プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

広がる放射能海洋汚染

2011年03月31日 | 日記
 放射能による深刻な海洋汚染が広がっているようです。『朝日新聞』によると福島第1原発の1~4号機の放水口から南に約330メートルの地点で採取された海水から、基準の3、355倍のヨウ素131が、5、6号機の放水口から約30メートルの地点でも、1、263倍のヨウ素が検出されています。

 またセシウムについても、セシウム134が基準の520倍、セシウム137が352倍という高濃度で検出されており、原子炉から漏れ出した放射性物質が、残念ながら原発敷地内からも漏れているようです。これまで、東電及び政府、そして学者たちが喧伝し続けてきた、鉄壁のはずの「5重の防護壁(システム)」は、今や完全に崩れてしまっていることを証明しています。これだけの海洋放射能汚染を引き起こしても、依然、海洋で希釈されるので大丈夫、といった嘘をつき続けている東電や日本政府からは、その深刻さは伝わってきません。

ご存知のように、植物に蓄積された放射能(性物質)は、動物の食物連鎖(フード・チェーン)の過程で高濃度に濃縮されていきます。事故後、放射性物質の降り積もった藁を食べた牛の原乳から、この濃度のヨウ素やセシウムが検出されたのは1回限りの食物連鎖ですが、海洋ではその「フード・チェーン」が、今後限りなく行われていくのです。(時間が経てば経つほど、その濃縮率は高まります)

「こうした自然界の動植物の相互依存関係を通じて、放射能濃度が何千倍、何万倍、場合によってはもっと高い倍率で濃縮されることがある」、「ハンフォード原子力工場(アメリカ)は、近くのコロンビア川に亜鉛65を含む放射性廃棄物を放流」、「560キロも下流の河口からさらに50キロ近く離れたウィラパ湾でとれるカキを常食していた労働者に、たいへん高い濃度の亜鉛65が検出され」た、「このとき、海水中の亜鉛65は分析にかからないほど低いレベルだったのに、カキはこの放射性各種を10万~100万倍にも濃縮して」(安斉育朗著『放射能そこが知りたい』)いたのです。

「フード・チェーン」の行き着く先は、その頂点に立つ「人間」であることを忘れてはいけません。濃縮された食物を摂取し続け、やがて脳腫瘍や癌を発症しても、薄まった海水からは殆ど検出されることはなく、因果関係を証明することはまず不可能なのです。一旦薄まった放射能は、必ずそれ以上の危険な濃度で戻ってくるのです。「薄まるから大丈夫」というのは、明らかな嘘であり、責任を逃れるための詭弁です。

 その高濃度に汚染された水が、原発内には何千トンとあるようです。これをどう処理していくのか、どのようにして漏出を止めるのか、非常に困難な課題であると言わざるを得ません・・・

P.S. これまでも実は、日本中の原発において、原子炉を冷やすために必要な冷却水として使用された大量の海水が、温排水として何十年も海へ捨てられ続けてきたのです。いくら微量でも、自然界の「フード・チェーン」システムで濃縮されれば同じことなのです。海洋への流出は、吸えばすぐに内部被曝する大気への飛散より危機感を感じにくいですが、実は「濃縮」という過程を考えれば、呼吸による放射性物質の内部被曝より、もっと恐ろしい結果をもたらすのだということを認識すべきではないでしょうか・・・

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