技術者からの災害支援ブログ

被災された皆様にお見舞い申し上げます。
青年技術士交流実行委員会は、技術者の立場から、役に立つ情報を考えて発信します。

震災時にはワンセグがおすすめ

2012-03-25 | 情報工学
震災から1年が経ちました。
震災被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

さて先日、テレビの街灯インタビューで「震災対策にスマートフォンを買った。」という方がいらっしゃいました。震災時にインターネットが役立った、という断片的な情報から、スマートフォンが役立つ、と思われたのでしょう。しかし震災対策という意味では、誤解があるようです。

スマートフォンではインターネットの様々なサービスが利用できます。しかし、それは携帯電話の電話網が正常である、というのが前提です。震災時にはクラウド上に分散配置してあるサーバは被害が少なかったのは事実です。ですが東日本大震災のときには、携帯電話やスマートフォンからのネット接続がつながりにくい期間が長期間続きました。

そこで活用してもらいたいのが携帯電話やスマートフォンにもついているワンセグです。ワンセグは仕組み的には単なるTV受信機ですから、多数の人が視聴しても全く問題ありません。(エリアが狭いという問題点がありますが…)

ラジオも同様です。インターネットラジオのアプリより普通のラジオの方がインフラに優しいです。

ローテクと思われるかもしれませんが、今一度、再考してみてください。

宮城県内災害廃棄物の状況

2011-04-11 | 衛生工学(廃棄物処理等)
2011年4月10-11日で宮城県の海側(仙台市、石巻市、東松島市、松島町)と山側(多賀城市、大和町)をまわってきました。
主な目的は震災廃棄物の発生状況、処理状況の調査です。

震災廃棄物は原則は一般廃棄物(法律上、産業廃棄物に規定されていないから)であり、市町村に処理責任があるとされています。
今回の震災においては、あまりの被害の大きさから、国は撤去費用の97.5%まで国が負担することで検討が進められています。
しかし、実質的な処理はやはり市町村任せであり、被害の度合いにより、処理状況が異なります。

【仙台市】
1.仙台市内においては家庭ごみ(生ごみ等)は通常収集されており、缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類等の資源物もほぼ通常通り収集されている。
2.仙台市においては、仮置き場が4か所整備され、うち若林区にはメッシュシートで囲われた仮置き場が整備されており、分別もきちんとされています。(大型家具・自転車、家電リサイクル対象品、小物家電、畳、木材等可燃物、等)
3.数千台以上の廃車となった車も仙台港近くに集められ、整然と置かれていた。
4.焼却施設は損傷は受けているものの、稼働している。

【石巻市】
1.石巻市においては、燃やせるゴミの収集は多くの地区で行われている状況であるものの、燃やせないごみ、資源ごみの回収は行われていない。
2.仮置き場は2か所設置されている。
3.道路脇、河川敷に家具、家電などの家財ごみ、ビニール袋に入れられたごみなどが積み上げられていた。
4.市街地の道路は渋滞がひどく、収集作業に支障が出ると考えられる。
5.石巻市の焼却施設が海沿いにあり、現在稼働停止中である。収集車も流された。

宮城県内においては災害廃棄物の発生量は約1600万トンと試算されており、約18年間分の一般廃棄物に相当します。
各市町村の一般廃棄物の処理施設だけではもちろん対応しきれません。
産業廃棄物処理業者、県外の処理施設等にも協力を仰ぎ始めていますが、まだまだ時間はかかりそうです。

参考 阪神・淡路大震災 下水道

2011-04-01 | 上下水道
兵庫県下8市で18箇所の下水処理場が被害を受けた。
処理場、ポンプ場の被害形態として共通しているのは、流入渠、放流渠、送水管の構造物への取り付け部での被害、沈砂池のクラックなどである。
また下水道管渠には、マンホールのズレ、管路の破損・閉塞、土砂の流入などが生じ、管渠の被害件数は約2万3千箇所に及んだ。
震災後各所の避難所で仮設トイレ設置の遅れ、し尿の処分が問題となった。
被災地域は下水道整備が進んだ地域であるが、多くの地域で断水となったため水洗トイレが利用できず、仮設トイレの設置が求められた。
神戸市の例では、ピーク時避難所を含む546箇所に3012基の仮設トイレを設置している。
種々の混乱のためし尿の計画的収集が早期にできなかったことで、非水洗、汲み取り式の仮設トイレに対する苦情も多かった。

参考 阪神・淡路大震災 上水道

2011-04-01 | 上下水道
施設のうち特に被害の大きかったのは配水管、給水管であった。
導水管、配水管等で多く用いられているダクタイル鋳鉄管では一般継手に抜け出しが多発したが、メカニカル耐震継手では被害はなかった。
水道網末端にあたる給水管では多く硬質ビニル管が使用されているが、変位に追従できず管体部、継手部で多数箇所破損した。
地震発生の直後、兵庫県下の10市7町の戸数の90%にあたる126万6千戸で断水した。
地震による被害の多かったシステム末端の給水管は、地中埋設であり復旧が長引いた。また震度7地域において消火栓の大半が使用不能になったため、消火活動は困難をきわめた。
神戸市長田区の火災発生地域をみると、ここに管路被害が集中していたことがわかる。
断水の間、飲料水は、ペットボトルで入手でき給水車などの救援もあり何とか間に合ったが、問題はトイレ、洗面、洗濯などの生活用水の確保であった。
プールの水、川の水、井戸水なども利用された。ある被災地域の調査では、ライフラインの停止中に最も困ったものとしてトイレ洗浄水があげられている。

参考 阪神・淡路大震災 都市ガス施設

2011-04-01 | 建設
ガス製造所、高圧導管には被害がなかった。
中圧導管での被害はドレッサー継手等の緩み漏れが大半であるが、導管本体の溶接部で1962年以前に施工の非裏波溶接に破損を生じた。
低圧導管については、約2万6千箇所で被害を生じた。被害の大半は各家庭への引込み管(供給管)、屋内管で発生しており、ねじ継手に集中している。
耐震メカニカル継手はねじ継手と比較すると、被害率が1桁以上小さかった。現在導入促進中のポリエチレン管については被害がなかった。
地震発生後時間の経過とともにガス漏れ通報が殺到し、十分な個別対応が困難と判断されたため、地震発生6時間後の午前11時半から当日夕方までに、神戸市、西宮市など被害の大きかった5箇所のブロックで供給遮断が行われた。
このため約86万戸が供給停止となった。地震による被害の多かったシステム末端の低圧導管は、地中埋設であり復旧が長引いた。
ガス停止中の代替熱源としてカセットガスこんろが利用された。
また早期に復旧した電気により、電熱器、電子レンジ、などの電気機器が利用された。