プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

戸別補償制度の是非

2010年09月05日 | 日記
 9月5日付け『朝日新聞』に、戸別補償制度に関する記事が掲載されています。私自身も小規模ながら農業を、米作をしていますので、農業の現実と同制度の感想を書かせて頂きます。(以下、「」は同記事の抜粋、引用です)

 本年度から導入される「戸別補償制度」は、「生産調整(減反)に参加するコメ農家に、10アールあたり1万5千円を一律に払う制度」です。また、主食米以外の野菜や飼料用或は米粉用の米に転作すると、「1ヘクタールあたり20万円の転作補助金」が出ます。さらに、「その年の米価が過去3年の平均価格を下回れば差額分が追加で支給される」制度です。

 「大規模農家では補償額は数百万円単位になる。余裕が出れば経営体質を強化するための投資に使える」とありますが、小規模農家(統計では1ヘクタール以下の農家が過半数です)では、赤字のところが多く、その「赤字穴埋めがやっと」というのが現状のようです。

 私自身の場合は、中古の機械を購入し、壊れるまで使うという方針で、それでなんとか米作はギリギリ(楽観的に観てですが)プラスマイナスゼロ、勿論人件費(労働への対価)は無しとしての計算ですので、働いて収入ゼロというのは数字上は赤字ですが、土地が生き、自分自身で作った米が食べることが出来、家族や友人が美味しいと言ってくれることは、お金には換えがたいもので、その喜びは、十二分に農を営むことに対する対価となっています。

 でもまあ、数字に出せば赤字、それも私のように極力機械代に掛かる経費を抑え、中古の能率の悪い機械で、人の何倍も時間を掛けて作業をするようにして、なんとかトントンなのですが、私の地域のどの農家の方を見てみても、明らかな赤字で、買って食べた方が安い、というのが現実なのです。大抵は兼業農家の方で、その主の職業からの収入で赤字の補填をするというのが現状です。

 働いて、気を揉んで、それで赤字、会社で苦労して働いた収入を年に何十万も赤字補填するなんて、馬鹿らしいことをすると、非農家の方は思われるかもしれませんが、こうした農家がいたから、辛うじてこの日本の農業は支えられてきたのです。

 今やその農家の方も高齢化し、年金暮らしとなり、年金まで突っ込みながら農業をする方は、段々少なくなってきています。体力的にもより難しくなっていますから、後継者(働いてお金を払う仕事に付く人はいないでしょう)はおらず、今農業をやっている私より年配の方が止めてしまえば、この国のいわゆる農は、なくなってしまうかも知れません。

 勿論、今回の制度によって、大規模な農家(最近は企業が段々と参入してきていますが)はそのメリットを受けるでしょうが、多くの小規模農家は、赤字が少しだけ減るということで、現状が先細りであるということはなんら変わりません。
 私も同制度に申請しましたが、私の場合は3反4畝(34アール)ほどの作付け面積なので、直接補償が認められれば、約5万円頂くことになります。(肥料代ぐらいは出ると思いますが)

 民主党の今回の政策が、バラマキに過ぎないとの批判は否めませんが、山田農水省が、「欧州連合(EU)では農家所得の8割、米国では3割を直接国が補償する制度が当たり前になっている。・・・農水省の事業の無駄をチェックして、いらない事業をやめる。財源をできるだけ戸別補償制度に集める・・・コメ作りは恒常的に赤字。これを安定的に作ってもらえるよう補償する。環境保全などに対するコストという面もあります」とコメントしているように、無駄を削って必要な所にお金を入れる、それで日本の農業を、環境を守るというのであれば、その意義があるかとは思いますが、正直、貴重な税金を頂いても、今後農を存続してやっていけるかどうかは、分かりません。

 ちなみに、「今年度予算は5600億円余り。来年度は畑作物や漁業にも拡大する方針で総額9717億円を予算要求している」とのこと、この財源をどうするのか、この財源不足、財政赤字のなか、恒久的な第一次産業への支援策となるのかどうかは、非常に疑義があるところです。

 財源の問題も含めて、日本の農業、或は第一次産業をどうするのかを真剣に考えなければ、今後さらに経済的に衰退し、失業率が増大、貧困層が拡大していく中で、また現在のように外国から食糧を輸入できなくなる状況が予想されるなかで、日本は厳しい食糧問題に直面することになるのではないでしょうか。まさに、農の問題は、環境をも含めた食料安全保障の問題として取り組むべき課題だと思うのですが・・・

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