ロスジェネの発言

-Weblog of 三四郎日記

【ドイツ総選挙】左派共闘のモデルケース

2005-09-16 06:19:25 | 衆議院議員選挙2005
ドイツ総選挙最終盤 連立与党 大量失業で国民の批判 保守中道連合 大企業負担減うちだす(2005年9月15日(木)「しんぶん赤旗」)
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ドイツ連邦議会(下院)総選挙(十八日投票)が最終盤に入っています。政権交代を訴えるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)の保守中道連合に守りの連立与党、社会民主党(SPD)、90年連合・緑の党。根本的な変革を主張して支持を伸ばす左翼党。選挙で問われるおもな政治課題をみました。mehr...
(ベルリン=片岡正明)〔画像はドイツ連邦議会の勢力分布ー赤旗より〕
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アッテンボローさんから「統一戦線戦術」についての議論の呼びかけがありました。(本ブログのエントリー共産党の大罪?参照)また、それに呼応してでしょうか、旗旗さんからもトラックバックをいただきました。

その呼びかけに本格的に答える前に、私のスタンスを少し整理させていただきたいと思います。まず、私は「民主党」(Demokratische Partei Japans=以下便宜的にDPJ)を左派政党とは見なしていません。ですので、ドイツの歴史上、ドイツ共産党(Kommunistische Partei Deutschlands=KPDと略称)との共闘が問題になった「社会民主党」(Sozialdemokratischepartei Deutschlands=SPDと略称)と日本の民主党とを同様の政党と見なすつもりはありません。従って、アッテンボローさんがいう「翻って日共〔=日本共産党の蔑称、小川・注〕は・・・社民主要打撃論の立場から独自候補を擁立しました。」との見解には同意しかねます。
(*)なお、本ブログでこの問題を議論する際、「日本共産党」を「日共」(ニッキョウ)と蔑称することを禁じます。冷静な議論をするためです。共産党側の立場に立つ方も、そうでない方も感情的・差別的な言葉の表現は控えてください。

つぎに、私は解散の当日、このブログに次のようなエントリーを立てています。→【社民党への提言】
なぜこのような認識に至ったのかというと、現在の行われているドイツ総選挙(9月18日投票)で「左派連合」(左翼党)が大躍進する見込みであることに注目いていたからです。
【ドイツ総選挙】 支持率12%の「左翼党」誕生!(このエントリーを立てた時点では日本では解散は行われていません。そのことに注目してください。)
【ドイツ総選挙】ドイツでは争点も明確(総選挙中のエントリー)
【ドイツ総選挙】左派、盛り返す。(投票日翌日のエントリー)

ちなみに、日本の選挙がこれほどまでに過去(1933年)及び現在(2005年)のドイツの選挙との類似性を持って語られたことはかつてなかったことです。このことは、日本やドイツのマスコミが、互いの選挙に対して注目しあっていることからも窺えます。また、多くの方が小泉首相のやり方をヒトラーのやり方になぞらえています。

2005年ドイツ連邦議会選挙については、とくに『赤旗』の報道は他の追随を許さず、殊にその報道ぶりは「左翼党」への注目に向けられたものです。最近では「産経」までもがこの様な記事を書いています。
独総選挙最終盤 大連立の可能性 与党・社民党追い上げ/「野党過半数」微妙(産経新聞) - 9月13日3時2分更新

さて、ここでアッテンボローさんに質問です。ドイツ総選挙でも、依然として保守・新自由主義政党である「CDU/CSU」(キリスト教民主・社会同盟)は支持率の上で優勢です。SPDは政権から転落する可能性が依然として濃厚です。この場合、ドイツの日本共産党に当たる「左翼党」は、何らかの形でSPDを支援するべきだと思いますか?お答え願えるでしょうか?
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10 コメント

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souka431@ybb.ne.jp (草加耕助)
2005-09-16 07:21:10
トラックバックありがとうございます。旗旗の草加耕助です。アッテンボローさんの提起により、共産党支持派の方のいわば代表として、三四郎さんのところにもトラックバックを送らせていただきましたが、まさかこのように真正面から、しかもシリーズ(?)で本格的な反論がいただけるとは思ってもいませんでした。



こう言っては気を悪くなさるかもしれませんが、今まで共産党の方からは、よくて単に「論破してやろう」、悪くすると単なる罵倒みたいなスタンスでしか対話していただけませんでした。このようにまともに向かい合っていただけるのは初めてのことで、感動しています。三四郎さんには心からの大きな敬意を表したいと思います。



今、時間がなくて中身のなることが書けませんが、とりあえずこの感動と敬意を伝えたくてコメントさせていただきました。



まあ、こちらはヘタレでビビリの全くの個人なんで、どうかお手柔らかにお願いしますね
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お答え有り難うございます (アッテンボロー)
2005-09-16 08:14:56
 まず最初に呼びかけに答えていただいたことにお礼を申し上げます。有り難うございます。私の問題意識は今日の情勢では左翼勢力は統一戦線を形成して闘うべきだと思っているからです。

 それから共産党の名称について他所様のブログではお行儀良くいたしますので。

 さてご質問いただいたドイツでの左翼党の取るべき態度ですが、現在のところあまり詳しくありませんのでこちらや赤旗を読んで勉強した後に考えが変わるかも知れないと言うことを前提にお答えします。

 ドイツでは支援の必要はないように思えます。
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souka431@ybb.ne.jp (草加耕助)
2005-09-16 13:24:39
んー、つまり「社民主要打撃」と「人民戦線」は、黒目さんのブログで語られているように、どちらを選ぶかという問題ではないように思いますね。状況によって変わってくるし、選択していくべきだと思いますから。民主党を攻撃してその支持を奪うべき時もあると思います。決して民主党が労働者の味方で「仲間」であると言っているのではありません。その点は誤解なきように。

そんな中で、現在の日本では、ドイツでは、オーストリアでは、それぞれ左派は中間的な社民や、保守系の比較的リベラルな部分にどういう態度をとるべきかを個々に考えていくしかないんではと。つまりは固定的な路線問題ではなくして、戦術として「全選挙区擁立戦術」の(現在的な)是非を考えていくしかないんではと思いますが。
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コメントありがとうございます。 (小川)
2005-09-16 22:14:32
草加さん、アッテンボローさんコメントありがとうございます。ブログの世界では、「誠実さ」が重要になってくると思うので、お互いに気持ちよく議論したいですね。ただ、このブログ「日記」でもあるんで、時たま投げやりなエントリーもあるんですけど、あまり気にしないでください(汗)。



さて、前段はこのくらいにさせていただいて、手始めの議論に入らせていただいてもよろしいでしょうか?



まずは、アッテンボローさん。僕の質問に答えていただいてありがとうございます!こういう形(自分のブログにエントリーを立ててTBで議論を呼びかける)でよろしかったでしょうか?



まず、



>ドイツでは支援の必要はないように思えます



とのことですが、その理由をお聞かせ願いますか?日本と違って、ドイツは二大政党の一角は文字通り「社民」です。保守が優位に立っていて、より急進的な新自由主義の路線が強行される可能性がある中で、アッテンボローさんの立場に立つのなら、「左翼」が「社民」を支援するのが筋なのではないですか?



>戦術として「全選挙区擁立戦術」の(現在的な)是非を考えていくしかないんでは



と草加さんがおっしゃるのはその通りだと思います。では、「社民主要打撃論」は今の日本に当てはめられるのかということが問題になりませんか?

これをドイツとの比較でどう捉えられるのか?を考えていきたいのですが、いかがでしょうか?



(なお、本筋の議論から逸れるじゃないかと思われるかも知れませんが、「社民主要打撃論」など少々意味内容がつかみずらいまま議論を進めても議論が平行線をたどるのではないかと思ったので、暫くはドイツのケースを基に議論させてください。その方が、感情的にならずにすみそうですし。)
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「大連立」の記事を参考に。 (アッテンボロー)
2005-09-16 22:48:20
 こちらに張られていたリンクから「あかはた」の記事でドイツの社民党が右翼勢力との大連立を検討していることを知りました。そもそも共闘の前提が無く、しかも左翼党が一方的に支援しても連立されては無意味だと思いましたので、支援の必要はないと思いました。

 日本においては、長野県であったと思いますが、共産党が小選挙区に候補を立てていなかったところで比例区の票の方が多かったという記事を見ました。私としては、身を削っても自民に勝たせてはいけないと訴えた方が共産党への支持が集まったのではないかと思うのです。
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大連立について (小川)
2005-09-17 00:38:21
コメントありがとうございます。



>左翼党が一方的に支援しても連立されては無意味だと思いましたので



これに関して新たなエントリーも立てましたので、そちらのほうもあわせて参考にしてくださるとありがたいです。



日本も、ドイツと同様に、「大連立」の可能性があるのではないでしょうか?(最も、日本には公明党という特殊要素もあるのですが・・・。)



日本では「大連立」の可能性について言及する人はいません。「あり得ない」と勝手に切り捨てられて、その可能性についての民意を問うことすらしないからです。しかし、現実には可能性はなくはありませんし、現在の自民・民主による二大政党制も一種の大連立といえなくもないと思いますが。。。



日本も、ドイツと同様な状況、もっと言えば、ドイツよりも厳しい状況にあり、とてもじゃないけど民主党を支援する状況にはないとは思いませんか?
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左翼党は閣外協力すべきでは? ()
2005-09-17 11:24:41
 はじめてコメントさせていただきます。ブログ「代替案」の管理人です。

 どうもCDUと自由民主党の連立は過半数を取れないみたいですね。私は、左翼党は閣外協力という形で、社民党と緑の党の連立政権維持に協力すべきだと思います。

 社民党とCDUの連立というのはまさに、小泉の大勝に匹敵する最悪の選択だと思います。社民党の市場原理主義政党化がより鮮明になってしまうという意味で。

 左翼党は、連立で入らなくても、社民党に塩を送って、今の連立政権の維持に協力しつつ、自らの政策課題を少しでも連立政権に反映させることを目指すべきだと思います。

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>関さん (小川)
2005-09-18 05:08:13
初めまして。コメントありがとうございます!もうドイツに着かれている頃でしょうか?



>左翼党は閣外協力という形で、社民党と緑の党の連立政権維持に協力すべきだと思います。



同意です。ただ、現実にはそうはいかないようでして・・・。「左翼党」の党首の一人、オスカー・ラフォンテーヌ氏(元社民党党首!)は「シュレーダーがやめるなら政権協力もあり得る」といっているようです。一方でシュレーダーは、「左翼党との連立はない」と言っているようです。このような情勢から、「大連立があるのでは?」との憶測が生まれるようです。



なので、結局は「左翼党」として、できるだけ多くの議席を獲得するしか選択の余地がない、と言うのが現実のようでして。。。しかも、社民党は新自由主義路線。政策的な溝も大きいのですし。



ただ、日本と違うのは、ドイツの選挙制度は「小選挙区の得票数も比例代表での獲得議席に連動する」というもののようでして(詳しくは知らないんですが・・・。すみません。)、どのような情勢であっても小選挙区で「協力する」という必然性が無いらしいです。まあ、「塩を送る」と言う意味では擁立見送りもアリだとは思いますけど。



いずれにせよ、明日の朝には日本でも結果を知ることができると思います。本格的な日独比較はそれからですね。



ドイツのおみやげ話も期待してます。
返信する
ドイツの選挙制度 (コバコバ)
2005-09-19 20:29:54
 ドイツの選挙制度について、日本ではずいぶん誤解されている例が多いようです。



 ドイツの選挙制度は比例代表制度を基本にした制度です。小選挙区はオマケのような存在です。



 まず各党への議席の配分は全国を一つの単位にした基本定数600の完全な比例代表で決まります。



 そのわりには政党の数が少ないのは、小政党の乱立を阻止する5%の足きり条項があるためで、これにより一時的なブームで誕生した政党などは排除されていつの間にか選挙活動をしなくなり、地道に得票率を上げていく努力を積み重ねた「緑の党」のような真面目な小政党はいつかは日の目を見るという仕組みになっています。



 全国の議席の配分が決まると、今度は各政党の内部で、ブロックごとの議席配分が決まります。

 例えば、自民党が200議席なら、北海道に10、東北に15、関東に42・・・といった感じです。

 投票率の低いブロックは、人口に対する国会議員の数が相対的に少なくなる仕組みで、これは投票率アップに寄与しています。一票の格差などという問題はいっさい存在しません。



 最後に比例定数の半分・300の小選挙区で当選した候補者は、各党の比例名簿よりも優先して議席を得ることになります。比例定数の半分ですから、小選挙区の当選者のほうが比例代表で各政党に配分された議席よりも少なくなる場合がほとんどですが、これにより人物を選ぶという要素を提供しています。(政党がつくる名簿上位者よりも有権者の選ぶ人物が優先される)



 地域的に支持の分布が偏っている政党で、まれに小選挙区の当選者数が比例代表で配分される議席を上回ることがありますが、その時は小選挙区の当選者全員に議席を配分し、定数の超過分という扱いにします。これが日本人にドイツの制度を小選挙区を重視している制度のように勘違いさせる原因なのですが、超過議席は毎回せいぜい10未満、前回も4議席と例外的であり、制度の説明としては瑣末な問題です。



 このように、ドイツは2票制ではありますが、政党を選ぶ性格が強いほぼ完全な比例代表選挙なため、選挙区候補も政党名で選ばれているのがほとんどという実態です。

 ですから小選挙区での選挙協力などということはいっさい問題にならないし、少数政党が小選挙区に当選見込みの無い候補者を立てることは国民にはごく当たり前の行動として受け止められています。

 むしろ、全小選挙区に候補者を立てる力量の無い政党は政党としての成熟度が低く5%条項であしきりをされる存在と認識されるということです。



 参考になりましたでしょうか?
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参考になりました! (小川)
2005-09-19 22:46:40
コバコバさん!選挙、お疲れさまでした。



僕も「小選挙区の議席の配分と比例代表の議席の配分はどういう関係にあるのか?」と疑問に思っていたので、とても参考になりました。



ありがとうございます!



日本もドイツのような制度であればもう少しマシな選挙結果になっていたのではないかと思います。少なくとも、「共産党のせいで自民が勝利した」などと言わなくても良い結果が出ていたはずです。



「自民圧勝」は小選挙区制によるトリックなんですね。結局は。ドイツの制度と比べると、日本の制度は国民に「精神分裂」を強要している事がよく分かりますね。
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