前を

　公立高校入試中期選抜の合格発表が行われた。昨日だ。
　朝１０時半からの開示だ。



　高校に到着。１０分ほど時間がある。正門近くに１００人くらいの生徒とその保護者と思われる人がいる。



　１０時半になると高校の先生の合図で、受験たちが掲示板の前まで移動する。
　走る生徒はいない。早く見たいが、緊張しているのだろう。受験生でないぼくにもその感情が伝わってくる。
　その様子をぼくはスマートフォンでビデオ撮影する。来年、再来年、受験をする生徒たちに見せるために。
　ビデオを撮りながらぼくも掲示板の近くまで移動する。

　受験生たちの歓声。
　笑顔。
　声を出さない生徒。
　その場に立ち尽くす生徒。
　真顔で掲示板から離れていく生徒。
　
　掲示板近くの少し離れた場所からビデオを回す。

　そして、ビデオを止め、ぼくも掲示板に近づく。受験番号を探す……。



　内申点は低く、模試では良い判定は出なかった。それでも志望校を変えることはなかった。内申点も模試の得点もボーダーラインよりも下であるにもかかわらず、山城高校受験で押し通した。毎日毎日、塾に来て勉強をした。大げさではなく本当に毎日塾で勉強した。

　勉強のセンスはある。しかし、その個性を最大限に出してやることができなかった。
　鬼気迫る勉強をしている姿を覚えている。しかし、それを受験期に引き出すことができなかった。