ZZR1400GTR's Tagebuch(日記)

主に独逸・墺太利・瑞西・南チロルの欧州事情を発信。

疲労困憊

2012-10-08 19:17:50 | ZZR1400
昨夜は 「疲労困憊」 でした。アウトバーン上での外気温2度、どうにもなりません。この外気温の中でバイクを走らせるのは、厚着して冷凍庫の中に入るのと一緒です。「体からの発熱が間に合わない」 のです。

寝不足で出発したので、この写真の場所で1時間ほど熟睡しました。夜中の3時過ぎでお客も居ないレストラン、飲み物などを買う時に50%近いチップ(と言っても300円ほど)をあげたので 「暗黙の了解」 があったと信じます。「見て見ぬ振り」 をしてくれたのでしょう。

おかげさまで目的地にほぼ時間通りに着けて、用事も済みました。でも、今晩はここで泊ります。行って帰って約1千キロ。女房が 「なぜもっと早く出発しないの?」 って毎回の様に私に 「言って聞かせる」 のですが、出発直前まで 「いろいろ」 とある、のです(苦笑)。



光と影

2012-10-04 23:04:40 | ZZR1400
出張の折に自分とバイクの影をアウトバーン上で見ました。西日になりかけた太陽を背にして走った際にでした。カーブで方角が変わってしまってまもなく消えてなくなりましたが、また出て来て、そして消えて、何度も繰り返して、後に曇り空から夜になり、彼らは二度と出てこなくなりました。ただ、それだけのことだったのですが、今見ると懐かしく思います。「単なる一現象」 だったのですが、「思い出の一ページ」 に成り得るある種の 「重さ」 がありました。

「もういい」 、でも、しかし、また ...

2012-10-04 21:17:32 | ZZR1400
昨晩、大切な用があったとは言え、「もういい」 の気持ちになりました。夜中にイタリア北部の峠を越えてオーストリアを縦断しドイツ南部にある家に辿り着きました。ライダー用の革ジャンの下には3枚重ね着、膝から下全体を覆うハードな防護パッドが入ったズボンの下に股引、更に雨が降らない予報なのに雨合羽の下で防寒対策をし、今回のバイクはグリップヒーターもグリップガードも付いているタイプでしたが、昨夜はとても寒かったのです。

峠の上での最低気温は6度でした。8度を下回った辺りから、腰下に「冷感」を覚え始め、それを超えるとまた無感になる、不思議な体験でした。温かい飲み物などは無論、休憩する所さえありません。停まること自体が「無謀」に思えます。停まったとしても、エンジンかけたまま、バイクに跨ったまま、メットもグローブも取らずに、シールド全開だけが唯一許される感じです。

バイクで18時間以内に用事も済ませて走りきっての約1200キロ、その後でクルマに乗り換えて約800キロ、女房が電話で「あんた仕事してんの、走っているだけと違うの?」なんてとぼけたことを訊いてきます。「おまえ、何年俺の女房してるんだ!」 と言い返したくなる気持ちをグッと押さえて、「ああ、仕事は順調だよ」 と紋きりな返事をしてました。

この元写真は、ドイツ領のアウトバーン上で給油してピーナッツを食べながら椅子で休憩していた時のものですが、この野外席が「生暖かい」と思えたほど、真夜中の峠道は寒かったのです。この冷たいはずのアルミの椅子の上で半時間ほどうたた寝したと思います。そして、寝入りばなに 「もういい」 って思いました。

人は不思議な生き物で、「疲労困憊の中での弱音」 を何かのきっかけで忘れたりもできるんです。ピーナッツを頬張りながら 「風の谷のナウシカ」 に出てくる「チコの実」 を想い滋養を感じたり、iPhone でのチャットのお相手が 「寒さはある種の集中力生みますよね」 と書いてくれば、「ああ、そういう風に考えればまだ走れるかも」 と思い返せたりしました。

少年の頃の自転車でのツーリングは、「行ったら同じ距離だけ帰って来なければならない」 を強烈に自覚させてくれた出来事でしたが、結局バイクでも一緒です。自転車より十倍程も距離は稼げるかもですが、かかる時間や手間は違わないような気もします。つまり、ある地点を過ぎた所で急速に増大する乗り手への負担は一緒でしょう。

人の気持ちは状況によっては二転も三転もし、流転し続けたりさえします。外見がどうであっても心中での様子は誰もが似たり寄ったりだと思いたい。「弱い」 とか 「強い」 とかでないもっと温かみのある言葉が欲しい、なんて時々考えながら、これからも珍道中は続いていきます。何もかも 「人の世の常」 で割り切れるならば、説明できるのであれば、嬉しいのか悲しいのかさえ、今の所よう知れません。