなってきましたが
世界的にはすごーく遅れていたようです

産業の発達や国防の面が強く
労働者の保護というよりも、むしろ
人的資源としての労働力の保護
とみたほうがいいかもしれません

なんか少子高齢化・年金問題みたい…
将来の労働人口が減るからもっと産めとか
1人の労働者が2~3人の高齢者を支えなきゃいけないから
もっと産めとか…
たしかにその通りなんだけど
でもやだよね
食べられるために飼育されている家畜と
なんか似てる…

話を工場法に戻します

昭和12年、日中戦争が始まったことで
戦時特例が設けられはじめ
戦時中はその機能が完全停止し
ほとんど名ばかり保護法に成り下がって
しまったようです

戦後労働基準法ができたことにより
工場法は廃止されました