今を生きるためのBlog

東京在住、現在28歳のBlog。仕事で関係する中国、米国公認会計士の話題をはじめ、日々の思いを綴っています。

会社法はどう変わるのか

2005年09月22日 | 経営
最近アップが遅れていて済みません。今日は休暇だったので後楽園のラクーアでゆっくり過ごして気分をリフレッシュしてきました。今日は気合を入れています。過去最長の日記かも。

さて今日の話題はと。。今書店に行くと、2006年に施行される新・会社法に関する本が所狭しと並べられている。そんな本のうち、分かりやすそうな1冊を借りて読んでみた。それが「新会社法のことが手っ取り早くわかる本」(明日香出版社)。

個人的に言うと、俗に商法の一部分(正確には「第2編」)で規定されているものを日本では「会社法」と呼んでいたのだと思っていた。違うんですね。その他にも「有限会社法」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)」、「商法施行規則」を合わせて会社法という呼び方をしているらしい。ちなみに中国では「公司(会社)法」というものがある。

これも発見ですが、日本の会社は有限会社が52.5%、株式会社が46.0%、その他(合名会社・合資会社)が1.4%となっている(事業所・企業統計調査)。株式会社のうち、資本金1億円以上の大会社はほんの4.0%。96.0%が中小企業という内訳。意外に有限会社が多いというのが実感。

2006年にその会社法が改正されてどうなるかと言うと、ざっとしたのは以下のもの。
①最低資本金制度を撤廃:
従来は有限会社で300万円、株式会社で1,000万円の最低資本金が定められていたが、これが撤廃され、1円でも起業が可能になった。
②取締役3人、監査役1人の制限を撤廃:
株式会社には取締役3人、監査役1人が必要であった。改正により取締役が1人で会社設立することが出来る。
③類似商号の規制を撤廃:
従来は類似の企業名をチェックして自社がその名前を使用できるか決定したが、商号を自由につけることが可能に。仮に同じような商号が出てきて、今までの会社が損害を被ることになった場合は、「不公正競争法」で保護される。
④有限会社の消滅:
資本金規制が撤廃され、1円でも株式会社が創設されることから、今後有限会社を作ることは出来なくなる。ただ既存の有限会社が存続を望む場合は経過措置としてそのままでいることが可能。
⑤LLC、LLPの設立が可能に:
新しい会社形態として、LLC(limited liability company)、LLPが(limited liability partnership)の設立が出来る。この2つの組織の特徴としては、a.出資金を限度とした有限責任が確保される、b.パススルー課税が適用される、c.内部自治が徹底されることがある。従来の合名・合資会社ではパススルー課税があったものの無限責任であったことから、LLC、LLPは株式会社と合名・合資会社の良いとこ取りをしたと言われている。
⑥会計参与制度の導入:
会計のプロとしての役員である会計参与を新たに導入。公認会計士・税理士・監査法人・税理士法人でなければ就任はできない。会計参与の目的としてa.計算書類の作成、b.計算書類の5年間の保存、c.株主および債権者への閲覧の対応などがある。税理士、会計士は従来も会社のよき相談役としてコンサルティングをしているが、会計参与になれば実際会社内部の役員としての働きをすることになる。
⑦利益処分案が不要に:
従来、PL、BSなどと共に作成が義務付けられていた利益処分案がなくなる。株主に対する金銭の分配は全て「剰余金の配当」として一本化され、何時でも配当が可能になった。利益処分案の代わりに、株主持分変動計算書を作成することになった。ただし、資本金が300万円未満の場合は剰余金があっても株主分配は禁止に。
⑧三角合併の導入:
A社がB社を吸収合併する場合、A社の株式をB社に分配することで合併することは認可されていた。改正により株式以外にも「金銭その他の財産」をB社に渡すことで吸収合併することが可能になる。注目はその他の財産にA社の親会社の株式も含まれること。つまり、親会社の株式をあてがって他社を吸収合併が可能になり、外資が日本企業を買うことが増えると予想される。

他にも細かい改正はありますが、私が本を一読して重要と感じたのは上の8点です。

株って難しい(その2)

2005年09月01日 | 経営
購入してから半年近くがたった。この2社の株価動向はまさに正反対。

先ずは良い方のワタミ。これは買った時からもう3割近く株価が上がった。私が重視した中国事業が好調というわけでなく、渡邊美樹社長の方針で介護や農業に参入したのが評価されているようだ。北海道の農場で有機野菜を栽培し、それを和民など系列店で提供している。先日和民に行った際も、ワタミが栽培した有機野菜を使っていると大々的に宣伝していた。渡邊社長の起業までの道のりについては、高杉良氏が執筆した「青年社長」という本に詳しく書かれている。上下があってボリュームあるが、熱血社長で好感が持てます。是非一読を。

次に三洋電機。これは15%ほど下落。業績が悪いのを承知の上、つまり当時の株価に業績は全て反映されていたと考えて投資したのだが、それが甘かった。2004年度の純利益は1,371億円の赤字。ちなみに中越地震の損失は423億円を計上している。分かってはいたが予想以上の赤字だったらしく、私の購入後さらに株価が落ちた。当然、配当もなし。

三洋電機は2次電池など、環境面から見て事業拡大する分野も手掛けており、損切りせずに塩漬けの予定。これ以上は業績が悪くなることはないでしょう。ワタミは好調なので迷っているところ。それより、次の一手をどうするか。今迷っています。。。

株って難しい(その1)

2005年08月24日 | 経営
今年初めにCPA受験でハワイに行った際、試験後に現地に留学していた大学時代の友人と遊んだ。彼は卒業後、京都の某大手メーカーに就職後、すぐに証券会社の研究所に転職。証券アナリストが自分の天職だと確信して英語を身につけるために再度辞職してハワイ留学していた。私は資産運用として投資信託しかやったことなかったのだが、ハワイで彼に「株式の方が絶対に面白い」と力説された。

ご存知の通り、投資信託は幾つかの株式で運用する。そのため、分散投資になるのでリスクは少ないがその分リターンも少ない。一方株式は分散の概念がなく、その企業の業績にのみ依存するのでリスクは高いがリターンも高い。リスクを減らすために分散するには業界の異なった株式を買う必要が生じる。高いリターンを目指して研究するのがまた楽しいという。

この話があったので、2005年は株デビューの年にしようと密かに思っていた。そして帰国後は銘柄選びに奔走した。先ずは、自分に身近で中国に関係があり、株主優待が魅力的な企業にしようと思った。

1社目はすぐに決まった。それはワタミ。「和民」で飲んだことがある人は多いでしょう。ワタミは香港に進出後、今年から広東省深セン市にも出店、今後も中国事業も拡大させる方針。ここの株主優待は和民をはじめとして系列店で使える6,000円券。半年毎なので1年持てば1万2,000円分の無料券がもれなくもらえる(但し、休前日・土曜・祝日は使えない)。学生時代にはよく行ったが社会人になってはほとんど行っていない。しかしこの1万2,000円は大きいぞ。

もう1社は、折角CPAを勉強したのだから、米国基準で財務諸表を出している企業にしようと思った。そうなると、米国にも上場している大手企業という限定になり、電機メーカーを色々と調べた。1社、業績が悪い会社を発見。それは三洋電機。ここは昨年の中越地震で新潟の半導体工場が被災。保険をかけてなかったことで多額の損失を計上した。おまけに家電・AVも冴えずに赤字計上であった。株価チャートを見て底と判断!よしこれでいこうと購入した。。。つづく

UFJvs住友信託

2005年08月04日 | 経営
10月に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併する。最近ある経済誌を読んでいて思い出したが、UFJ信託銀行を住友信託銀行に売却すると決定したのをUFJが覆したという紛争、まだ未解決のようだ。企業間の訴訟というとライブドア案件が世間の注目をかっさらってしまったのですっかり忘れてました。

住友信託の主張では、UFJ信託を失ったことによる損害は2331億円、うち1000億円の賠償を求めてUFJを訴えている。UFJも対抗する姿勢を見せており、7月25日には東京地裁で第5回目の口頭弁論があった。

ライブドアvsニッポン放送の訴訟ではライブドア有利だと思ったし、保身の増資は認可されたらどうなるんだという危惧があったが、今回の訴訟は全く分からない。ただ、住友信託としては違約条項を契約に入れなかったのは致命的だろう。米国の企業合弁では当然あることだが、日本では契約が遵守されるものという概念があるからか、盛り込まなかったようだ。

訴訟で決着を決めるのは極めて明快なのだが、明確に法律になっていない論点、いわばグレーの部分を巡ってを争う訴訟の決め手は判断が難しい。まして双方とも優秀な弁護士と契約しているわけだし、論点を整理する作業ってのは骨の折れるものなんだろう。

ライブドアがニッポン放送との訴訟で弁護士に支払った費用は4億円とか。なんでも、6事務所から18人の腕利き弁護士を集めたらしい。日本も訴訟社会になってきているようだし、日本版SOX法の導入で需要が増す会計士同様、弁護士のニーズも相当増していくのだろう。

<追記>
東京三菱銀行とUFJ銀行の合併は来年1月に延期になったようです。

中国海洋石油がユノカル買収を断念

2005年08月03日 | 経営
米石油大手ユノカルに買収を提案中国海洋石油(CNOOC)は、買収を断念したと発表。
CNOOCは6月、ユノカルに対してシェブロンを大きく上回る185億ドルで買収を提案した。しかし先週、米国議会が買収阻止条項を含むエネルギー法案を可決したことから、買収断念に追い込まれたという。米国議会の反発にあったことが最大の要因だった。これでユノカルはシェブロンが買収することになるだろう。

報道によると、CNOOCはゴールドマンサックス、JPモルガン・チェースなどとアドバイザー契約を結び、米国議会に強い人脈を持つPR会社とも契約したという。いわば米国の金融業界最大手と手を結んでも米国議会の中国脅威論を覆すことが出来なかったということになる。よくよく考えてみると変な話だなぁ。

企業の買収を巡る攻防に米国議会の政治的な思惑が入り込むのは腑に落ちない。しかし今回の一連の騒動は、①石油という国家戦略に関わる資源の争奪戦が背景にあったこと、②CNOOCが中国政府の支援を受ける国有企業であることなどを考慮すれば米国議会が反発するのは仕方ないことなのだろう。中国政府としては今回の買収を通して資源と油田開発技術を同時に手に入れたかった。企業買収を巡る米中の政治的対立が表面化した事例だと個人的には思います。

ワールドがMBO、株式を非公開化

2005年07月26日 | 経営
アパレル大手のワールドはMBO(Management Buy Out)を発表、同時に株式も非公開化することになった。上場企業によるMBOは日本では初めてのことだという。なお、MBOとは経営陣が企業・部門を買収することをいう。

同社の社長個人が100%出資する株式会社ハーバーホールディングスベータがワールドの株式を公開買い付けする。買い付け後、最終的にワールドを完全子会社することを企図している。100%を買い付けるそうなので、実施すればワールドの株式は上場廃止となる。

ワールドは今回のMBOの理由について、①経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な経営戦略や施策を短期的な業績の変動に左右されることなく迅速に遂行する体制を整備すること、②自己責任を明確にした経営体制への転換を図ることを挙げる(プレスリリース資料より)。

今回のMBOによる株式の非公開化は、究極の買収防止策となるだろう。ライブドアvsフジテレビの買収問題で世間の関心が高まってモノ言う株主が増え、日本でも敵対的買収の事例が徐々に出てきた。敵対的買収のリスクや、株主による経営介入に恐怖を感じている企業であれば、検討に値する決定なのではないか。村上ファンドの村上社長が大証の総会で社長を問い詰めていた光景を先日TVで見たが、上場すれば株主に対して経営責任を負うことになることを理解してない上場企業って結構あるのではないか?大量の資金が手に入るから、知名度・信用度が高まるからなどといった理由で安易に上場している企業は少なくないと感じる。

ワールドのように知名度および資金力がある企業にとっては上場に要するコストの方が大きくなってしまうのかもしれない。MBOや非公開化は米国ではよくある話だが、今回日本で事例が出たことで、同様の措置を検討する上場企業が出てくるのではないか。

株主総会集中日

2005年06月29日 | 経営
今日6月29日(水)は株主総会の集中開催日。なんとも1646社が総会を開催したとか。従来の青目の外国人投資家だけでなく、個人投資家もモノ言うようになったようだ。これもライブドアによるフジテレビ買収攻撃で株主の権利について感心が高まったことが大きく作用したに違いない。

敵対的買収に備え、発行可能な株式総数である授権資本枠を拡大するための定款変更を提議した企業は約150社に上ったという。うち、東京エレクトロン、横河電機、ファナックで否決された。安易な増資は既存の株主の株式を希薄化することにつながり、経営者はきちんとした説明責任が求められる。

本来株主総会とはこのようにあるべきではないか。経営者は法的な会社の持ち主である株主に対し、会社の価値を高めるため説明責任を果たすべき。従来のシャンシャン総会では済まされない。上場することは英語で言うと、going public。投資家は資金を次ぎ込んで会社の持ち主になれる。今日の「クローズアップ現代」では株主総会に向けて敵対的買収防衛策を打ち出すニレコの社長が想定問答を繰り返す姿を追っていた。もし、手塩にかけて育てた会社をpublicのものにしたくない、株主にきちんとした説明ができないというのであれば上場しなければ良い。市場から資金を調達することはそれだけ重い責任を負うことになることを認識することが必要ではないか。サントリーみたいに上場しない優良企業も沢山あるわけだし。

持ち主と対話する数少ない機会である株主総会をこんな平日に集中開催するというのもおかしい。これも日本では株主総会が軽視されてきた結果と見ることができる。個人株主が増加することを背景にして出来る限りの株主が参加出来るよう工夫を凝らしてもらいたいものだ。ただ、集中日としては前年より72社少ないというからこの傾向が崩れていくことを望みたい。

マクドナルドの誤算

2005年06月19日 | 経営
日本マクドナルドは2005年6月中間期の業績見通しを大幅に修正した。従来予想の経常利益は33億400万円(前年同期比27%増)だったが、1億4,400万円(同94%減)になるという。
マクドナルドの最近の動向と言えば、「百円マック」。この効果もあって来客数が11%伸びたものの、客1人当り単価は7%減になった。「百円マック」がフルに寄与した5月は客数が10%増えたものの、客単価はそれ以上の13%低下したという。

マクロ経済学で学んだ需要の価格弾力性(price elasticity of demand)を思い出した。需要の価格弾力性とは、需要の変化率を価格の変化率で割ったもの。これが1以上であれば、需要は弾力的であり売上は増加する。つまり、価格を5%減らしても、その分需要が7%伸びれば、結果として値下げは売上増に結びつく。逆に需要の価格弾力性が1以下で非弾力的の時、売上は減少する。

マクドナルドの場合、上に書いた5月の動向は需要の価格弾力性が1以下(10%/13%=0.77)になっている。また、全体的には来客11%増で単価7%減だからこちらは価格の需要弾力性が1以上になっているが、店舗人員の増強で人件費がかさみ、CMなど広告宣伝費も多くかかったことだろうから、利益にどこまで結びついたか疑問である。

マクドナルド側は「外食市場はシェア確保が重要」と述べているが、マクドナルドの市場シェアは既に過半数を超えて既に1位。モスバーガー、KFC、ロッテリアなどを引き離しているのに何故「百円マック」を導入したのだろうか。アップルパイ、マックシェイク(S)、ホットケーキなどならまだしも、何故マックチキンといったハンバーガーまで100円にしたのか。マーケティングの失敗と言えるのではないか。

他社の動向が逆だから面白い。売上は、客数×客1人当り単価で定義できる。マクドナルドは単価を下げてその分客数を増やす戦略をとった。一方、他社は高級バーガーなどの導入で客単価を増やすこと目標としている。ロッテリアは500円バーガー、モスバーガーも「匠味」という高級バーガーを出している。市場シェア1位のマクドナルドの戦略に追随せず、独自路線を歩み始めた他社。今後のシェア争いがどう動くか楽しみだ・

ピーターの法則、知ってますか?

2005年06月06日 | 経営
経営ノウハウとは言えず、半分ジョークではないかと思うが、ピーターの法則って知ってます?

ピーターの法則とは、階層社会では全ての人は昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する。やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行なわれているというもの。

私の会社にはいわゆる窓際族、つまり働かない上の階層が多い。正確にはリストラ対象とはなっていないようなので窓際ではないか。。。転職経験がないのでうちが一般的なのかは知らないが、わが社ではその傾向が顕著である。「頼むから仕事してくれよ~」なんて思うことが多々あるのだが、このピーターの法則を知り何だか胸につかえていたものがすっきりした。

つまり、彼らは無能レベルに達してしまったのだ。確かに筆者が言うようにまだヒラの職員が大きな職責を担って会社を動かしている。いざという時に上が責任を取るという体制も不十分である。ま、自分の会社の愚痴を言っても仕方ないのだが。

現実は、無能レベルに達していない人間に加え、CEOやCFOなどトップに立って十分な役割を果たせる人間も主要なプレーヤーではないかと個人的には思う。日本には優秀な若手経営者が随分出てきたと感心させられるし。無能レベルにならないためには、必要以上の昇進を避けること。これは頷ける。昇進したくはないけど、給料は欲しいよなあ。

日本への対内投資が対外投資を逆転

2005年05月26日 | 経営
2004年度の対日直接投資は375億ドルと倍増して過去最高を記録した。日本の対外直接投資が355億ドルだったので初めて対内が対外を上回ったことになる。
注意が必要なのは、対日直接投資のおよそ半分は、投資ファンドによる貸付がほとんどを占める(187億ドル)。日本企業へのM&Aなどを目論んで資本を日本に移動させた結果と言える。

小泉首相が2006年末までの5年間で対日投資を倍増させるとした公約は達成される見込み。投資ファンドの資金移動以外にも、中国企業が日本の企業を買収して進出するケースも出てきており、今後対内投資を増やせるかは欧米だけでなく、中国をはじめアジアの企業を呼び込めるかが鍵となる。

対内直接投資を促進させようという試みは理にかなっている。日本の投資は従来圧倒的に対外が多かった。日本の構造改革を進める上でも外資企業との提携などは経済活性化に欠かせない材料だ。

ここで気になるのは日本の会社法の改正。外国企業の株式を使ったM&Aである「三角合併」の導入が2006年から1年先送りになっている。日本企業の準備期間を設けることが目的なそうだが、これって政府方針が矛盾してない?