自閉症と診断され、小学校へ入学すると
「この子は将来も読み書きすらできないでしょう」
と先生に宣告されてしまったジェイク。
著者は彼の母親であるクリスティン・バーネットだ。
ジェイクはたしかに、親とさえ目が合わせられなかったし
言葉もほとんど喋らなかった。
保育園でも学校でも、他の子と同じ事が出来なかった。
一方でジェイクは、数字や天文などに関して幼児の頃から
素晴らしい記憶力を発揮していた。
けれどもこの社会では、「みんなと同じように
できること」が第一。
そうでなければ、ただの落ちこぼれとみなされる。
悩みに悩んだ末、クリスティンは学校を辞めさせ、
なんとジェイクに大学の講座を受けさせる。
ジェイクは小学校低学年で、数学、天文学、物理などで
大学生と同程度の能力を持っていたからだ。
(もちろん小学校では、そんな能力など無視された)
自分の学びたいことを学べるようになったジェイクは
やがて他のことも出来るようになり、12歳にして大学入学を許可される。
さらに、世界の名だたる学者でも解けなかった数式を解いてみせ
世界最年少の物理学者として知られるようになる。
そこに至るまでの、家族の苦悩、襲いかかる試練の数々、
それを乗り越えた家族の愛と絆がじっくりと描かれている。
個性とは、社会とは、勇気とは、人として大切なものはなにか。
あらためて、それを考えずにはいられなかった。
ヒューマン・ドキュメンタリーなのに、妙な言い方だが
サスペンスに満ちていて、読み始めると止まらない。
こういう本に、うんと若い頃巡り会いたかったなあ……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/04/37cc450246b0f9b58ca57637c97287cd.jpg)
「イモムシ」(文一総合出版)
タイトルと表紙の写真だけで、拒否反応を
示す人も多いだろう。
けれども、偏見や先入観をいったん脇へ置き
もう一度、表紙を見直して欲しい。
なんとも愛らしい顔、美しい造詣ではないか。
昔、私の周囲には「虫屋」さんがたくさんいた。
その影響で、私も蝶の幼虫を何度か室内で飼い
羽化させたことがある。
人間の「変態」は困ったものだが、虫の「変態」は
じつに神秘的で美しい。
そりゃまあ、触るとたいへんなことになる
イガイガ毛虫もいるが、それもまた、学んでおくにこしたことはない。
それに、知っていると周囲の子供に自慢できるしね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/68/9b489c0961e7ca165ce9f22337215b7a.jpg)