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インデックス投資ナイト

 昨日「インデックス投資ナイト」というインデックス投資を勉強・実践するブロガー達によるイベントに行ってきました。台場の舞台とスクリーンが用意されたカフェ的居酒屋(収容120人)が会場で、私は、パネルディスカッションに参加しました。
 有料ということもあって客足は大丈夫なのかと気になりましたが、チケットは前日に売り切れたそうで、出席率も上々で満席(一部立ち見?)でした。

 「インデックス投資家」とはどんな人達かというイメージはまだ完全に掴み切れてはいませんが、年齢層は30代、40代が極端に厚く、かつ、行儀のよい方々の集まりでした。開場の際には列が出来ていたそうですが、席の奥の方から順に詰めて座ってくれて手間が掛からなかったそうです。何れにせよ、株式の個別銘柄を話題にするセミナーに来る人々(たぶん、かぶり付きを含めて、思い思いの場所に着席するでしょう)とはかなりイメージが違う集まりだなあと思いました。

 インデックス投資という、ある意味では地味な話題でどれほど盛り上がるものかと半信半疑でしたが、出席者は、自分の知識を確認したいというモチベーションが強いようで、会場が満席ということもあって、熱気のあるイベントでした。

 私が登壇したのは前半のパネルディスカッションです。一日経っていますが、記憶を辿ると、以下のようなことを話しました。
(1)インデックスそのものが特別いいとは思わないがアクティブ運用の手数料が高すぎるので、安価な分散投資の手段としてインデックス運用に優位性がある。手数料が下がれば、アクティブ運用も楽しむ余地が出てくるし、インデックスそのものも、もっと多様であっていい。
(2)運用自体はアクティブ運用の方が楽なくらいなのだが(売買や事務処理はインデックス投資の方が面倒)、価値があるかどうか疑わしい内容(たとえばアナリストの分析)に対して、アクティブ運用は高い手数料を取っている。アクティブ・ファンドは宗教法人のようなビジネスモデルだ。
(3)バランスファンドには不賛成だ。理由は、コスト(信託報酬)が高いこと、資産配分を他人(専門家)に任せると運用内容が把握できないこと、販売側でも販売員がろくなアドバイスが出来ないのでバランス型が無難だという商品企画段階での「志」が賤しいこと、の三点。
(他のパネラーさん達から、「何もしないよりは、初心者にはいいのではないか」、「このごろはバランスファンドの手数料が下がった」といった指摘がありました。確かに、ここのところ信託報酬が低めのバランスファンドが幾つか出ています。「投資家側で、中身が分かっていて、手数料に納得できるならいいでしょう」というのが一応の妥協点で、会場からの質問にはそのような主旨で答えましたが、現実には三番目の理由が見え透いているので、特に債券の比率が大きいものについて好きにはなれません)
(4)相場的には、今年は、かつての日本の98年、99年のような感じ(不良債権の絶好の買い場だった)であり、株式についてもREITについても投資のチャンスを探せるのではないか。
(5)インデックス運用は規模の利益が強く働く分野であり、また運用会社としては自社のアクティブ運用との競合が悩ましい。日本では、インデックス運用で大きなプレゼンスを持つ運用会社がこれから登場する余地が十分あるのではないか。
(6)ネット証券の競争は厳しい。株式売買の次の収益の柱が十分育っていない。資産運用サービスが十分育てばいいが、前途は不透明。個人的な見解としては、10年後という意味ではトップのSBI以外どこがなくなっていてもおかしくないと思う(ネット証券はシェア・トップが有利な業態だ)。ただし、競争に敗れた会社も単純になくなるというのではなく、顧客は別の会社に引き継がれることになるはずだ。

 プレスも何社か入っていて、「何でも言える」という場ではないのですが、制約の範囲内ですが、なるべくホンネで話してみました(勿体ぶっても仕方がないので)。ただ、時間が短かったこともあり、バランス上私の発言量が多すぎたかも知れません(他のパネラーの皆さん、スミマセン)。
 客席とのやりとりもあり、特に、あるブロガーさんのネット証券三社に関するご指摘は参考になりました(ありがとうございます!)。

 会の後半には投信ブロガーによる「ファンド・オブ・ザ・イヤー2008」の発表がありました。ベストテンを10位から発表していく形式でしたが、信託報酬の安いファンドが評価される傾向が明確でした。
 大賞を受賞したのはSTAM(住信アセットマネジメント)のファンドでした。会場に来ていた同社の橋本マーケティング部長の受賞スピーチが非常に良くて、この日のハイライトでした。
 橋本氏は信託報酬が安いSTAMシリーズの産みの親ですが、資産配分を顧客に選んで欲しかったというシリーズの開発意図には大いに共感できます。住信の場合、年金運用マーケットでの蓄積がある一方で、リテールの投資信託ではこれから割合自由に発展方向を描くことが出来るので、STAMの今後は楽しみです。

 イベントには二次会があり(新橋駅近くの「坐・和民」)、30名以上の方が参加されました。ここでは、多くのインデックス投資家と話をし、名刺交換が出来ました。二次会でも、行儀のいい、気持ちのいい人達でした。

 ただ、投資に関しては、損をしているファンドの売却に躊躇のある方が多いようでした。これは、拙著(「超簡単 お金の運用法」朝日新書)の中でも心配したポイントですが、「あくまでも現状の値段で出来上がりの状態を基準に(ドライに)判断する」という原則の実行には、心理的な抵抗が大きいようです。
 
 名刺交換した方の中には何人かブログ名とハンドルネームの名刺があり、目新しい感じがしました。こうした形で「別人格」を持つのも楽しそうだなあ、と少し羨ましく思いました。
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