プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

英国原子力廃止措置機関(NDA)とMOX燃料製造契約

2010年05月16日 | 日記

新聞等の報道では、5月13日、青森県六ヶ所村での使用済み核燃料の中間貯蔵施設とMOX燃料加工工場への事業許可が経済産業省から出されました。これで、中間貯蔵から再処理、燃料加工まで、一連の行程が当地で行われるという形だけは一応整うことになりますが、現実には「もんじゅ」も含めて余りにも課題があり過ぎて、こうした核燃料サイクルの実現は、夢のまた夢のように思われます。

そうした「夢」の現実に即してか同日、電力会社10社(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力および日本原子力発電)は、既にイギリスにおいて再処理済みのプルトニウムを、英国原子力廃止措置機関(NDA)所有のセラフィールドMOX工場で、保管してある約14トンのプルトニウムからMOX燃料を製造する契約を締結しました。

この、日本の電力会社の使用済み燃料から再処理されたプルトニウムは、1999年のBNFL(イギリス核燃料会社)のデータの捏造後、MOX燃料に加工されないままイギリスに留めおかれていたものです。

 当初の計画に反して、燃料棒製造段階でのトラブルで処理能力の低下した、セラフィールド工場の回復工事の費用を日本の電力会社10社で一部負担の上、将来MOX燃料を製造する契約なのだそうですが、契約総額や負担割合などの詳細は「商業上の機密のため非公開」ということです。しかし、こうした情報の何が「商業上の機密」となりうるのか、甚だしい疑問を感じます。(公開しない、できない事情があるのでしょう)

NDAは「2004年に可決されたエネルギー法に基づき2005年4月1日に設立され」、BNFLの施設を移譲された機関であり、「廃炉コストの最小化に集中する自由をBNFLに与えるために、BNFLの核施設を既に管理して」おり、「経営が行き詰ったイギリス核燃料公社の債務を引き受け、稼働を終えた原子力発電所の解体と使用済み核燃料の処理を管理」しています。(「ウィキペディア」より)

 それにしても、何故フランスではなく、イギリスのNDAにMOX燃料の製造を依頼したのでしょうか。BNFLによるデータ捏造後、BFNLが受注したMOX燃料は、実際のところフランスのコジェマ社が製造していたとも言われていますから、何故今回はイギリスの、NDAにMOX燃料製造を発注したのでしょうか?(勿論、イギリスからフランスへ移動するとなると、そのコストや安全面が課題となりますが)

「(製造実績のある)フランスでMOX燃料を製造するのとコスト面で遜色ないと判断した」(朝日新聞)とのことですが、コジェマ社メロックス社製のMOX燃料への風当たりを緩和し、批判の矛先を変えるための目くらまし?なのでしょうか。それとも、これまで言われてきたように、イギリスのNDA(旧BFNL)が、最もMOX燃料を製造する技術が高いからなのでしょうか。(それでも、データを捏造しなければならないほどの技術力だったということですが・・・)

 また、関電が昨年フランス、コジェマ社メロックス工場のMOX燃料を廃棄しましたが、そのことと今回のイギリス、NDAへの発注、何か関連があるのでは?などと様々に憶測をめぐらせてしまう今回のMOX燃料製造契約劇でした。

*NDA : 2005年設立、英国エネルギー・気候変動省(DECC)傘下の外郭団体で、原子燃料の再処理、MOX燃料製造、英国民生用原子力サイトの廃止措置及びクリーンナップ等を主な事業としています(四電のHPより)


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