一応、予防接種についての最終回です♪
何故子犬、子猫の時に数週間おきに何度も同じワクチンを打つのかについてですね。
これに関してはここオーストラリアでもきちんと理解されてない場合が多く、
1回は打つけど2回は打たないとか、2回は打ったんだから3回もいらないでしょ?とか
何故複数回にわたって打たないといけないのかが理解されていません。
これには赤ん坊の頃だけ特殊な理由があるんですね。
ここオーストラリアでは子犬に関してはコアワクチン
(犬ディステンパー、犬アデノウイルス2型、犬パルボウイルス)
を1回目(6~8週)、2回目(12~14週)、3回目(16週~18週)に打つのが一般的です。
2回目、3回目にはパラインフルエンザとレプトスピラ症を加える事もあります。
この辺がよくわからないのですが、オーストラリアでは犬アデノウイルス2型のワクチンで
犬アデノウイルス1型(伝染性肝炎)を防げるとされています。
ですから、1型は含まれていないのです。
2型のほうがワクチンとして安全なので。
かわって子猫に関してはコアワクチン
(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫伝染性腸炎)
を1回目(6~8週)、2回目(10~12週)、3回目(14週~16週)に打つのが一般的です。
2回目、3回目にはクラミジアと猫白血病ウイルスを加える事もあります。
このコアワクチンに入っている犬ディステンパーなどは一回で約7年にも渡る免疫が得られると
前に説明しましたが、それならば何故こんな短期間に連続して打つんでしょう?
理由はお母さんから初乳を通して貰ってきた免疫が関係しています。
人間の場合、胎盤が他の動物よりも優れていますから胎盤を通しても免疫が母から子へ渡されるのですが
他の動物はまず殆どの免疫の受け渡しを初乳に頼っています。
赤ちゃんというのはどの動物にしろ一番無防備な時期ですし免疫システムがまだちゃんと出来ていません。
その一番危険な時期をお母さんからもらった免疫で凌ぐのです。
実際の所、産まれてから1日以内に初乳を十分飲めなかった赤ちゃんは
動物の世界ではほぼ死を意味します。
生き長らえたとしても弱く長生きはできないでしょう。
その大事な初乳からもらった免疫ですが子犬、子猫の場合6~16週間で消えてしまいます。
つまり、それ以後は自分自身が免疫をつけて頑張っていかなければいけません。
実際、この母親からもらった免疫が消えてしまう頃というのは
初乳をちゃんと飲んだ場合においては一番危険な時期です。
ですから、この時期に予防接種をするんですね。
ただ複雑なのは母親からもらった免疫は病気を防いでくれるのですが、
同時に予防接種の効果も無くしてしまいます。
どうしてなんでしょう?
以前、免疫の話の時に免疫システムをお城を守っている兵隊さんに例えました。
普段100人の所、30人のピストルを持った悪者(ワクチン)が攻めてきたら仲間を呼んで
1000人体制にしましたとかそういう話をしましたね。
同じ例えで考えると、赤ちゃんの頃は今回は20人とかしかいません。
増員もあまりできません。
まだちゃんと免疫システムができてないからですね。
今、病原体が攻めてきたらやられてしまいます。
しかし、お母さんの初乳からもらった援護部隊が500人いたらどうでしょう?
その援護部隊がやっつけてくれますね♪
これで病気をやっつけられます。
でも、ワクチンを打っても結局ワクチンも体にとっては悪者ですから
応援部隊がやっつけてしまいます。
それでは自分の本部隊の経験値は全く上がりませんね。
見たことないのと同じです。
つまり、お母さんからもらった免疫(応援部隊)がいなくなるぐらいでないと
自分の免疫(本部隊)がワクチンに対して反応できないのです。
ただ困った事にもらった免疫が消えてしまうのは危機的な状況ですから、
自分の免疫もできる限り直ぐに作らなければいけません。
と言うわけでこのもらった免疫が消える6~16週間付近で2回から3回ワクチンを打つのです。
もらった免疫が消える速さと言うのはもらった量の差によって個人差が出ますし、
コアワクチンに入っているそれぞれの病原体に対する免疫に関しても
それぞれ消える速さが違います。
つまり、1回目6~8週目に打つ時はもらった免疫がかなり早く切れてしまった場合の為です。
ですから、実は1回目の予防接種は多くの場合免疫をもたらしません。
2回目12週あたりになると多くはもらった免疫が切れてきてますから、
予防接種の効果も出て免疫をもたらす場合が多いです。
ただし、全員ではありません。
3回目16週には全員がもらった免疫を失っていると考えられますので、
予防接種は全員に免疫をもたらします。
と言うわけで、どれかしか選べないならば実は3回目が一番大事なのです。
1回目、2回目というのはこの一番危険な6~16週間という時期に
母親からもらった免疫なのか自分が得た免疫なのか、どちらにせよ免疫を持っている
という状況を作るためのものなんですね。
そして3回目で確実に免疫を持たせます。
これは例えば予防接種の回数を減らす代わりに危ないから外へはその間出さないなどという事もできます。
しかし、この時期というのは子犬子猫にとって社会を学ぶという
その後の性格形成に大きな影響を及ぼす時期です。
ですから、基本的には予防接種をお勧めしているのですね。
これで一応、予防接種についての一連の記事を終わろうと思います。
できるだけわかりやすく簡単に書いたつもりなのですが、長文になってしまいました。
全て読んでくださった方、有難うございました。
よろしければ、今後の参考のためご意見やご感想をお聞かせ下さい。
今週からはまた学校の話に戻ります。
何故子犬、子猫の時に数週間おきに何度も同じワクチンを打つのかについてですね。
これに関してはここオーストラリアでもきちんと理解されてない場合が多く、
1回は打つけど2回は打たないとか、2回は打ったんだから3回もいらないでしょ?とか
何故複数回にわたって打たないといけないのかが理解されていません。
これには赤ん坊の頃だけ特殊な理由があるんですね。
ここオーストラリアでは子犬に関してはコアワクチン
(犬ディステンパー、犬アデノウイルス2型、犬パルボウイルス)
を1回目(6~8週)、2回目(12~14週)、3回目(16週~18週)に打つのが一般的です。
2回目、3回目にはパラインフルエンザとレプトスピラ症を加える事もあります。
この辺がよくわからないのですが、オーストラリアでは犬アデノウイルス2型のワクチンで
犬アデノウイルス1型(伝染性肝炎)を防げるとされています。
ですから、1型は含まれていないのです。
2型のほうがワクチンとして安全なので。
かわって子猫に関してはコアワクチン
(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫伝染性腸炎)
を1回目(6~8週)、2回目(10~12週)、3回目(14週~16週)に打つのが一般的です。
2回目、3回目にはクラミジアと猫白血病ウイルスを加える事もあります。
このコアワクチンに入っている犬ディステンパーなどは一回で約7年にも渡る免疫が得られると
前に説明しましたが、それならば何故こんな短期間に連続して打つんでしょう?
理由はお母さんから初乳を通して貰ってきた免疫が関係しています。
人間の場合、胎盤が他の動物よりも優れていますから胎盤を通しても免疫が母から子へ渡されるのですが
他の動物はまず殆どの免疫の受け渡しを初乳に頼っています。
赤ちゃんというのはどの動物にしろ一番無防備な時期ですし免疫システムがまだちゃんと出来ていません。
その一番危険な時期をお母さんからもらった免疫で凌ぐのです。
実際の所、産まれてから1日以内に初乳を十分飲めなかった赤ちゃんは
動物の世界ではほぼ死を意味します。
生き長らえたとしても弱く長生きはできないでしょう。
その大事な初乳からもらった免疫ですが子犬、子猫の場合6~16週間で消えてしまいます。
つまり、それ以後は自分自身が免疫をつけて頑張っていかなければいけません。
実際、この母親からもらった免疫が消えてしまう頃というのは
初乳をちゃんと飲んだ場合においては一番危険な時期です。
ですから、この時期に予防接種をするんですね。
ただ複雑なのは母親からもらった免疫は病気を防いでくれるのですが、
同時に予防接種の効果も無くしてしまいます。
どうしてなんでしょう?
以前、免疫の話の時に免疫システムをお城を守っている兵隊さんに例えました。
普段100人の所、30人のピストルを持った悪者(ワクチン)が攻めてきたら仲間を呼んで
1000人体制にしましたとかそういう話をしましたね。
同じ例えで考えると、赤ちゃんの頃は今回は20人とかしかいません。
増員もあまりできません。
まだちゃんと免疫システムができてないからですね。
今、病原体が攻めてきたらやられてしまいます。
しかし、お母さんの初乳からもらった援護部隊が500人いたらどうでしょう?
その援護部隊がやっつけてくれますね♪
これで病気をやっつけられます。
でも、ワクチンを打っても結局ワクチンも体にとっては悪者ですから
応援部隊がやっつけてしまいます。
それでは自分の本部隊の経験値は全く上がりませんね。
見たことないのと同じです。
つまり、お母さんからもらった免疫(応援部隊)がいなくなるぐらいでないと
自分の免疫(本部隊)がワクチンに対して反応できないのです。
ただ困った事にもらった免疫が消えてしまうのは危機的な状況ですから、
自分の免疫もできる限り直ぐに作らなければいけません。
と言うわけでこのもらった免疫が消える6~16週間付近で2回から3回ワクチンを打つのです。
もらった免疫が消える速さと言うのはもらった量の差によって個人差が出ますし、
コアワクチンに入っているそれぞれの病原体に対する免疫に関しても
それぞれ消える速さが違います。
つまり、1回目6~8週目に打つ時はもらった免疫がかなり早く切れてしまった場合の為です。
ですから、実は1回目の予防接種は多くの場合免疫をもたらしません。
2回目12週あたりになると多くはもらった免疫が切れてきてますから、
予防接種の効果も出て免疫をもたらす場合が多いです。
ただし、全員ではありません。
3回目16週には全員がもらった免疫を失っていると考えられますので、
予防接種は全員に免疫をもたらします。
と言うわけで、どれかしか選べないならば実は3回目が一番大事なのです。
1回目、2回目というのはこの一番危険な6~16週間という時期に
母親からもらった免疫なのか自分が得た免疫なのか、どちらにせよ免疫を持っている
という状況を作るためのものなんですね。
そして3回目で確実に免疫を持たせます。
これは例えば予防接種の回数を減らす代わりに危ないから外へはその間出さないなどという事もできます。
しかし、この時期というのは子犬子猫にとって社会を学ぶという
その後の性格形成に大きな影響を及ぼす時期です。
ですから、基本的には予防接種をお勧めしているのですね。
これで一応、予防接種についての一連の記事を終わろうと思います。
できるだけわかりやすく簡単に書いたつもりなのですが、長文になってしまいました。
全て読んでくださった方、有難うございました。
よろしければ、今後の参考のためご意見やご感想をお聞かせ下さい。
今週からはまた学校の話に戻ります。