ロスジェネの発言

-Weblog of 三四郎日記

「左翼統一戦線のために」~その弐

2005-09-20 23:10:17 | 左翼/共産党
さて、「自称」超人気サイトの「世に倦む日日」(ヨニウムヒビ)氏に、北大の山口二郎先生が「誤解がある」とのメールを送ったようです。「自称」というのはやや不当かもしれませんね。世に倦む日日のアクセスカウンターがPV(ページビュー)ではなくアクセス者数(例えばアクセスip数)を表示しているとすればホントに超人気サイトといえるんですけどね。ご自身ではそう主張されてるんですが、アクセスカウンターが訪問者数ってのは、たぶんウソですけどね。見りゃわかりますわ(笑)。

それはそうと、「ジロコせんせ、こんなヤツにメールで抗議しちゃダメじゃん!」と思ってしまったわけですが、新左翼~左派~中道左派にいたる幅広いブロガーに評判なこの「世に倦む日日」なので無視できなかったのでしょう。無視しときゃいいんですよ。ほんとは。山口先生ほどの人がニセ・ジャーナリズムに権威付けしてどーするんですか!と先生に文句言っても仕方ないんですけど、先生がメールでもして抗議したくなった気持ちも分からなくもないですね。

だって、この「世に倦む日日」氏は、山口先生の見解を誤って伝えているばかりか、選挙制度についての無知ぶりをさらけ出してしまったからです。今日の「世に倦む日日」のエントリー「政治改革」イデオローグの責任 - シンボルとイデオロギーをよんで山口先生も「こいつ、・・・。」と思われたことでしょう。でも、こんなのに批判されてさぞかし悔しかったんですね。そうですよねー。

ということで、↓↓↓下にその理由を書きました。

では、まず最初に、批判のために今回も「世に倦む日日」さんから冒頭だけ引用させていただきます。

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文句を言っていたら、山口二郎から直接メールが来た。前稿の最後に画像を貼った岩波新書『政治改革』では、自分は明確に小選挙区制には反対していたのだと反論している。さて、本当にそうかなと思って読み返したが、全体を通して小選挙区制に反対という主張には読めない。強いて言えば、「完全小選挙区制に反対」の意味での「小選挙区制に反対」だろう。新書では確かに小選挙区制の問題点を指摘してはいるけれど、山口二郎もまさか比例代表制だけに切り替えると考えていたはずはあるまい。併用制、すなわち現行制度への移行を念頭に置いて中選挙区制の廃止を主張していたはずである。(世に倦む日日-「「政治改革」イデオローグの責任 - シンボルとイデオロギー」より)
********************

山口二郎先生は、確かに「小選挙区比例代表併用制」の導入を主張されていました。でもね、今の日本の選挙制度って、「併用制」じゃないんですけど。今の日本の選挙制度は「小選挙区比例代表並立制」です。しかも、この併用制と並立制、全然違うんです。「世に倦む日日」さん、前からいい加減なことを言っているなと思っていたんですが、ここまでいい加減とは思いませんでした。併用制はコバコバさんが【ドイツ総選挙】左派共闘のモデルケースのコメント欄で指摘してくださった通り比例代表中心の選挙制度なんです。だから、少数政党にも確実に議席が割り当てられます。もちろん「小選挙区制」の要素が加味されていますから、大政党に有利である事には変わりはありませんが、日本独特の「並立制」のように与党に過大な議席を与えてしまうことはありません。従って、小選挙区比例代表併用制は「二大政党」化を促す作用もするんだけど、同時に少数意見も確実にくみ上げるという、かなり優れた制度なんです。そしてそれが、今回のドイツの総選挙の結果を生みだしたんです。ドイツは「併用制」です。山口さんはこの「併用制」論者だったんです。よくもまあ、「日本の現行制度は併用制」などといい加減なことを言うのもだと思いました。山口先生を批判する前に、「並立制」の導入を主導した旧社会党を批判してください。そっちの方が先です。自民党は「並立制」に反対してませんでしたっけ?特に小泉純一郎議員を中心に。

次のエントリーで、日本がもし小選挙区比例代表併用制だったら今回の選挙でどんな結果が出たか、お見せしましょう。

「世に倦む日日」さんは、「社共が合同して民主を支援すべき」「共産党は自己都合でしか『護憲を主張していない』」→「民主はダメ」→「選挙制度が悪い」という議論をしてるんだけど、支離滅裂なんですよ。これじゃダメ。もっと合理的に冷静に政治を見て行かなきゃ、新自由主義・ネオ反動主義にやられてしまいます。ブロガーのみんなも、もうちょっと自分の頭で考えよう。一方的に「共産党の支持者=共産党の意見丸飲み」みたいな批判はいい加減やめてください。
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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本共産党が一番野党共闘に熱心なのにネ (コバコバ)
2005-09-20 23:59:59
 共闘といえば選挙協力の事しか見えない一般マスコミに踊らされている人たちは、結局、自民党と第2自民党による2大政党制を後押ししているだけって事に気がつかないのでしょうネ。



 国会論戦で、野党として一緒に自民党の悪法に反対の論陣を張っていて「もう少しで会期末廃案にできる」「与党の強行採決で国民の怒りを与党にぶつけることができる、次の選挙の争点にするぞ」と、共産党が粘り強く働きかけていても、いつの間にか与党の修正協議に乗っかっちゃって部分的な手直しで悪法を通過させてきたのが民主党だというのに!

 介護保険の負担増や年金改悪の問題で、野党としての立場を投げ捨てて、一緒に反対で頑張ってた共産党を見捨てたのが民主党で、それでもあきらめずに民主党を野党の立場に立たせようと、今も郵政民営化法反対の共闘を呼びかけたり、憲法改悪の特別委員会設置に一緒に反対するよう呼びかけているのが共産党ですよ。



 国会論戦で一緒に自民党と対決できない党に、何でわざわざ票をタダでくれてやるような協力をせにゃならんのか!?って書いちゃったら、ぶっちゃけ過ぎやろか?(><)
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Unknown (memphis)
2005-09-21 00:40:51
TBありがとうございます。私は共産党に関しては意見が異なります。でもたとえば反対派を粛清してきたような(この部分も見解の相違があるでしょうが)指導部と、一般党員・支持者の方とを同一視するつもりは全然ないです。宜しくお願いします。
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どうも (frediefrog)
2005-09-21 07:29:32
TBありがとうございます。



なるほど、例のブログはインチキということが改めて理解できました。まあ、勝手に誰だか知らないけど外人の写真を自分の顔として載っけてる時点で人権侵害だと思っていましたし、いい加減な主張をしていると思っていましたので、驚きはしませんが、やはりド素人ブログですね。



ただ、一つ奇妙なのは、いつも張り付いているんじゃないかと思われる点。TB即消しというのはかなり異常に感じます。組織的にやってるんじゃないかなって勘ぐってしまうほどです。



対抗手段として、例のブログにTBやコメントしてる人にTBを送って、彼(?)がやってることを知ってもらうという方法もありえますが、私はそこまでしてません。ご本人は異論は封殺するという人らしいので、やるのも手かもしれないなとも思ってしまいます。



>memphisさん



「粛清」って、memphisさんは過激ですねえ。いったいどこの国の話ですか。
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すみません。 (frediefrog)
2005-09-21 07:31:53
URL打ち込むのをわすれてしまいました。memphisさん、コメントしたのに、すみません。
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質問です (労働者L)
2005-09-21 18:39:07
 TBありがとうございます。以前からちょくちょく読ませてもらっています。

 ひとつ質問があります。緑の党は左派党との連立を躊躇していると報じられていますが、なぜですか?逆に、左派党の側は社民党・緑の党との連立をどう考えているのでしょうか?
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Unknown (memphis)
2005-09-21 22:09:55
挑発的?なことを書いてしまいすみません(もちろん日本のことですが)。
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お返事 (小川)
2005-09-22 06:26:00
memphisさん



意見が異なってもお互いを認め合うのが民主主義だと思います。相手の気持ちを慮ることと、寛容であることが必要だと思っています。このブログには創価学会の方も書き込んでくださっています。これからもよろしくです。



frediefrog



>TB即消しというのはかなり異常に感じます。組織的にやってるんじゃないかなって勘ぐってしまうほど



うーん、組織的なのかなあ。あのブログのTB管理の仕方がどうなっているのかは気になるところ。The Standard Review blogさんの「テサロニケ人への手紙」http://thestandardreview.seesaa.net/article/6806816.htmlが面白い批判をしていましたよ。テサロニケというのは「世に倦む日日」の管理人のこと。でもやはり「世に倦む・・」は文章力があるのも事実。それがあのブログに多くの読者を引きつけるんですね。わしゃ文章下手くそなんで、ダメダメです。



労働者Lさん



コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします。



>緑の党は左派党との連立を躊躇していると報じられていますが、なぜですか?



うーん。正直、分からないですね。現代ドイツ政治専門ではないので。ただ、ドイツの「左翼党」も、日本の共産党のようなポジションにいると考えると分かりやすいのではないかと思います。一方、緑の党は、日本の政治地図に当てはめると、「社民党(日本)」(←ややこしいですね・・)のようなポジションにいる。ドイツの「緑の党」は「非マルクス主義左派」的な環境・ジェンダーフリー政党らしいですので、日本の社民党っぽいですよね。ドイツでも、日本でよくあるように、連立協議については「共産党を除く」というような状態なのだと思います。日本では民主も社民も共産党とは組みたがらないですよね?



>左派党の側は社民党・緑の党との連立をどう考えているのでしょうか?



左翼党はベルリン市やザクセン・アンハルト州ではSPD(社民)と連立を組んで与党になっています。が、連邦レベルでは社民・左翼両党とも「組まない」と明言しています。よく分かりませんよね・・・。どうやら、ドイツの左派陣営にとってシュレーダー首相は厄介者のようです。彼は資本家よりの人物とされているようで、現に経済政策は新自由主義路線を取っていますし、イラク戦争に反対してはいるものの、コソボやアフガンにはドイツ軍を派遣していますので、外交政策も左翼とは大きな隔たりがあります。



今回、左翼党は「強固な野党」が連邦議会には必要だというスタンスで選挙を戦ったので、まず「入閣」は無いのではないかと思います。



「強固な野党」(ドイツ・左翼党)、「たしかな野党」(日本共産党)。。。

にてません?

これが面白いんですね。
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Unknown (きょうも歩く)
2005-09-27 01:13:00
参考になりました。山口二郎さんへの弁護は適切ですね。

ドイツ緑の党は、そもそもキリ民党と社民党の二大政党を超える立場でスタートしており、右派の環境運動とニューレフトや左派環境運動が糾合してできた政党です。ですから社民党は政策実現のための連立相手であり、左派党何?という感じなのでしょう。

日本だと、環境やフェミニズムが社民党を連想させるため、どうしても緑の党=左翼というイメージが強いのかも知れません。
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memphisさんへ (frediefrog)
2005-09-28 00:08:00
あんまりこの話題でひっぱりたくはないんですが、コメントしていただいたので、私なりに考えを書きますと、memphisさんの文脈では共産党があたかも意見の違いによって反対派を排除しているような感じに読めるんですよね。



いつの時代を想定して書かれているのか(今の話?)、また内部の事情もよく知りませんが、共産党であれば規約なりなんなりにのっとって処分してるんじゃないですか。(それとも規則に則らないでやってるということをmemphisさんはご存じなんでしょうか。)



仮に、内部のルールにのっとり、手続きをふんでやってるんであれば、ある組織に属する人のルール違反を「厳しく取り締まって、不正を取り除く」わけですから、一般法規に反しない限り、私にはそんなに間違ったことをしてるようには思えませんがね。
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>きょうも歩くさん (小川)
2005-09-28 12:01:00
コメントありがとうございます。ドイツの緑の党は「左翼」ではないのですね。参考になりました!



日本だと環境保護というと左翼的な印象がやはり強いんでね。「右派の環境運動」というと形容矛盾に聞こえるんですが、そういうのもありなわけか・・・。
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