あんな激しい戦い、何もかも見透かすような父の言葉。
大概苛々が募るし、謎が多すぎる。今ならいつでも死ねる気がする。
箸を置き、澪を手に取り、フェルウも連れて部屋へ向かった。
フェルウはまだ飯の途中で、不満の残る表情ではあったが、今と成っちゃそんなことは二の次だ。
「もういい、率直に聞くが、お前は何に狙われてる!?」ベッドに叩き付けて問うが、フェルウは冷静を装ってるかはたまた実際に驚くことでもないのか、ポーカーフェイスで首を振った。
「本当に何も知らないの!私は・・ただ・・・」目に涙を溜めて答えられ、やっと冷静を取り戻した。
まるで鬼のように角でも生えていたかのような錯覚に陥るほど切羽詰っていて、こんな事してしまった・・・と素直に謝った。ベットの下の地べた、手のひらと共に頭をつけ、自分に出来る最高の謝罪だった。
「DVもそんな感じなんだって・・・殴るだけ殴って涙とか、表情とか・・・やっと罪悪感を感じて・・・馬鹿らしいよ。私は、護って貰ったお礼に三度バッグになる位出来る・・・謝らなくていいよ。」
大人だ。俺なんかより何千倍も何万倍も大人で・・・心配になった。
全く可愛げが無い。彼女はきっと他人よりも多くの苦痛を味わって来たに違いない。そんな環境が彼女を変えてしまった。
「おいおいおいおい・・・grandma(※1)?どういう頭してんだ?もっと普通の感性で話せよ、ココでは俺を怒鳴り散らすとか、お前このままじゃ成人する前にwrinkle(※2)で顔が埋め尽くされちまうぜ?」
「・・・普通の感性で話す?・・・・・・馬鹿言わないで!私は貴方みたいに良い環境で育ってないの。毎晩毎晩犬みたいに鳴かされて涙を流せばいっそう酷く鞭が撓る音を私の体で奏でて、終いには血まみれになっても尚死ぬことは許されず・・・毎日夕方になるとウチから出稼ぎに出て・・・帰ってくると泣きながら謝ってくる親。有難う・・有難うって。
私が求めるのはこの苦痛から開放されること・・夜が怖くて嘔吐する日もたくさんあった。
分る?こんな暖かい場所で育った貴方に私の苦痛が・・・」
あり得ない。こんなこと・・・・偽善じゃなくて、本気で人を護ろうと思った。
何もかも悟った今でも逃げる気はない。
その日の内に俺は家を出た。
全て・・・・そう、全て片付け、帰る場所も、迎えてくれる人も、全ては澪、コイツのみで、これが、俺の本気の覚悟の表し方だから。
to be continue…
ごめんなさいね、一日で二つも更新して(汗
まぁいつもの講座で~
※1:おばさん
※2:しわ