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「世界同時株安」についてのメモ

株価は今日(3月5日)も大きく下げています。今回の「世界同時株安」について、私は、商売柄、原稿を書いたり、コメントしたり、ということが複数あります。同じ事は、なるべく書きたくはありませんが、あちらこちらに話が散らかっているので、現時点までに思いついたことを幾つかメモしておきます。

(1)今日配信のJMMにも書きましたが、日銀は(岩田副総裁を除く8人の政策委員は)、動きが急であることにドキドキしつつも、この株価暴落に満足でしょう。インフレ率がほぼゼロ、失業率が4%、GDPは均すと約2%くらい、という時に、利上げを急ぐ理由は、「円キャリー取引拡大を抑制すると共に資産価格を抑える」といった目的以外にはあり得ません。資産価格は、株価で見る限り、「安くはないが正常の範囲」でしたし、物価がマイナスになってデフレ期待が再台頭するリスクを冒してまで、利上げすることは不適切だった、というのが、2月の利上げに対する私の評価です。金融政策は、物価・景気・資産価格それぞれに影響するのは事実なので、資産市場にも目配りすることがあっていいとは思いますが、今回は、「物価」の方を重視すべきだったのではないでしょうか。(詳しくは、今日配信のJMMをご一読下さい)

(2)同時株安の発生に当たっては、上海は「気づき」のきっかけであって、米・日に対する(特に米に対する)それまでの異常な楽観の修正が起こったことが大きかったと思います。「上海市場で円キャリー取引の巻き戻しが起こった」というような乱暴な解説もありましたが、上海は地元の個人投資家中心の市場ですし、この説明には無理があったと思います。

(3)コメントといえば、拙宅に配達される新聞6紙をチェックしたところ、28日の夕刊と翌日の朝刊、4紙にコメントしているさるエコノミスト(日系証券です)は、4紙全てでバラバラなコメントをしていました。あまりに面白いので、「週刊ダイヤモンド」のコラムに書きました(再来週初発売の号に掲載の順番)。よく分かっていないのに、職業上コメントしてしまったのでしょうが、「ああならないように、気をつけねば」と思ったことでありました。もっとも、投資家は、彼のコメントも、私のコメントも、信じてはダメです。

(4)「投げ」の連鎖もあって、日本の株価は大きく下げていますが、基本的に、「世界の」という言葉は付きますが、株式市場内部で起こっていることにすぎません。東証一部は、PERでざっと20倍、つまり益利回りが5%なら、成長率を2%として、年率7%程度の「期待リターン」を持てる株価水準であり、これは、1.6%台の長期金利に対して、5%以上の余裕があります。「高すぎる株価の下でのショック」ということではないので、普通の投資家は、持ち株を売る必要はないでしょうし、むしろ、買いたかった株が値下がりしていれば買うチャンスを提供してくれたと考えていい可能性が大きいと思います(責任は持ちませんが)。

(5)「円キャリーの巻き戻し」が起きるのであれば、これは、アンインフォメーショナル(情報に基づくのではない)「売り」ですから、理屈上は、益々買いのチャンスです。まだ本格的には起こっていない感じですが、楽しみにしましょう(!)。但し、円高の影響は考える必要があるので、自動車・電気・精密といったこれまで元気だった輸出企業はイマイチかも知れません。

(6)この暴落は予想できたか?と言われると、「いつとは分からないが、なんとなく、そんな心配はあった」という気がしていました。23日金曜日の「とくダネ!」で、1万8千円に乗せた株価についてコメントを求められて、「波乱の可能性も」とフリップに書いて、ネガティブな材料を並べたコメントをしましたが、勿論、翌週にこんなに下がると思っていたわけではありません。尚、「とくダネ!」はなかなか懐の深い番組で、コメントには、「私も含めて、こういうことにコメントする専門家の予想なんて当たりません」と「一番言いたいこと」を付け加えることができました。ただ、日銀の利上げに対して、このネガティブな可能性を敢えて無視するように株価が上がったことや、方々の雑誌から株式投資入門特集の取材依頼があったので、何やら気配が浮ついている、という嫌な感じはありました。

(新聞社系の某誌からは、「株価はまだまだ強いという前提で、株式投資のガイダンスを」という依頼がありましたが、そんな前提を決めつけて話を聞きに来るのは失礼だし、その前提でいい加減なコメンテーターと一緒に(4人並べる予定だったそうです)載るのは商売上もマイナスだろうと判断して、この取材は断りました。)
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コメント
 
 
 
浮かれすぎの是正 (さむ)
2007-03-05 17:22:33
私が米国株式のFMをしている時にブラックマンデーを経験しました。それと比べれば小幅の調整ですし、この程度でとやかく心配するなら株式投資は止めたほうがよいのではないでしょうか?5%程度の調整は株式市場では普通だと思います。

高利回りの海外公益株に投資して毎月分配をするという投信の本来の目的から外れたピクテのファンドが2兆円もの資金を集めるのは異常なことと思っていました。さらに、2兆円を40から50銘柄に投資すると言う信じられないファンドです。このファンドの受益者は株安、円高、信託報酬のトリプルパンチを受けて、初めて投信の怖さを知るのでしょうか?

この調整がどこまで行くのか分かりませんが(山崎さんの書く通り益利回りからすればホールドか買い増しでいいのではないでしょうか?)、浮かれすぎの投資家と販売会社にいい警鐘を鳴らしたと思います。

ただ、厚生年金基金に弊社も加入しているので、年度末近くのこの下落は基金にとって厳しいですね。
 
 
 
書き忘れました (さむ)
2007-03-05 17:29:21
米国では 「Don't fight against FRB 」と言う言葉があります。FRBが利上げをする時は株式比率を引き下げるか、警戒スタンスに変更したほうが良い、と言う意味でした。私は株式ファンドの運用でしたので組入れ比率を下げられないので、ディフェンシブな銘柄の比率を引き上げ、ベータ値を引き下げる等の変更をしました。
日本は理屈の通らない市場とよく言われますが、利上げ後に株価が上昇を続けるのは、はしゃぎすぎだと思っていました。
 
 
 
連続株安に関して (心の灯火)
2007-03-05 21:16:55
ブラックマンデーならぬブラックウェンズデーとなってしまったようですが、後から冷静に見ると日本の経済の弱さがここに出たような気がします。

専門家でもないしましてや関連する仕事ではありませんが、私の目からは中国にしても日本にしても金融経済の未熟さを感じずに入られません。企業業績はそれほど悪くはないと思うのですが…

山崎先生のコメントにあったとおり、今こそ購入するチャンスであると虎視眈々と狙っております。人と同じ事をしてはだめだということでしょうね。

しかし今回のことは学ぶべきことが多いのではないでしょうか(特に個人投資家にです)
 
 
 
インサイダーは誰? (デカルト)
2007-03-05 23:02:02
はじめまして。突然ですが、教えてください。

先週火曜日までの多額の外人買いは、一体、なんだったのでしょう?
誰が仕組んだのですか?

なんでも中国のせいにするメディアの態度は許せません。
 
 
 
Unknown (Dialectician)
2007-03-06 00:05:39
私も中国のせいではないと思います。
メディアの、特に金融市場関係の言辞はとりわけいい加減なので、いまどき誰も逐一信用はしていないでしょうから、(逆説的ながら)見逃してあげてください。『ダウ7ヶ月連続陽線あり得ないみたいな』話を手前ブログに、暴落二日前に投稿しました。お暇があったら是非どうぞ。

それにしてもこのまま行けば5月の(生臭くて残されていた商法改正部分)三角合併がオッケーになるタイミングで、十分に手頃になった円と株価でオイシイことになる外資という構図もあります。
 
 
 
これからの牽引は (はづき@ナツキ)
2007-03-06 01:18:39
もちろん18,000円をつけたところでこういうタイミングは皆さんわかっていたでしょう。
ただ、これから立ち直るときの牽引役は資源だけではなく、商社のような気がするのですがいかがですか?
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-06 01:55:56
>さむ様

下げ方向に勢いらしきものが見られますが、これは、今までの、ある種脳天気な上げ方の反動なのでしょう。

FRB/日銀と喧嘩をしてはいけない、ということは分かるのですが、二回目の利上げでこれだけ崩れるとは、ちょっと早いですね。

>心の灯火さま

確かに、市場と経済の両方がなにやら脆弱ですが、投資家にとっては、チャンスが多いということでもありますね。

>デカルトさま

誰かが「仕組んだ」というところまでは、仮にそういうことがあっても、私にはよく分かりません。仕組みきれる相場でもなかったと思うのですが、仮に、誰か演出者がいるとしても、投資家にはあまり関係ない話ではないでしょうか。チャンスがあれば、買えばいいし、そうでなければ、見送ればいいと思います。

それにしても、「中国が悪い!」という論調のメディア(代表的には産経新聞ですね。あの汚い市場を何とか管理しなくては、という論調の記事を書いていました。日本だって、アメリカだって、たいしたことはないのに・・・)には、些か行き過ぎがあるように思いました。

>Dialecticianさま

今回の三角合併解禁は、アメリカの日本利用の集大成的な意味がありそうですね。ここまでくると、それほど美味しい案件が残っていそうな感じもしませんが、株価が下がると、また妙味が出来ます。

まあ、買われるものは買われてしまって、あとは「日本も普通の国になって、自分の国は自分で守りなさい」と突き放されるのでしょう。

「アジアは中国に任せる」といったニュアンスを感じます。

もっとも、対米・対中共に、もともと前の戦争に大敗したのだから、文句を言える筋合いでは無い、という気がします。仕方がありませんね。

>はづき@ナツキさま

いらっしゃいませ。

現状は景気拡大の後半局面ですから、常識的には、シクリカル(景気循環株)である素材関連やそのビジネスのウェイトが大きい商社よりも、ディフェンシブな銘柄を買いたいのですが、良さそうな銘柄の株価が結構高いので、ちょっとガッカリです。

実は、3月1日に、上方修正、増配、自社株買いなどで、鉄鋼株が買われましたが、このタイミングで買うものが鉄鋼では、先の夢がない、と失望していたところでした。
 
 
 
マジメだけでは生き残れそうにない (見たいけんゾーン)
2007-03-06 02:20:17
まあ、上海はどうみてもバブルやったし
今回の調整局面は当然といえば当然だろう。
2008年の北京オリンピック
2010年の上海万博、、、

このあと、かな~り、ヤバソー麺。
今回の瓦落(ガラ)程度では済まなそ。
どんな麺なんだよー、、、
せめて、神様~、饂飩か蕎麦程度で4649。
ラーメンにまで逝ってしまうと、まじヤバイ。
だって、「ラーメン」、「アーメン」、「ヒヤソウメン」。
ついでに「フリーメーソン」。
おいおい、「オーメン」の「666」
「ビースト」の登場だ、これではな。

それこそ、もしかすると
中国発、世界大不況ってことになるかもだな。

中国ってのは余りにデカイのだ。
米国発の1929年10月からの大不況と
比べてどうだろうね?

当時に比べれば、
情報伝達の速度はとてつもなく速く
その上、管理通貨制度になって
各国の監視は行き届いているはず。

しかし、時代の開闢は常に新しいもの。
なんか、とんでもなく「スリリング」な世界を見たいような
それを見てはいけないような
複雑な感覚から逃れ難いんですけど、、、

FXやっとけば、よかったぜ。
大笑いが止まらん向きも
結構多いのでは、今回の株の大暴落。
何のこたーねぇー、、、
株から為替、そして債券、
または、商品にでも、あっちゃこっちゃ
資金移動してるだけやん。

少しでも利回りのエエ方に瞬時にして
ゼニが動いてるんやね。
素晴らしきゼニの動きやん。
「オアシ」って、よー謂うたもんや。
今回の「オアシ」の速度は、「のぞみ」君程度かな?
たぶん、上海万博後のショックは、、、、
「ファントム」とかの「マッハ」やろな。
で、勝ち組は(「ワッハッハ」)×∞、、、なのかも知れんな。

まっ、俺には関係なさそうやけどな
「ワッハッハ」って大笑いってのわ。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-07 00:38:07
見たいけんゾーンさま

いらっしゃいませ。

上海がどれくらいのバブルだったのか、私は疎いのでよく分からないのですが、日米の株と為替にリスクが溜まっていたのは、何となく感じていました。

ゼニが動き回るというのは、ご指摘の通りで、それ自体がなかなか面白いゲームです。

ただ、マネーゲームをゲームとして楽しむためには、この損得と、日常の金銭感覚とを、別々に分けて両方を正気で扱う精神的工夫が必要です。(オッサンの医者が、白衣を着ているときには、女性のハダカを見ても、興奮しませんよ、と言っていたような感じでしょうか)

一つ手軽な方法は、ファンドマネジャーになって、他人のお金でゲームに参加することを仕事にしてしまうことですが、個人でも、適当な距離感でゲームを楽しむことは出来ると思います。

ただ、(1)ゲームの成果を他人に自慢したい人、(2)大きなお金があればゲームに勝ちやすくなると思う卑屈な性格の人、(3)プロは良い情報を持っている筈だと思いがちな他人を信じやすい人、の三種類の人は、相場ゲームには向かないので、女(男)でも酒でも政治でも、別の楽しみを見つけるべきでしょう。
 
 
 
こんテーマとは関係ないっすけど (見たいけんゾーン)
2007-03-07 01:58:16
山崎元さん

早速のご返答、
おおきに、です。

山崎はんは、
どうも大阪人がお嫌いのようですが
大阪人にもいろいろおりますけん。
あんまし、嫌わんでくださいな。
たしかに、アクの強いのは多いやろう~と思う。

その昔(たぶん第一次&第二次石油ショックの頃)、、、
大阪の商売人が
電車の中で何気ない会話を「関西弁」でしてたところ
周りの人たちが「白目」を剥いたなんてこともあったようですわ~

吉本興業には、ある種の感謝があるかもしれない。
だって、今や関西弁は標準語並みの認知をされたからね。
でも、あれは、「ヨシモト弁」やねん。

実は、「細腕繁盛記」なんかに出てきた
「久宝寺」界隈=「船場」(センバ)言葉こそ
大阪弁の真骨頂なんですわ。

関西云うても、ひろーございますけん
一概にこういうもんやって規定できまへんな。

浪速っ子のいいところは、「ぼんち」イズムかもしれん。
つまり、「ぼんぼん」や。
3代目ですべての資産を失うんや。

1代目は創業者。
2代目は、1代目の苦労した後ろ姿を見てるから
それなりに立ち居振る舞いを正して、親父を伝承するな。
でも、3代目になると、ほぼ「遊び人」と化す。
で、御仕舞いな家柄。

でもな、人形浄瑠璃とか、
そういう文化も御蔭で育ちましたがな。
丁度いいと思う、、、
こうやって「ぼんち」が傾城がごとく
家を潰しながら、文化創造に貢献や。
ゆぅーてみれば、「メッセ」でっせ、これはな、ほんまにな。

文化なんてもんは、無駄の集大成やないけ~?
文化、ぶんか、ブンカ、、、
叩けばどんな音がしますやら~

まあ、ええ加減でっせ、、、

こういう感覚ってのは、東京人には耐えられないのかもしれんな。
あまりにエエコロやもんな、たしかに。

几帳面も大変やろ。
やり過ぎは、体に障るで~

まあ、山崎はんに於かれましても
あんまし無理せんように
今後とも、この分かりやすいブログ継続されることを
祈念いたす次第ですわな。

お元気で、お仕事、エエ塩梅にてですな。

ああ、余計なことをゆうてしまいました、御勘弁。





 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-07 02:25:01
見たいけんゾーンさま

ご教示、及び、暖かい励まし、どうもありがとうございます。

明日(といっても日付は今日ですが)は、京都に日帰り出張(講演の仕事です)なので、大阪の直ぐ近くまで行きますが、大阪までは参りません。

私は、食い意地が張っていますし、関西の料理には大いに敬意を抱いているので、今度、時間を作って、主にタベモノを求めて、大阪を訪ねてみたいと思っています。
 
 
 
2020年のシナリオ (snowbees)
2007-03-07 16:21:48
<ジョセフ・ナイ教授による予測>
3つ目は、米国の政策。世界最強の軍事力を持つ米国が、どのような姿勢で中国とイスラム教国に臨むかで、これらの国々の安定性は大きく影響を受ける。

 換言すれば、日本、欧州、ロシアは老齢化が進むから、影響力は小さいということである。
 しかも、日欧露の利害は相反することが多いから、同盟化もあり得ない。従って、世界を動かす大きな力にはなり得ない訳だ。
http://www.ksg.harvard.edu/ksgnews/Features/opeds/021607_nye.html
UNQUOTEアメリカ人らしい見方ですが、理解・賛成できる部分もあります。

 
 
 
Unknown (とりさん)
2007-03-08 19:48:39
>新聞社系の某誌からは、「株価はまだまだ強いという前提で、株式投資のガイダンスを」という依頼がありましたが

微笑ましい依頼ですね。そういう依頼を受ける人がいるのだろうマスコミが依頼すること自体が、まだ買いではないかな?と思っています。
今回の下げ(マスコミは暴落と言ってますが)は、ちょっと前に見慣れている水準に戻っただけですから、買う気が今一しません。
でもマスコミが暴落と言ってますので、ちょっと買いました(笑。狼狽売りぽい銘柄があったので(結果的に違うかも知れませんが、自己責任&自己資金で買いました)。
下がるんだったらもっと気合い入れて下げて欲しいもんです。変な楽観論が強いのでもう一段下げてくれると嬉しいです。
世界同時株安とか平気で言えるマスコミの方が、相場から一番遠い人なんだなぁ、と改めて理解できたいい出来事でした。
 
 
 
教えて下さい (おバカさん)
2007-03-09 12:59:21
今回の日銀による利上げの適否については、様々な意見があるようですが、経済にうとい私(最近の10年で株と債権投資で年利回り5%位の実績)としては、

1)0.25パーセントを0.5パーセントに引き上げるのは、二倍といっても、2パーセントを4パーセントにとかのレベルでなく、目糞鼻糞のレベルではないか、その位の金利上昇に耐えられない日本企業は、どんな企業なのか?

2)金利が低ければ相対的に需要が強くなり供給が弱くなり(インフレへ向けてバイアス)、金利が高くなれば相対的に需要が弱くなり供給が強くなる(デフレへ向けてバイアス)という想定は、今の日本では現実的でなく、金利を変化させることの「目的」は何なのか、金利について議論する際に、前提として、明瞭にする必要があるんじゃないか?

と、おバカさんながら感じて(考えているレベルでは到底ない)います。何かコメント頂けるなら、有難いです。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-09 13:23:15
「教えて下さい」の方へ

カキコミありがとうございます。

確かに、0.25%→0.5%の変化が、個人の行動や市井の会社の活動に大きな影響を与えるとは思えませんが、資産市場で活動するプロの資金コストや採算意識には大いに影響しますし(たとえば為替の先物レートはただちに変化します)、今後も利上げが続く、という予想(経済学者は「期待」という言葉を使いますね)に与える影響も小さくないはずです。

今回の利上げについては、物価なのか、景気なのか、資産価格(市場)なのか、何をどうすることが目的だったのか、ということについて、適切に説明されていないことは問題だと思います。

単に「フォワードルッキング」な政策決定なのだ、と言われても困りますね。

私の意見は、詳しくは今週配信のJMMに書きましたが、資産価格に影響を与えることが目的だったのだろうが(それは、ある種劇的に達成された)、現時点での利上げは適切ではなかったのではないか、物価の方を重視すべきではなかったか、というものです。
 
 
 
福井も運用以外の仕事がしたい (作業員)
2007-03-09 15:50:44
ひとつの説明として、「2パーぐらいに金利を上げておかないと、上げ下げ、の日銀の仕事ができない」というのがあるようです。とにかく、何もできない状態から抜け出して、場合によっては下げる、上げる、というノーマルあるいはニュートラルなポジションに一刻も早く復帰したい、というものですね。ただ、そういうある種の欲の実現、福井がやるのか、と思うと嫌な感じですね。山さんの福井叩きに、すっかり影響を受けております。

銀行窓口の多くはすでに、田原のツレのとこなんかの、優秀なハケンねーちゃんでしょう。郵便屋のバイトは、その辺のゆとり世代のアンチャンですね。郵便屋の質がさがっているのなら、奥谷の責任であり、トヨタ方式の失敗でしょう。失敗するのは当然で。なぜかというと、郵便配りという仕事は、まさに職人の仕事、その地域の住民のケツの穴のシワの数まで知っているのが、かつての郵便屋だったのです。正規職員が誤配について謝りに行っているあいだにも、次の誤配が生まれているでしょう。マルチな欲のある派遣会社の社長に、職人世界のカイゼンなど期待できないと、わしは思いますが。
 
 
 
有難うございます (おバカさん)
2007-03-09 16:07:53
丁寧に教えて頂いて、有難うございます。

資産市場に対して、例えば為替レートに対して、0.25から0.5パーセントへの利上げが大きい影響があり、今後の利上げを示唆して円安に抵抗するサインになるとするなら、そのような意思表明を強く行なうこと(0.25から0.5パーセントへの利上げが強いサインになるとは、私は想像できません。市場関係者といわれる人達が、どのような時間軸の単位(月単位、年単位、5年単位、10年単位等々)で世界的に現象を理解し将来を予測しているのか、いつも腑に落ちませんが・・・)は、これからも続くと私は予想する資源価格の上昇(今は、小休止しているだけと私は思う)に伴う物価上昇の抑制となり、日本国民にはメリットがあるのではないかと思うのですが、物価がどうなれば好ましいのか(長期的に、また、短期的に)? 教えて頂ければ、有難いです。

私は単純に、長期的な物価安定も物価低下も歓迎なのですが。自分の給料が下がっても、物価もそれに応じて下がれば、それで良しです。



 
 
 
Unknown (Unknown)
2007-03-12 11:04:08
「「高すぎる株価の下でのショック」ということではないので、普通の投資家は、持ち株を売る必要はないでしょうし、むしろ、買いたかった株が値下がりしていれば買うチャンスを提供してくれたと考えていい可能性が大きいと思います(責任は持ちませんが)」

この言葉が、山崎先生の投資感を象徴していますね。まあ、どれだけ儲けたいのか、期待利幅の設定の仕方で違いますが・・・
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-12 12:42:29
Unkonwn様

「ぬるい」ですか?

現物の株を数銘柄から数十銘柄というような投資家がたとえば1万7千円で持ち株株を半分売って、1万5千円くらいで買い直すというのは、なかなか出来ることではありませんが、出来ても意外に儲からないことが多い。下手をすると、1万8千円で買い直すことになる・・・、というようなことを考えると、期待利幅にかかわらず、「持ち株を一時売る」という行為が儲けにつながりにくい可能性はあるな、ということです。

もちろん、バクチと割り切って、先物でプレイするような参加者とは別の、オーソドックスな投資家の話です。
 
 
 
外資は帰って来るの? (作業員)
2007-03-12 15:03:27
日経紙面などの解説によれば、ジンガイ売りのヤマトパンピー買い、なのですよね。ジンガイの売りをそっくり受けたパンピーは、利益確定ですぐに売る可能性も、と言われていますね。
上海の規模は、東京の五分の一、紐育の十五分の一、と聞きました。まだまだ影響力は小さい、と言われるものの、一兆ドルはでかいなあ、というのを正直思いました。参入者が増えることで株価が自然に上がっていくと考えて長期保有するのであれば、やっぱ上海とかなんじゃないか、と素人目には思います。
山さんの本など読ませてもらって、株なら、三千万ぐらい資金が欲しいなあ、ちゅうこと思いますね。ボートは百円ガケで一日遊べるので、パチンコのように一時間で数万円負けるような博打よりは健全です。株を持っているだけ、は博打ではないですね。楽しみに売り買いする余裕が、欲しいものです。

変わらないのは、円安傾向と海外との金利差ですか。まだ円キャリーは続きそうですね。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2007-03-13 00:59:49
ぬるいですねー ほんとに
山崎先生が、サラリーマンを続ける理由が分かったかも・・・「ちょとした小遣い」程度の稼ぎをしたい人達への投資指南なら、その程度で良いのかも・・・ でもその程度の投資指南でしっかり稼がれる逞しさは、見習わなくては・・・

それと、利上げがあっても、やっぱり「買い」のスタンスなんですね。わたしは、それなら、今回の日銀利上げは、正解だと思います。日銀、見事です。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-13 02:17:24
>作業員さま

円キャリーがどれくらい続くかというのは、スリルもあって、なかなか面白い問題ですね。見物のしがいがあります。

>unknownさま

うーん。判断として「買い」という訳ではないのですよ。私が考えているのは、確率と期待値を考えた場合に、たぶん、「売って→「買って」で儲けるのは難しいよ、という話です。

小遣い稼ぎでも、ヘッジファンド(←どうせ他人の金という感覚ですが)でも、「ぬるい」ぐらいが丁度いいこともありますよ。トレーディングコストに大差が無い以上、本質的には、資金の性格で、アドバイスが変わるものでもありません。

それに、「ちょっとした小遣い稼ぎ」の人(←そうバカにしたものでもありません)も運用のプロも判断力に大差はありません。後者は、他人のフンドシを上手に借りているだけです。

それで、貴兄(貴姉?)なら、どう考えて、どうされますか?
 
 
 
Unknown (Unknown)
2007-03-13 11:02:19
山崎さんの利上げ直後の以下の発言

「高すぎる株価の下でのショック」ということではないので、普通の投資家は、持ち株を売る必要はないでしょうし、むしろ、買いたかった株が値下がりしていれば買うチャンスを提供してくれたと考えていい可能性が大きいと思います。

これで、判断として、「買い」という訳ではないのですね。何が何だか分かりませんね。

利上げがあっても必ず持ち直すとの判断なら、それは、利上げによるデフレバイアスは克服可能との判断ではないのですか? 山崎さんは、一般論を述べておられるのでしょ?
 
 
 
Unknown (Unknown)
2007-03-13 11:23:15
大多数のプロ(他人のフンドシで相撲をとる人)の判断力は、投資信託の過去の大多数の運用実績或いは生命保険会社等の運用実績を見れば明瞭です。その程度で良いとのことなのか?

この先、儲けようとする人は、大変だろうなと思っています。お手並みを拝見させて頂きます。
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-13 14:20:24
Unknownさま

まあ、そう力まずに、判断の信頼性ということを考えてみて下さい。自分の判断として「やや売り」だと思っても、その判断の信頼性(たとえば的中確率)を考えると、悲しいかな、「動かない」が正解になる場合が多いのが、機関投資家の運用ゲームの実情です。

また、「利上げ」は資産価格にはマイナスですが、それだけで、経済や株価の先行きがきまるものでもないですね。

プロの判断力がたいしたことがないのはご指摘の通りですし、私も何度もそういうことは書いており、全く同意します。ただし、アマチュアが立派かというと、これも大したことはありません。

プロの世界でマーケット・タイマーが上手く行かないのは、理屈というよりも、経験的事実なので、ファンドマネジャーの資産配分はぐずぐずしたものになりがちですが、結局、これ以上が望みにくいなら、アマチュアも同様の行動様式を取るのが、傾向としては「得」になります。

評論家やストラテジストはハッキリ売り・買いを言わないと相手にされにくいので、「ぬるい」話で商売をするのは、ご指摘の通り難しいのですが、私の場合、価値感は、投資家にとって現実的に得な行動は何か、ということなので、時にはぬるーい話をしながらも、それこそ「逞しく」やっていこうと思っています(笑)。

それとも、この場合は、もっと冴えたアドバイスのしようがありますか?

何はともあれ、カキコミありがとうございます。
 
 
 
日本語読みとして (作業員)
2007-03-13 15:26:51
>海外の株安で「ふと我に帰った」(山さん)

この表現はよくわからんで。ジンガイ売りのヤマトパンピー買い、であるならば。我は、ジンガイ。我に返っていないのは、ヤマトパンピーでしょうか。
あと、投資感とか価値感とかいうのは、蕪屋用語か。
この時点で、どうも山さんは円高気配を感じておるのよね。たぶんアメリカ次第なんでしょうけど。
 
 
 
株価が強いという前提で (seisakuron)
2007-03-22 02:52:52
「株価はまだまだ強いという前提で、株式投資のガイダンスを」
そんなことが実際にあるのですね。

「この評論家が買い推奨をはじめたら売り」という部類の評論家にならないで下さいね
 
 
 
Unknown (山崎元)
2007-03-22 13:11:37
seisakuronさま

そう。実際に、あった話なのです(古くからある週刊誌で、です)。

「この評論家が買い推奨をはじめたら売り」ということがハッキリしていると、ある意味では「役に立つ」のですが、それはそれで、なかなか難しいですね(笑)。

もちろん、商売の都合で、意見を変えるような評論家はやらないつもりです(お金目当てなら、もっと効率の良い商売をしているでしょうし)。
 
 
 
無理のツケはもう直ぐ請求? (Unknown)
2007-06-12 15:25:27
ものすごい低金利を、主に物価の観点から正当化し続けたことのツケを払うのが、近づいたようです。

三点セット(金利、公共事業、減税)のいずれかしか、結局のところ「主要手段」として提示できないエコノミストと自称する或いは呼ばれる諸君は、これまでいつもそれらの副作用には無頓着の無責任体質ですが、既に初徴を見せ始めている低金利のこれまで日本が経験していない副作用の重大さを、予測できる筈はありませんね。
 
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