A&Pの☆お宿千夜一夜

美味と心地よい宿を求め、各地をむしゃむしゃ修行中!

タルト・タタン 失敗は成功のもと

2012-10-30 15:00:00 | アラカルト
10年位前ですが、フランス旅行中に、HOTEL TATIN (オテル・タタン)のある

ラモット・ブーヴロン(Lamotte-Beuvron)の町を通りました。

タルト・タタンは由来がはっきりしたお菓子。

ウィキをベースにまとめました。

定義

タルト・タタン (Tarte Tatin) とは、バターと砂糖でいためた(キャラメリゼ)

リンゴをしいて焼いたフランス菓子。

ひっくり返してリンゴの部分を上にします。

タルト・タタンの誕生

タルト・タタンを最初に作ったのは、パリ南方にあるラモット・ブーヴロン

(現在のロワール=エ=シェール県にある町)のホテル『タタン』において。

タルト・タタンの故郷

タルト・タタン発祥の地であるラモット・ブーヴロンのあるソローニュ地方は、

フランス中央部、豊かな平野を川が潤し、野菜、果物、花、穀物の栽培が

盛んで「フランスの庭」、「フランスの穀倉」とも言われています。

古城が多いことで有名なロワール河とシェール河にはさまれた森林地帯

は、その深い森の中には小さな湖が点在し、昔から狩猟が盛んな地域

としても知られています。

秋のシーズンには、都会からも多くのハンターたちがやってきます。

誕生は19世紀後半

今でも人口わずか4000人の小さな町の駅前にある「ホテル・タタン」を

1881年に継いだのが、姉ステファニー Stephanie Tatin(1838~1917)、

妹のカロリーヌ Caroline Tatin(1847~1911)のタタン姉妹。

カロリーヌは「ソローニュの女王様」というあだ名をつけられているほどの

人気者。

美しく、誰に対しても親切で、世話好きだったので、レストランでは給仕の係を

していました。

姉のステファニーは、料理を担当していて、朝早くから夜遅くまで、かまどの

前で忙しく動いている働き者で、料理の達人でした。

そのステファニーが、ある時うっかり作り方を間違えてしまったタルトを仕方

なくレストランのお客に出したところ、皆がこの新しい味のタルトを絶賛。

町じゅうの話題になったことが始まりでした。

・有力な説によると、タルト・タタンを作ったのは、調理のほとんどを担当して

いたステファニーで、彼女はある日余分な仕事をした。

彼女は、伝統的なアップルパイを作り始めたが、リンゴをバターと砂糖で炒めて

いたところ、長く炒めすぎてしまった。

焦げるような匂いがしてきたので、ステファニーは失敗を何とか取り返そうと、

リンゴの入ったフライパンの上にタルト生地をのせ、そのままフライパンごと

オーブンへ入れた。

焼けた頃にフライパンを出してひっくり返してみると、ホテルの客に出しても

良いようなデザートができあがっていた。

・他に「タルト・タタン協会」による異説があり、ステファニーが砂糖で焦が

したリンゴタルトを間違ってひっくり返してしまったという。

どちらにしろ、ステファニーはオーブンから温かいままかつてない一品を客に

出し、新たな伝統菓子が誕生したのである。

2人の死後にパリで紹介される

タルト・タタンはホテル・タタンの看板菓子となり、作り方はソローニュ地方

に広まりました。

カロリーヌは1911年に64歳で、ステファニーは1917年に79歳で亡く

なりましたが、1926年に美食家で有名なキュルノンスキー (Curnonnsky)が、

オテル・タタンを訪れ、タルト・タタンという名で初めてパリに紹介。

パリで初めてデザートとして出したのは、レストラン「マキシム」。

経営者ルイ・ヴォーダブルが実際にソローニュへ来てタルトを賞味、めでたく

タルト・タタンは店の固定メニューに加えられました。

「タルト・タタン協会」

ソローニュ地方には、タルト・タタンのファンクラブがあり、会合の新聞記事には、

胸にタルト・タタンを型どった勲章をつけた男性メンバー達の写真が出ています。

会食の時に使われたというメニューはタルト・タタンの形。

・タルト・タタンは、形の整ったリンゴ菓子でなければならない。

・いためたリンゴがピュレ状になってはならない。

北アメリカでは、タルト・タタンは、アメリカン・スタイルのアップルパイに

使われることのないゴールデン・デリシャス種のリンゴを使った物が典型的と

されている。

種類

タルト・タタンは洋ナシ、桃、アプリコット、パイナップル、トマト、タマネギ

などの野菜や果物で作られることがある。

名前

普通のタルトはタルト生地の上に果物をのせて焼きますが、タルト・タタンは

リンゴとバター、砂糖を先に焼き、上から生地をかぶせて、最後にひっくり返

してできあがります。

英語ではアップサイド ダウン アップル タルトと言います。

丸い型の中にりんごなどを先に入れ、その上にタルト生地をのせて焼き、最後に

お皿の上にひっくりかえして供すという作り方は、フランス菓子の中でも独特

のもので、フランスでは別名タルト・ランヴェルセ

(Tarte renversee=逆さまのタルト)と呼んでいます。

ただ、タルトを焼いている時に誤ってひっくり返してしまったと言われています

が、このように普通と逆に焼くタルトはソローニュからオルレアネ地方一帯に

昔から伝わっているようです。

現代におけるタルト・タタン

一般家庭でも比較的簡単に作る事ができる洋菓子として、レシピが多数あります。

食べ方

フランスでは、CreamFraicheというちょっと濃い甘みのない生クリームやアイス

を添えることも。

現存するホテル・タタン

「ホテル・タタン」は経営者は変わっていますが、今でもあります。

ホームページにはホテルの様子ばかりでなく、タルトの歴史、さらにはタタン

姉妹の顔写真まで出ています。

サロンの窓際には、タタン姉妹が使っていたというかまどが置かれています。

白地に青のタイル張り、上に黒い銅板の蓋がついています。

当時は、この上に蓋付きの銅の型を置いて、タルト・タタンを作っていたそう

です。

ホテルの客室にはタルト・タタンにまつわる資料が置かれていて、その誕生から、

作り方、提供の仕方まで、まとめられています。

~タルト・タタンの誕生~
その昔、19世紀の終わり、ラモット=ブヴロン駅の前に客足の絶えないホテル
を経営しているそのホテルには猟師、気難しい人や食道楽達がたくさん集まり、
タタン姉妹の作り出す無尽蔵の料理を高く評価していた。

ある狩猟解禁日の日曜日、猟を終えた客でにぎわう食堂で、おしゃべりなお客
にステファニーは長い時間対応していた。
その後、急いで忙しい厨房へ戻るとステファニーは大層取り乱した。
なんとデセールを作り忘れていたのである。
剥いてあったりんごに気付いたステファニーは、バターと砂糖を型にすばやく
入れ、りんごを詰めてオーブンに放り込んだ。

ひとしきり落ち着いた彼女はこの後どうしようか考えた。
今自分が作ったものは、もはやタルトでもなければ焼きりんごでもない。
りんごには火が入り始め、辺りにはキャラメルのにおいが立ち込めている。
猟師たちにデセールを提供する時間はもうすぐである。
作り直すには遅すぎる。
そこで彼女は少量の生地を伸ばし、りんごの上にのせ、再びオーブンに入れた
のである。
提供する時、どうすればこれは美味しそうに見えるのだろう、とステファニー
はためらった。
しかしその時、ある考えが突然彼女に浮かんだ。
彼女は一枚の大皿を取り出し、型の上にかぶせ、丸ごとひっくり返したのだ。
そこで目にしたものは…とても見事な、芳香のある、美味しそうなもので
あったのだ。
彼女はオーブンから出したての温かい状態で猟師に提供した。
彼らはそれを存分に味わい、感嘆の声を上げた。
こうしてタルト・タタンは誕生したのである。

1926年にはパリで『タルト・デ・ドゥモワゼル・タタンtarte des demoiselles Tatin
(タタン姉妹のタルト)』と紹介し、有名になったのである。

タルト・タタンの作り方

★準備するもの
・高さの十分にある型、マンケ型
・良質のバター
・砂糖
・薄く伸ばしたパート・ブリゼ
・りんご:作りやすい品種はゴールデン、レネット種、またはクロシャール種。
皮を剥き、種を取り、大きな角切りにしておく。

★作り方
・型の側面と底にたっぷりとバターを塗る。
・砂糖を全体に一層振り入れる。
・その上にりんごをきっちりと詰めて並べる。
・型の内側内径いっぱいに伸ばした生地で蓋をする。
・熱いオーブンに入れて25~40分焼成する。この時間はオーブン、りんごの種類、
生地の厚さによって変わる。しっかりキャラメリゼしたい場合は、生地をのせる
前に高温のオーブンでりんごをキャラメリゼし、その後生地をのせる。

★タルト・タタンの提供の仕方
・オーブンから出したら、粗熱を取り、型から抜きやすくするために包丁を周り
に1周入れる。
・提供する皿を型にかぶせ、勢いよくひっくり返す。
・タルト・タタンが熱い、もしくは温かい状態で提供しなければならない。
・追加するものとして、生クリーム、コンフィチュール(ジャム)、提供時に
フランベ用アルコールなどが挙げられるが、これらはタルト・タタンの持つ独特
の味わいを変化させてしまうため、禁止している。
なお、前もって作っておいたタルト・タタンは柔らかい火のオーブンで温め直し
てから提供する。
・レストランのメニューにタルト・タタンとあって、もしもジャムがかかって
いたり、アルコールでフランベされていれば、それは名称の乱用であるので注意
しなければならない。
・タルト・タタンはバターと上等なりんごの価値を証明する贅沢なデザートである。
作り方はいくぶん変わり得るが、パティシエや料理人、主婦は、りんごとバター
と砂糖と生地だけできちんと作って、タルト・タタンの本来の味わいをこれからも
大事にしてほしい。


尚、ホテル・タタンでは添え物をせずに、りんご、バター、砂糖、生地だけの味
を味わって欲しいということです。

ラモット・ブーヴロンのタルト・タタン

まず町の入口の看板がタルト・タタンです。

当然、町にはタルト・タタンを提供する店が多数あり、毎年9月の不特定日曜日

に行われる定期市の中の一環として、タルト・タタンコンクールも開催。

この場合は、りんごの種類等、必ずしもレシピに忠実でなくても良いようです。

過去の優勝店でも、りんごはガラ種を使用するけれど、旬が短いので、ガラの後

にはゴールデンを使うらしいし、年中ゴールデンを使用する店もあります。

レネット種(酸味が強い品種)は酸味が強いのであまり使用されず、ゴールデン

は通年市場にあるものだから手に入りやすいと言うのが理由。

失敗から生まれたタルト・タタンは、今でもラモット・ブーヴロンの名物として、

ホテル・タタンのレストランで、タタン姉妹のレシピに忠実に焼かれています。

結論 失敗は成功のもと

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 京都 岡崎 ラ・ヴァチュー... | トップ | 岡崎~東山~祇園散策  一... »
最新の画像もっと見る

アラカルト」カテゴリの最新記事