横浜映画サークル

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メンバーが選ぶ2017年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(1/2)

2018-01-11 15:41:44 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

メンバーからメールで頂いた2017年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品は次の通りです。作品西暦は日本公開年度です。メンバーが2017年後半に観たもので公開年度や劇場で観たかに拘っていません。TVやレンタルDVDなどを含めて選んでいます。

Uさん

1)『ブレードランナー2049』(2017米国、監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ 原題:Blade Runner 2049)

この作品の前作にあたる『ブレードランナー』はハリソン・フォード主演で1982年にアメリカで公開されました。作品はSFでありながら人間とは何か強烈に考えさせるものであり、SFの名作と言って良い出来でした。そのため、この続編も期待して観ました。前作を観てないとわかりにくい場面も多いので、まず前作について感想を記載します。

 前作では、ハリソン・フォード演じるデッカードは、植民地惑星から地球に逃げ帰ったレプリカントと呼ばれる人造人間を抹殺する専任捜査官です。映画の場面のほとんどが酸性雨の降りしきる2019年のロサンゼルスで、全体が暗い場面にやたら漢字の看板が出てくる光景はちょっと異様な雰囲気でした。レプリカントはほとんどが植民地惑星で働かされているのですが、特別に、レプリカントの創作者であるタイレル博士の女性助手としてレプリカントのレイチェルがいました。デッカードはレプリカントとの戦いの中で、他の仲間とは違うレプリカントであるレイチェルに助けてもらい、彼女に惹かれていくのでした。レイチェルは追われる身となるのですが、デッカードは彼女を連れて逃亡生活を選ぶのでした、

 逃走していたレプリカントは自分たちが4年の命しか与えられていないことを知り、もっと生きたいという願望を持って創作者に接触するために来たのでした。この逃走は、観ている我々にも余命数年と告げられた時に何をするのかという命題を投げかけるものでもありました。レプリカントのリーダーであるバッティがデッカーを追い詰めた後に、自身の寿命を知り、自分を抹殺しようとしたデッカードを救い上げ自分は命を全うする場面がありましたが、これは考えさせられるものでした。

 『ブレードランナー2049』はさらに地球汚染が進行した同じロスアンゼルスが舞台であり、場面は前作ほどの暗い憂鬱さはありません。市街地全体が海面上昇から守られる巨大な防波堤に囲まれ、夏でも雪の降るというところです。前作のレプリカントは一度創作中止となったものの、旧型より人間に従順(人間性に目覚めない)な新型であるネクサス9型のレプリカントが再度製造されています。この新型レプリカントであるK(ライアン・ゴズリング)はブレードランナーとして旧型のレプリカントの抹殺を使命としているのです。

 Kは逃亡して身を隠していた旧型のレプリカントを抹殺した後に、他の旧型の女性レプリカントが人間との間で子供を産んでいたことを突き止めるのでした。女性レプリカントは前作のレイチェルであり男親はデッカードであることが判明し、Kはデッカードとその子供探しを始めるのです。その後、ブレードランナーK自身がその子供ではないかという疑念を抱くなど、話は混み合っていきます。しかし、最後に見つけた子供は汚れのない、そして汚れてはいけない存在であることを知り、Kはデッカードをその場所へ連れて行くのでした。

 1作に比べて、ストーリーが多少わかりにくく、もの足りなさを感じましたが、この映画も人間に「近い」人造物について考えさせられる映画でした。1作から30年以上たち、人工知能や遺伝子操作などの技術は格段に進歩していますが、前作『ブレードランナー』と『ブレードランナー2049』はともに人間の存在について深く考え続けさせる映画であることを認識させられました。

 (下の画像左はブレードランナーのK役のライアン・ゴズリング。右は元ブレードランナーのデッカード役のハリソン・フォード。ライアン・ゴズリングは『ラ・ラ・ランド』の主演をしている)

 

画像出典:EAST BAY TIMES‘Blade Runner’ trailer might just creep you outhttps://www.eastbaytimes.com/2017/05/08/video-blade-runner-trailer-might-just-creep-you-out/ (閲覧2018/1/8)

2)『ナミヤ雑貨店の奇跡』(2017日本。監督:廣木隆一)

 廃業した古い雑貨店の郵便箱を通じて、現在が過去と繋がり、人間ドラマが展開していく人情ドラマです。原作は若者に人気の東野圭吾であり、現在に生きる三人組のリーダー役が山田涼介(HeySayJUMP)、過去に生きる雑貨店店主が西田敏行でした。

 三人組が強盗を働いた後に逃げ込んだのが、今は廃屋になっている「ナミヤ雑貨店」でした。そしてそこは、誰でも自分の悩み事を書いた手紙を郵便箱に投函し、返事を牛乳ポストから返却するということを、店主が亡くなるまで続けていたところでした。

彼らが逃げ込んだのは特別な日であり、そこに投函された過去からの手紙が、郵便箱を通じて現在の三人に届くことになります。最初は面白半分に回答していた、未来から返された三人の手紙によって、過去の悩める人たちの人生が展開されていきます。最後には、三人に何ら関係のないと思った人たちが、実は彼らが育った孤児院に関係していた人であり、自分たちも彼らによって支えられていたことがわかるのでした。

 時空を超えて連絡しあうという映画は、これまでも多くありますが、「雑貨店の郵便箱」に投函された手紙を通じて連絡しあうという設定は面白く、その手紙によって人が生かされていくというこの映画は、一見の価値があると思います。

(下の画像左は廃屋の中で手紙を読む3人。画像中左は3人が入り込んだ廃屋となったナミヤ雑貨店。このシャッターの郵便投入口から手紙が投入される。画像中右は手紙の返事を入れておく牛乳ボックス。画像右は30年前のまだ営業をしていたナミヤ雑貨店。その左下に座っているのは店主で当時悩みの手紙の返事を書いていた役の西田敏行。左に小学生が見ているのは「100点を取るにはどうしたらいいですか」と言う悩みなどの張り出された返事)

 画像出典左:きさきさブログ、ナミヤ雑貨店の奇蹟 [映画]http://kisa1.blog.so-net.ne.jp/2017-09-24-1(閲覧2018/1/8)。画像出典中左:Hatena Blog、ナミヤ雑貨店の奇蹟http://sarah-salad.hatenablog.com/entry/2017/09/23/133244(閲覧2018/1/8)。画像出典中右:http://sarah-salad.hatenablog.com/entry/2017/09/23/133244(閲覧2018/1/8)。画像出典右:YAHOO JAPAN映画ナミヤ雑貨店の奇蹟 (2017)https://movies.yahoo.co.jp/movie(閲覧2018/1/8)

 

Nさん

印象に残る映画:『幼な子われらに生まれ』(2017日本。監督:三島有紀子)

映画のあらすじ(公式サイトより):バツイチ、再婚。良きパパを装いながらも、実際は妻の連れ子とうまくいかず、悶々とした日々を過ごすサラリーマン田中信キャリアウーマンの元妻との間にもうけた実の娘と3カ月に1度会うことを楽しみにしている。今の妻奈苗は男性に寄り添いながら生きる専業主婦。実は信と奈苗の間には新しい生命が生まれようとしていた。血のつながらない長女はそのことにより辛辣になり、「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」今の家族に息苦しさを覚え始める信は、怒りと哀しみを抱えたまま半ば自暴自棄で長女を奈苗の元夫沢田と会わせる決心をする。

映画の感想気持ちが重くなる作品でした。バツイチ、ステップファミリー、DVがテーマで映像もセリフも全編にわたりズーンとのしかかる感じでした。ラストも大団円で終わりではないので少し明るさを感じられたシーンをあげてみました。

・信が元妻の現夫に対してとっさに出た言葉「子ども(信と元妻の子)を大切に育ててくださってありがとうございました」と伝えるシーン。

・ 奈苗がひとりカラオケで歌ってストレスを発散している姿を目撃した信がそっと立ち去るシーン。

・祖母と暮らし始めた長女が母の出産に駆けつけてきたシーン。 

そして奈苗が子どもを産んで家庭を築く意思を貫いていた姿勢には、これから先には色々あるけどなんとか頑張ってね、と応援したいという感情がおこりました。

(下画像左はバツイチ再婚同士の右は信役の浅野忠信、左は妻奈苗役の田中麗奈。子供二人は奈苗の連れ子。画像中は信の前妻でキャリアウーマン役の寺島しのぶ、子供は信が3カ月に一度会うのを楽しみにしている実の娘。この場面は前妻が再婚した夫ががんで余命わずかの病床。画像右は妻奈苗の元夫役の宮藤官九郎左と会う信右)

画像出典左:伊豆新聞、注目映画紹介:「幼な子われらに生まれ」浅野忠信×新人女優 血のつながらない父娘の対峙にヒリヒリhttp://izu-np.co.jp/enta/news/20170825dog00m200011000c.html(閲覧2018/1/9)。画像出典中:T-STILE映画『幼な子われらに生まれ』新場面写真が解禁!不器用な大人たちの“役割”とは?信の元妻とその子供/(C)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会http://top.tsite.jp/news/cinema/i/35567572/photo/94630/?sc_int=tcore_news_photo_7(閲覧2018/1/9)。画像出典右: CINRA.NET浅野忠信が前妻・寺島しのぶと抱擁、映画『幼な子われらに生まれ』場面写真https://www.cinra.net/news/20170513-osanagowareraniumare(閲覧2018/1/9)

 

F.Mさん

①『ブルックリン』(2016カナダ・アイルランド・英国・米国合作。監督ジョン・クローリー)

県民共済シネマの予告編を見て、迷わず見に行きました❗ 1950年代アイルランドの田舎からニューヨークへ、新しい生き方を選び、人生を切り拓く女性の視点で描かれている…故郷・家族・愛・人生の大切なものを選ぶ物語。まさしく、私自身も北海道の田舎から神奈川・茅ヶ崎&横浜へ。至る所で共感が有り…

例えば、田舎では周りがみんな全て解ってて…みたいな場面には、そう、そうだったなぁ〜とか(笑)。ラストの主人公の逞しさ⁉には、かく有りたいとで、とても元気をもらいました‼ 後で、作品詳細を見て、脚本家が前に選んでた『17歳の肖像』(本ブログ「メンバーが選ぶ2016年前半に観た映画…」参照)と同じ作家のニック・ホーンビィという方と解り、さりげない物語の中に共通のモノを感じた訳がわかった気がしました。人生に❓の方々に、お勧め⁉ 元気もらいます❣

(下の画像左はアイルランド(イギリスの隣の島国)の港のアメリカへ向かう船上の主人公、中央の緑の服、手にはパスポートがある。岸壁にはアメリカ行きを支援した姉が見送りに来ていた。画像右は、ニューヨークのブルックリンで高級デパートの寮に入り、接客の仕事に就いた主人公手前。田舎暮らしの主人公には接客の作り笑顔や会話がうまくできない。姉からの手紙で故郷アイルランドの思いが募る)

画像出典左:天邪鬼みーすけの映画な日々『ブルックリン』アイリッシュガールのあしたはどっちだ?!http://meesuke1010.blog.fc2.com/blog-entry-213.html (閲覧2018/1/10)。画像出典右:IN MOVIES 映画「ブルックリン」/連ドラ、好きですか?https://in-movies.com/blog/2016/3/17/-brooklyn- (閲覧2018/1/10)

②『アンダーグラウンド』(1996公開、デジタルリマスター版リバイバル2011公開。仏・独¥ハンガリー・ユーゴスラビア・ブルガリア合作。監督エミール・クストリッツァ。原題:Underground)

イオンシネマの過去の名作を選んで上映されるシネフィルコレクションから、唯一見に行けた作品でした。旧ユーゴスラビアの50年に渡る悲劇ブラックなファンタジーで描いた作品との事で、壮大な作品で、アクの強い主人公の1人が吉田鋼太郎氏に見えたのには困りましたが(笑)。ひたすら圧倒されながら見ました。ラスト前部分が、とても悲しく…。気になった方は、是非見て下さい❗

(下の画像左は旧ユーゴスラビアの首都ベオグラードがナチスの爆撃を受け、攻めてくるので、戦うために共産党員・パルチザンが地下に武器製造所を作り、銃を製造している場面。画像中左はこの地下生活している人々。画像中右は吉田鋼太郎に見える主人公。画像右は終盤の場面、死んだはずの人たちが小島の上にみんな現れて音楽などに興じている。みんなを乗せた小島は徐々に岸から離れてドナウ川に流されていく。ユーゴスラビアという国家が消えていったように小島は消えていく)

画像出典左:なめブログ映画『アンダーグラウンド』http://hardasarock.blog54.fc2.com/blog-entry-540.html(閲覧2018/1/10)。画像出典中左:UNDERGROUND / UNDERGROUNDhttp://2015.siff.bg/en/index.php@page=movies&id=2495.html(閲覧2018/1/10)。画像出典中右:僕らのオールタイムベスト映画http://blog.livedoor.jp/tr4txx/ (閲覧2018/1/10)。画像出典右:Movie Reviews Simbasible Underground (1995)http://www.simbasible.com/tag/emir-kusturica/(閲覧2018/1/10)

③『火花』(2017日本。監督板尾創路)

監督が板尾創路氏と知り見ました。小説もテレビドラマも見ていたので、だいたいの内容は解っていたのですが、この映画が、最もシンプルで、監督の芸人ならではの視点も至る所で感じられ、解りやすく楽しめました❗ ただ、先輩の神谷役は、ドラマ版の波岡一喜氏の方が、異彩ぶりなど断然ハマっていたのでは❓と思い、残念でしたが。

(下の画像はNHKドラマ火花での神谷役の波岡一喜右。左は主演徳永役の林遣都(けんと)。映画では神谷役を桐谷健太、徳永役を菅田将暉が演じた。『火花』については本ブログ一般投稿「『火花』夢を追う若い人の姿は米国『ラ・ラ・ランド』の日本漫才師版と言うところでした」も宜しければご覧ください)

画像出典:エンタメステーションMOVIE本物だから描けた『火花』の情景 林遣都、波岡一喜スペシャルインタビューhttps://entertainmentstation.jp/33653(閲覧2018/1/10)

✳オマケ『炎のランナー』(1981英国。監督ヒュー・ハドソン。原題: Chariots of Fire)

暮れのテレビで放送され(36年振りに見て)印象的な音楽と主人公の1人が牧師さんで、日曜日にはレースができない事以外は、内容をほとんど忘れてて…。初めて見る感じで、楽しめました❗ 2020年の東京オリンピックも、楽しみにしています。

(下の画像は1919年の走ることが好きな二人。100m、200m、400mの短距離で1924年のパリオリンピック出場を目指す。昔のオリンピック選手の練習は、科学的なトレーニングでない自然で素朴な様子が分かる)

画像出典:映画の言葉“ 勝利への公式などありません ”炎のランナーhttp://eiganokotoba.jp/F136 (閲覧2018/1/10)

去年より、他の時間をやや減らし、やっと劇場で見る時間も何とか作る様にしはじめまして、今年も月1本の目標で、気楽に見に行きたいと思っています❣

A.Mさん

2017年後半に観た映画で印象的だった3本です。

(1)『人生に乾杯!』(2007ハンガリー。監督ガーボル・ロホニ。原題:Konyec – Az utolsó csekk a pohárban:Konyec)

夫は81歳、妻は70歳。夫婦の収入は年金だけだが、それだけでは暮らしてゆくことが難しく、生活は困窮している。ある日電気が止められ、財産の差し押さえが入る。妻は夫の蔵書が持ち去られようとするのを制し、自分のつけていたダイヤのピアスを差し出す。それを見た夫は、強盗に入るのだった。

そして、二人の警察からの見事な逃避行が始まる。警察をどんどんまいてゆく老夫婦の姿が痛快でした。また、逃避行生活の中で、静かにお互いを思いやる夫婦の姿に、長く二人で生きてきた時間を感じ、じんとする場面もありました。彼らのニュースを見た世の老人たちが「年金だけでは生活できない」とデモをしたり、模倣犯が出たりするところは、現実で起こりうるような切実なものを感じました。

(下の画像は郵便局に強盗に入った二人。強盗が成功した後の車の中で夫は「『脳みそぶっ飛ばすぞ』は少し乱暴だったかな」と言うと妻は「いいんじゃない」と言う。原題解説:「Konyec – Az utolsó csekk a pohárban」のハンガリー語の訳「おしまい‐コップの中の最後の一滴」。紅茶はコップに残った最後の一滴が最もおいしいと言います。情報元:映画「人生に乾杯!」を観て、ハンガリーの逞しさを知るhttp://www.finomagazin.com/2016/05/17/cinema-jinseinikanpai/ (閲覧2018/1/11)

画像出典:TUTAYA人生に乾杯! http://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA000081IU5(閲覧2018/1/11)

(2)『フルスタリョフ、車を!』(1999仏/ロシア。監督アレクセイ・ゲルマン。原題Хрусталёв, машину!ロシア語)

DVDのパッケージに「カンヌ国際映画祭に正式出品され、審査委員長のM・スコセッシが『何が何だかわからないが、すごいパワーだ』と評したとされる」と書いてあり、ちょっと笑ってしまいました。でも、見た後の感想は、これ以上言うことがないくらい、その通りの映画でした。

今何が起きているのか、誰がどういう意図で動いているのか、誰が敵で誰が味方か、出てくる人物同士の相関関係、ストーリーそのもの、一切合切が見ていてもよくわからず、それでいて、「意味がわからん」と放り投げることができない妙な迫力と説得力をもった映像に気圧されて、(うわあなんだかすげえなあ)と、圧倒されてしまいます。

動く人間を、動きながら追うカメラワーク。ひとつの場面の中で、各人が好き勝手に動き回って、それが整頓されることなく、そのまま映しだされる。各場面が醜悪でありながら魅力的で、何か生きている人間の姿をドキュメントで目撃しているという感じでした。私が歴史的背景をよく知るロシア人だったらもっと違う切実な感想をもつのかもしれません。もう少し映画や歴史を勉強してからもう一度見てみたいです。

(下の画像の中央にいるのは主人公のユダヤ人で脳外科医クレンスキー。スターリンのユダヤ人抹殺指令(この指令が本当かは不明)で強制収容所へ送られ拷問を受けるが、スターリンが危篤になり呼び戻されスターリンの最後を診察することになる)

画像出典:寄り道カフェ「フルスタリョフ、車を!」 (2008/11/15) の記事画像http://yorimichim.exblog.jp/iv/(閲覧2018/1/11)

(3)『こねこ』(1996ロシア 監督イワン・ポポフ。原題Котёнок»:ロシア語で子猫)

かわいい子猫のチグラーシャが、マーニャとサーニャという姉弟に飼われるが、ある日迷子になってしまう。方々で、犬にいじめられたり、親切な人に餌をもらったりしながらさまよい、猫好きなおじさんフェージンと出会う。

主人公のこねこチグラーシャの愛くるしさ、こねこを愛する人々のお茶目さ、子供たちの無垢で一途な愛情。

一面雪がおおうロシアの街の風景の中で、ねこと人間が身をよせあうあたたかさに、穏やかな気持ちになる映画です。

ただ、猫好きのおじさんフェージンの存在が、このほのぼのとした世界に陰影をもたらしていました。家族も恋人も友人もいない孤独な清掃員のフェージンは猫に囲まれて暮らしているのですが、仕事を追われ、住まいを追われ、金を失い、どん底の境遇に落ち込むのです。かわいいこねこの大冒険、という映画として了解しようとしている気持ちに水を差すほど不幸な陰のある彼の存在が不思議で、印象に残りました

(下の画像左はこねこのチグラーシャ。画像右はどん底生活のフェージン、胸にチグラーシャを抱いている)

 

画像出典左:Amazonこねこ Blu-ray https://www.amazon.co.jp(閲覧2018/1/11)。画像出典右:Weblogでぼやくロシア映画【こねこ】を観ましたhttp://yaplog.jp/darkritualcage/archive/636(閲覧2018/1/11)

(2/2)へ続く。

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