荒巻豊志の整理されないおもちゃ箱

日本一下手なドラマーです。仕事の話をすることはこのブログではめったにありません。

AKB48 3rdアルバム「ここにいたこと」

2011-06-09 00:26:01 | AKB楽曲
くだらないことを長々と書いてしまったが、破棄する意味がみつからない。このまま掲載する。

もう10回ほど通して聴いてみたうえでレビューを。
参考となるものは日経エンタテイメント7月号の関係者インタビュー。

2ちゃんねるは書き込みの9割が特典のポスターがどうだ、写真がどうだとそんなことばかり。AKBファンのは楽曲のことなど気にしていないのか?。


まずは1曲目「少女たちよ」
もともと年初AKB48の映画のエンディングテーマであった。AXライブで一度上演され、ラジオでワンコーラス分放送されただけだったが、感想はいいものだった。
小網準、生田真心のコンビでAKB48お得意のアップテンポ8ビートの典型的な楽曲。サウンドはハイキックらしくきらびやかだ。低音を全面に出し、ギリギリまで音圧をあげる松本靖雄らしいミックスダウンが心地よい。
俺が不満に思うのは2ちゃんねるでは「チャンスの順番」は酷評されているのに大して、この「少女たちよ」は好評価なところだ。「チャンスの順番」がどれくらいポップスとして最高の仕上がりをしているのかがわからないバカが多い。「少女たちよ」も酷評するのならわかるが、こういったやつらは楽曲だけでなく、歌詞すらろくに理解できていないバカだ。
「チャンスの順番」は作り手の側からみてすごく人気が高い。そのことを知ったとしても、誰が歌っているかということだけにとらわれているやつらは評価を変えることはないだろう。ボーカルに決定的な質の違いがあるわけがないのに。「この曲○○が歌ってんだぜ」と嘘を言えば、「神曲だー」と騒ぐようなバカは死んでほしい。
さて「少女たちよ」だが、間奏・エンディングとしつこいまでに盛り上げてくる。本来ならフェイドアウトさせて終わらせたい曲だ。AKB48はフェイドアウトで終わる曲がひとつもない。それもそのはず、オケをそのままライブで流すのだからフェイドアウトの曲が作れないのだ。そこはもったいなく感じた。
曲が盛り上がっていくのに反比例してボーカルの頼りなさが気になる。AメロからBメロまではオケとボーカルのバランスがとれているのだが、サビになるとボーカルのパンチ不足が明らかになる。
とはいえ、シングルとしても出せるくらいのできに仕上がっていて、演奏しても楽しそうな楽曲であることは間違いない。

「Overtake」
歌詞は、選抜メンバーに入れないとか実力で見返せといった内輪ネタ。こういった歌詞はわりとヲタの中では好まれるようだが、俺はどうでもいい。その意味では「チャンスの順番」も「少女たちよ」もこの路線。確かに内輪ネタではなく一般論としての応援ソングととらえることもできるが、応援ソングとしてはZARDの「負けないで」に勝るものはもう出てこないと思っているので、さほど何かプラスの要素はない。
楽曲はアレンジがとても元気いっぱいで歌詞に合っていて、いい感じに仕上がっている。好きな楽曲のひとつになりそう。

「僕にできること」
きれいなメロディーでチームKらしさがでている。「J-pop斬り」のマーティ・フリードマンいわく、間奏のギターが残念で、俺に弾かせてほしいとのこと。確かにそれは俺も感じたが、演奏がどうのこうのではなくて、ミックスダウンのときにギターを抑えている感じがした。全体にリードギターの音が背景に流れているが、間奏くらいはもっと押し出してもいいと思った。

「恋愛サーカス」
AKB音楽プロデューサーの田中博信は、この曲で「冒険」してみたといっているが、あまり冒険という感じはしない。スカっぽい感じで裏でリズムをとるのは確かにいままでのAKBには少なかったがいたって普通。でも、大好きだけどね。チームBらしくていい。いや、これはチーム4に歌わせたほうがいい気もする。ガヤ(背景でごちゃごちゃにぎわいの台詞が入ること)が売りのようだが、こういう曲はCDではよさを見せるが、ライブではどうなんだろうなぁ。

「風の行方」
ここからは、チームをシャッフルしたこのアルバム用のユニット曲の登場。ミディアムテンポで切ないメロディーは飽きがこない。どこかで聞いたことがあるメロディーラインだなぁと思っていたら中ノ森BANDに多くの楽曲を提供している島崎貴光だった。女子競艇選手の田口節子の妹が中ノ森BANDのベースで、競艇にハマっていた2006年にそのつながりから中ノ森BANDばかり聴いていたことが少し役に立った。
それにしても飽きがこない。最初はピンと来る楽曲ではなかったのに。それとこういうミディアムテンポの楽曲はZARDと同じく演奏していてとても気持ちいい。

「わがままコレクション」
前曲と同じ島崎貴光による作曲と編曲。妹系メンバーを集めたというわりにはじゅりながいたりして、これはボーカルの質が違うのでいなくてよかったと思う。知識があればこの曲はいろいろと語れる楽曲のような気がするが今の俺には無理。

「人魚のバカンス」
変拍子が多用されている。1983年の松田聖子に歌わせたかった。正直に言ってAKB48の新しい魅力を出そうとしているのはわかるが、こういった楽曲はアルバムのどこに配置するかで評価が大きくかわってしまう。それとやっぱり根が8ビート野郎の俺としては、今後あまり聴くことがない部類の曲になるだろう。

「君と僕の関係」
あっちゃんとともちんの二人による曲。これは俺には大ヒット。シングルにしてもよかったと思う。マーティ・フリードマンの感想で「転調が少ないのがAKB」というのを読んではっとさせられた。確かに・・・。だから「もっともりあげろよ」と思うときにそのパンチが足りないと感じることがあったが、これは二人ということでミックスダウンをしやすかったのか、最後の転調による盛り上げ、男性の英語によるコーラス部分といい、とてもノリがいい。歌っている二人にはなんの興味もないが、これはいい楽曲を提供してもらったと思う。欲を言えば、最後の終わらせ方があっさりしていたのは拍子抜けしたところか。

「イイカゲンのススメ」
長調からはじまりサビでマイナーアップテンポへというパターン。その逆は河合奈保子でよくあったなぁ。Aメロでの曲調ががらっとかわる違和感を生田真心のアレンジがうまく処理している。作曲は渡辺翔。フレンチキスに「ぽっかり」を提供しているが、全く作風が異なっている。やはり、生田のアレンジが曲のもつよさを思い切り引き出しているのだろう。

「High school days」
これはいい!。チーム研究生(チーム4)によるさわやかな学校恋愛ソング。切ないメロディーがいろんな記憶を呼び起こす。モータウンリズムが使われていてちょっぴりZARD的な雰囲気もあり、早くドラムで叩いてみたくなる。作曲は鳥海剛史。ジャニーズや気志団にも楽曲を提供している。この曲は作曲よりもアレンジのよさだろう。アレンジは清水武仁。浅倉大介周辺で活動していてHAL(ハル)のメンバーの一人。「クラシカルトランス聖夜」は嫌みがなくクラッシック音楽をポップスにアレンジしている。


このアルバムは全16曲で構成されている。以下、「チームB推し」、「チャンスの順番」「Beginner」、「ポニーテールとシュシュ」、「ヘビーローテーション」、「ここにいたこと」と続く。
なぜ16曲なのかというと、劇場公演曲が16曲で構成されていることから、このアルバムでも劇場公演の雰囲気を再現しようという目論みがあるらしい。確かに全体曲からはじまり、ユニット曲を挟んで再び全体曲へという流れを意識していることはわかる。この目論みは悪くない。レコードからCDに変わって、すでに20年以上になるが、音楽が急にかわった感じがする。A面、B面の概念がなくなったことにより、アルバムの作り方が大きく変わった。A面とB面で雰囲気を変えるといったことができなくなったからだ。収録楽曲もレコードに比べて増えた。こうなると多くの楽曲をなるべく統一された軸でそろえていくのはなかなか難しい。
そこで2時間のショーで上演されるセットリストとしてアルバム楽曲を作ろうとするのは悪くはない。ところが、そのコンセプトが最後になって崩れるところが、このアルバムの最も残念なところだ。すごくいい感じで10曲目の「High school days」まで来たのに流れが全く途切れてしまう。どういうことなのだろう。最後の5曲はアンコールということ?。
俺が考えたことは、このアルバムはいわゆるヲタ向けではないということ。もちろん、少しは考えているのだろうが、AKB48のことを知らない人に知ってほしいということが優先されているように思う。ところがそれならばもっと前半の楽曲に似合った過去の劇場公演曲から選ぶということをやってもよかったと思う。
まず「チームB推し」
これをこのアルバムに入れたことが最大の愚作。この曲は大好き。ヲタの間でも異常な盛り上がりをみせる。単調な楽曲を徐々に盛り上げていく武藤星児のアレンジはとても好きだ。しかし、これは「シアターの女神」のアンコール2曲目だからいいわけであって、このアルバムにいれる性質の楽曲ではない。これでは「恋愛サーカス」とかぶってしまう。この楽曲は今年のAKBセットリストベスト100で5位をとった曲ではあるが、このアルバムにいれる意味はなかったと思われる。ヲタだったら「シアターの女神」を購入すればいいだけだし、一般に向けてだったら付属のDVDで映像としていれたほうがよかった。この曲の上演シーンをみたら誰だって劇場に足を運びたくなるのだから。

「チャンスの順番」。これは最初に聴いたときから、なんと秋元康はメンバーのことを考えているプロデューサーなのかと感心した。一般の人からすれば16人の中で二人知っていれば十分といえるほどの下位メンバーに、こんな最高の楽曲を提供したからだ。もちろん楽曲にはたいした関心を持たないヲタには酷評されまくったが、わかる人がわかればいいという姿勢をとってくれたことが俺にはすごく嬉しかった。このアルバムに入れる価値はある。「少女たちよ」と同じ応援ソングでアルバムの雰囲気も崩さない。ただ最後はバラードの「ここにいたこと」を用意しているとなると、どこに配置すればいいかがかなり難しい。やはりラス前か。

「Beginner」
この曲はとってもダークでシャープだ。この曲こそが「冒険」ではないのか?。それをこのアルバムにいれてしまうことで、完全にそれまでの曲が「食われて」しまう。確かに初のミリオンセラーとなったのがこの楽曲だが、握手券があるからこそ売れたということを運営側は知っているのだろうし、純粋にこのアルバムは楽曲でAKBを魅せるというコンセプトでやってほしかった。
この楽曲は好きな部類に入るが、永遠にシングル楽曲としてベスト盤にも収録しないほうがかえってこの曲の価値を高める気がしているのだが。

「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」
この二曲は語るまでもない。AKB48の代表的楽曲だ。これもアルバムに収録する意味をほとんど感じない。付属のDVDにはこの2曲の振り付けDVDが特典でついている(観ていないが。観る気もしない)。それで十分ではないか?。もし、この2曲をこのアルバムにいれるのだったら、冒頭だったのではないか?。AKBのことを知らない人にもしってもらいたい、というのであれば最初に代表曲を聴かせ、そこから「この子たちはこういう楽曲も歌ってるんですよ」という感じの組み立ての方が効果的だったように思える。どうせヲタはどういう並びであっても気にはしないし、それ以上に食傷気味と思えるほど聴かされているのだから(握手会にいけば無限ループで流れている)。

「ここにいたこと」
これは「AKB48」全192人による壮大な楽曲。アレンジは樫原伸彦。「桜の花びらたち」「そばにいさせて」とこの手の楽曲のアレンジはお手のものだ。
余談になるが、CD2000円で経費を除いて1600円とする。歌唱印税が1%だから1枚CDが売れれば16円。全16曲なので、この曲だけだと1円。このCDが100万枚売れれば100万円。それを192人で割ると、一人頭5000円ちょっと。アルバムが100万枚売れて、SDNやNMBのメンバーは5000円をもらうだけとは、つくづく因果な商売だ。
さて、この楽曲は好きだけど、残念なのは4分ちょっとしかないこと。6分くらいの壮大な楽曲を期待していたのに。いや、本音をいえば10分くらいであってほしかった。コーラスもメンバーがやっているのだとしたら、はっきりとコーラスは180人、残りが歌う、という感じにしたほうが厚みも増したように思われる。
この楽曲をアルバム冒頭に持ってきても面白かった。そして、この曲の後にポニーテールとシュシュでもOvertakeでもカッコいいと思っているのだが、当然、最後は「少女たちよ」で締めくくる。こっちのほうがよっぽどAKBらしさが出るのでは?。ということで、早速並べ替えして聴いてみよう。



広く一般向けにリリースするのなら、本来ならばセットリストベスト100の上位30曲をCD化するということをやればいい。なぜそうしないのかの理由はわからないが、俺はそんなCDが出ても買おうとは思わない。楽曲の好き嫌い(善し悪し)をファンが決めているのではなく、たんに好きなメンバーが出ている歌だから、といった基準で選ばれた楽曲が大半を占めるようなアルバムなんて買う気がしない。多くのアーティストがあるライブのDVD盤を出すと同時にCD盤もリリースする。これがAKBにはない。一度だけ2008年の公演がCD化されただけだ。このライブCDが出せないところがAKB48の欠点だ。まぁ、だからこそ、俺はAKBの魅力は劇場にしかないと思っているのだが。


新しいチャレンジがこのアルバムからはじまったことは評価するが、もっとAKBのことを知らない人に知ってもらいたいという気持ちからか昨年の大ヒットソングを同時に収録したことで全体の印象がぼやけてしまった感じがつくずく残念だ。振り付けDVDとかそんなものをつけるのだったらシングル楽曲と劇場公演曲から集めたベスト盤と、メンバーの多くが少女から大人に変わっていくことと並行して新しいチャレンジをみせるAKBへ、というような2枚組アルバムにしてもよかったのではないかと思う。つくづく最後の5曲がいらなかった。全11曲でも十分AKB48の魅力が出せたアルバムだったのに、そこが惜しかった。それでも、どんな楽曲であってもかまわないと思っている一部のヲタの存在をわかっていながら、作り手のプライドを捨てず多くの楽しい楽曲を作っている制作者たちには頭が下がる。




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4 コメント

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Unknown (おっとっと)
2011-06-09 14:03:00
「風の行方」のサビまでの部分が「世界中の誰よりきっと」に似てるなぁ、と感じたために気になりました。

曲としてはOvertakeが好きですね。
歌詞は"実力"って何をもって実力とするの?とか色々疑問に思うので
個人的には好きではないですが・・・
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Unknown (荒巻豊志)
2011-06-09 14:25:57
おっとっとさん、こんにちは。
俺にとって歌詞は全くといっていいほど、その楽曲の評価に影響を与えないのです。そのあたりは今日の日記で。

WANDSですか?中山美穂ですか?。懐かしいです。歌メロは違いますが、コード進行は似てる気がします。
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Unknown (スープマン)
2011-06-17 20:03:37
確かにチームB推しはいらなかったですね。

代わりにTo be continueか誰かのためにを入れた方がよかったかな

振り付けDVDは劇場盤だけの特典にすればって感じ(笑)

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Unknown (荒巻豊志)
2011-06-17 20:36:41
スープマンさん、はじめまして。
To be continuedですか。それは歌詞からいっても面白いですね。でもKの曲なので全体曲としたほうがいいでしょうね。誰かのためにも同様です。
ただそうなるとラストの曲候補ばかりで、表題曲の「ここにいたこと」はお蔵入りになりそうですね(笑)。
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