東海地震に対する意識を高めるブログ

東海地震への防災・減災意識を高めるため東海・東南海・神奈川周辺で発生したM3以上の有感地震を眺めるシンプルなブログです。

今週のまとめ - 『東海地域の週間地震活動概況(No.13)』など

2012年03月30日 | 今週のまとめ
     


東海地域でここ1週間に発生した地震をまとめた『東海地域の週間地震活動概況(No.13)』が、
30日、気象庁から発表されました。

3月23日~29日の間に、東海地域で「特に目立った活動はなかった」とのことです。
具体的には、次のように述べられています(※抜粋。下線、太字は管理人)。


1 静岡県西部(領域a)における地震活動について

「・ 静岡県西部の地殻内(領域a)では、昨年11月下旬から地震活動がやや活発となっているが、今期間(3月23日~3月29日)は活動が低調であった。」(上図参照 - 概況より)


2 愛知県西部における地震について

「・ 23日17時32分に愛知県西部の深さ38kmでM3.2の地震(最大震度1)が発生した。この地震の発震機構は東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。」


3 愛知県で観測された「深部低周波地震活動」(領域b)とひずみ変化(「短期的ゆっくりすべり」)について

今週の概況では、とくに、愛知県で観測された「深部低周波地震活動」とひずみ変化(「短期的ゆっくりすべり」)について、詳しい説明がなされています。

「24日以降、愛知県(領域b)で深部低周波地震が観測されている。また、深部低周波地震活動に同期して、東海地方に設置されているひずみ計に、プレート境界における「短期的ゆっくりすべり」に起因するものと考えられる変化が観測されている。」(上図領域bおよび下図参照 - 概況より)

     

深部低周波地震(微動)」とは、深さ約30~40kmで発生する、低周波の波が卓越する地震です。規模が小さく、人が揺れを感じることはありません。

短期的ゆっくりすべり(短期的スロースリップ)」とは、数日から1週間程度の期間をかけてプレート境界がゆっくりとすべる現象です。東海地域で起こる「短期的ゆっくりすべり」は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界がゆっくりとすべって起こります。

このような「深部低周波地震」と「短期的ゆっくりすべり」ですが、「深部低周波地震」が観測されるとき、しばしば、それとほぼ同時にかつ同地域で「短期的ゆっくりすべり」が観測されるという関係にあります。

そして、重要なポイントは、万一、この「短期的ゆっくりすべり」(の候補領域)が東海地震の想定震源域内で観測された場合は、それが東海地震に繋がる「前兆すべり」となる可能性がある、ということです(下図参照 - 概況より)。→[追記]

ですから、気象庁は、東海地域において「短期的ゆっくりすべり」(の候補領域)や「深部低周波地震」の発生場所などを注意深く観測しているわけです。


今回の「短期的ゆっくりすべり」(の候補領域)は、東海地震の想定震源域から離れた場所で起きており、現在のところ、それが東海地震の「前兆すべり」となる兆候は認められないことなどから、今週の概況では、東海地域に「特に目立った活動はなかった」という発表になったものと思われます。

     


全文は、気象庁HP 「東海地域の週間地震活動概況」 にPDF形式で掲載されています。

[追記] 判定会会長 平田直・東大地震研究所教授の話 (NHK「東海地震判定会 地震に結びつく変化の観測なし」(2017-04-24)より抜粋)

『ゆっくりすべり』が想定震源域内やプレート境界の浅い場所で起きるようになると、大きな地震に結びつく『前兆すべり』の可能性が高くなるので、『ゆっくりすべり』が起きている場所を今後も注意深く監視する必要がある。」
 






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