美鈴の絵画館

美術、観光、育児、歴史、上野公園。

物語の癒し

2009-08-04 | 心象風景
 悩みの解決法はいろいろある。
人に聞いてもらうというのは一番いい方法かもしれない。
だけど、わたしは人に話してすっきりすることはない。

 以前、転勤で、住んでいた東京からひどく離れた市に住むことになり、
わたしはホームシックからひどく落ち込んで、1日中寝込んでしまい、何もできなくなった。精神科に行っても、あまり快方にむかわなかった。
 そんなうつ状態のある日、NHKの教育テレビから、物語が聞こえてきた。
カレーが出てくる話だった。語り手のうまさか、物語の良さか、とにかくわたしはその物語に心を癒されて、その日からすこしずつ立ち直っていけるようになった。

 わたしの場合には、こんなふうに、精神的にまいってしまったときに、物語を聞くことによって癒されてきている。

パールのような雨粒

2009-07-23 | 心象風景
朝 まだ暗いうちに
パールのような雨粒が池に落ちてきた 幾つも、幾つも
濁った水面の落ち葉を洗い
眠っていた魚たちを起こし
つまらない一日の始まりをひっくり返していた


こどものとき

2009-07-19 | 心象風景
こどものときには、
裏庭が、秘密の花園だった
姉は王子様、自分はお姫様
借家の平屋建ては、お姫様の住むお城で
その押し入れは、寝室だった

時間を忘れてレンゲの冠を作り
年長の姉はそれを写真に残してくれた

どんなに好きな人が死んでも
その人は雲のすき間から漏れる光をのぼって天国に行くと信じれたし

どんなこともできる力を持っているなんて
本当に思うことができていた

A先生に捧ぐ

2009-07-18 | 心象風景
横浜の緑深いキャンパスで
あの先生からワーズワースの詩を習った
それは水仙が出てくる詩

詩人の言葉を解説する、先生のやわらかい言葉のひとつひとつが
18の私の心にずきずきと響いて
詩の言葉のきらめきと美しさはもうどうしようもないほど
わたしにとって無くてはならないものになっていった

先生とのやりとりが途絶えたのは3年後
先生の病死を知ったのが、去年

もう先生の頭脳にあったロマン派の大きな世界に対する思いの手触りが
先生とふれあった人々の記憶のなかにしかないということに、
わたしはまだ当惑したままでいる





眠るときのイメージ

2008-09-07 | 心象風景
 身を横たえると、いつも頭に浮かぶイメージがある。
それは、自分が湖で水上スキーしている姿だ。
日ごろ、雑草の中を這い回るトカゲのように、狭い部屋で育児と家事を同時進行させている。すべての用事は「赤ちゃんが起きる前に」「赤ちゃんが泣きだす前に」「長女が帰る前に」しておかなきゃ!という制約に追われているから、それが強迫観念のようになっている。
 だから、眠る前に、”制約”を何も気にしないでいい状態になると、自動的にとても快適で自由な自分のイメージが頭に浮かんでくるのかもしれない。
 今日も布団の中の私は、広広とした青色の湖面の上を、水しぶきをあげながら滑走した。