処置法研究室

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国際感染症学会の一文

2005-02-24 04:00:13 | Weblog
下記は「国際感染症学会のメーリングの12月30日分」です。
翻訳は厚生労働省成田検疫所で行っています。
非常に参考になるため、転載させて頂きます。
詳しくは国際感染症学会へ。


●12-28(1230-0010)#Er#津波関連疾患の危険性-アジア(02)#
投稿者:Martin Rieder (熱帯医学公衆衛生学士、Diploma in Tropical Medicine and
Public Health)。
インド洋地域での津波による大災害報道を見ていて、2次的な感染症発生の観点
から、遺体をできるだけ速やかに埋葬しなくてはならないと繰り返し主張され
ることに驚いている。瘴気(しょうき)と遺体に関する考え方については、現在で
も19世紀にいるよいうだ。
記憶の範囲では、複数の科学的研究により、自然災害後、犠牲者の遺体は感染
症拡大に関しては、その増悪原因とはならないことが示されている。脅威とな
るのは、災害に付帯する状況(安全な飲料水の欠乏、生存者での衛生管理の欠如、
その他さまざまなものの欠乏)である。腐敗に伴う外観と臭いを別にすれば、災
害による犠牲者の遺体は害ではない。
遺体が腐敗している間に、(生前その個人が保有していた微生物を除き)新たな微
生物が発生することはない。公衆衛生への真の脅威は、生きている人々が生み
出す。生存者の一部は病原体を拡散させ、自らが保有する病原体の拡大を助長
する状況をさらに悪化させる。
したがって、公衆衛生学的観点からの最優先課題は、すべての遺体を迅速に埋
葬することではなくて、飲料水の安全性を再確保することである。事実、被害
を受けた諸国の多くにとっては、それ(最優先課題)は「復興」ではなく、安全な
水源の確立である。また、ベクター対策、廃棄物処理、衛生教育のような環境
問題にも注意を払うことが重要である。
[Moderator注:国際感染症学会の出版物「病院内での感染制御ガイド」には、「ヒ
トの死体からの感染危険性」(T.D. Healingら著)の章がある。
その一部抜粋。「一定の時間腐敗の進んだ遺体は、感染源となる危険性はほとん
どない。遺体に存在している可能性が高い微生物は、遺体そのものの細菌叢と
水中や環境中に常在する微生物である。」]



 東京都監察医務院でも「腐った遺体は安全」としてきました。
最も危険なのは「死にたて」です。
1晩経過した遺体では「ウイルス力価も下がり」、簡単には感染しません。
ましてや細菌では、解剖でもしない限りはなかなか感染しません。
常在細菌叢は異所性感染は起こしますが、病原性細菌ではありません。
これが判らない人達は「遺体は危険」と言います。
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