一つの致命的なミスがゲームの行方を決定付け、残り時間を消化するだけの時間にしてしまった。後半7分、自陣ゴールの近くで湘南・ニヴァウドが犯したミスパス(あるいはクリア?)から生まれた先制点こそが、この試合の勝敗を決めたと思います。
神奈川ダービーだからか、それとも招待券をバラ撒いたのか、良く分りませんが今日の平塚は何故か客が多かった。周りのお客さんを見ていると普段のJ2とは違って、一見さんといった雰囲気の人も割と多く見受けられたので、やっぱり招待券を撒いていたのかと思いましたが、いずれにしてもビックリでした。多分観衆4000人程度だと予想していたので、いい意味で期待を裏切られた。
前半から湘南の出足の良さが目に付きました。中盤でプレスをかけて奪ったボールを素早く前線に運んでいく。チーム全体が積極的なプレーをしていましたが、なかなか先取点が奪えず。それでも湘南の横山・石原のツートップは思い切りがあってよかったです。またこの試合で個人的には二人の選手に注目していたんですが、そのうちの一人、中町はセンスを感じさせるパスやドリブルで、キラリと光るプレーを見せてくれました。またこの選手は守備も巧いので、対面のアウグストとの1対1で綺麗にボールを掻っ攫うなど、好プレーを披露していました。願わくば右サイドではなく、ボランチで使ってほしかったなという印象。ただアウグスト対策ということを考えれば、右ハーフでの起用も納得は出来ますが。
対する横浜の方は、前半は風上に立ったものの攻撃的には行かず、ひたすら中盤を省略して前線にロングパスを入れる展開に終始していました。1ヶ月前に仙台戦を見た時は、もっとバランスよくサッカーしていて、守る時はしっかり守るけれど、攻める時はある程度人数をかけて攻撃していたので、それと比べると今日はリスクを避ける戦いをしている印象を受けました。
そして後半7分の先制点。これが全てだったかなと思います。この時点で試合終了という感じでした。1点取った後の横浜は、前半の中盤省略サッカーが嘘のように、中盤で繋ぎながらボランチが積極的に前に絡むようになって来ました。対する湘南は暑い中で前半飛ばした事もあってか、ややペースダウン。ただそれ以上に感じたのは逆転できるメンタリティーがないなあという事。
西ヶ丘のヴェルディ戦の時も感じましたが、失点すると勝てそうな雰囲気が消え去っていき、何となくダメだなあという感じになるんです。案の定、パスは回すんだけど、横浜が後ろを固めているから、前に行けず後ろに戻してしまう。前に仕掛けるプレーが少ない。例えばチャレンジパスだとか、ドリブルでタテに勝負するとか、そういうプレーが少ない。唯一、中町の素晴しいスルーパスから決定的な場面を作りましたけど決められず。これは惜しかったです。しかしこのシーンでのセーブを含め、横浜の菅野は素晴しいGKです。背の低さを身体能力の高さでカバーしていると思うんですが、ハマナチオの最後の砦としての、この人の存在感は本当に大きいものだと感じます。また湘南が攻めあぐねた要因として、ベテランのボランチ・山口の存在感は見逃せないと思います。ゴールに向かってくる湘南の若いアタッカー陣を、まるで子供扱いするかのように対処する冷静な守備はお見事です。
そして1-0で終わるのかと思った39分、この試合で注目していたもう一人の横浜・内田が素晴しいパフォーマンスを見せてくれました。ドリブルで二人をかわすと、遠目の位置から思い切りの良いミドル。これがゴールに突き刺さって2-0。このシュートは素晴しかった。ロシツキーのミドルは凄かったけど、この内田のシュートだって決して負けてないですよ。と思ったら本人も
意識していたようですね。この一撃を見れただけでも、平塚まで観に来た甲斐があったものでした。