yukasolo

日常と非日常の狭間は自由な妄想の瞬間
あなたのココロの扉をそっと開けて滑り込ませよう・・
短編小説のような音世界を―

或る風景

2016年10月07日 | 日記

夕暮れ まばらな 車両の片隅
ぼんやり窓の外 買い物かごの井戸端会議
仔犬に引っ張られて ころんで泣く子となだめる老婆
自転車を傍らにとめ 自販機の前に立つ少年
大きな鞄を持って 肩を落として歩くスーツ姿


汚れた手ぬぐいを外して 腰を叩き空を仰ぐ農夫
あぜ道 二人乗りしてはしゃぐ ミニースカート揺らす女子高生
しわくちゃの地図を見ながら道を尋ねる青い目の人
僕はと云えばもう何も感じないで こうしてぼんやり眺めている


トンネル 窓の外 突然暗くなって つく明かり
さっきまで眠っていた 赤ん坊が少しぐずり出す
隣から漏れ聞こえてる ヘッドホーンのシンバルがまた上がる
歪んだネクタイピンが 新聞を左へずらして睨む


トンネルの先の林に立つ その看板 流れてゆく
最後まで読み切れず 身を乗り出す乗客たち そして 僕。
そこに書かれた言葉を知った人たちは みんな涙流して
明日を生きる糧 人が生まれた意味を 深く深く 考えるというけど
僕はと云えばもう何も感じないで こうしてぼんやり眺めている...

夕暮れ まばらな 車両の片隅で


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